温かい対馬海流と、冷たい日本海の深層水が混じり合う富山湾は、季節を問わず多種多様な地魚が獲れる海産物の聖地だ。春にはサワラやサヨリ、夏にはクロマグロやノドグロ、秋から冬にはエビやカニ、ブリにカワハギと、それはもう本当にたくさんの旬の味が旅人を出迎えてくれる。

富山湾の鮮度抜群の味を半世紀以上にわたり提供し続ける名店

富山県射水市に店を構える「浪花鮨本店」は、キトキトなネタで美味い鮨を提供する店として地元で愛される名店だ。北陸でしか味わえない地元ならではの食材を、店主が自ら朝と昼の2回、新湊の市場へ出向き仕入れているという。

この日のおすすめはシロエビ。

旬のネタを中心に、富山の地魚を提供してくれるとあって観光客やリピーターが足繁く訪れる。その日の朝に獲れた新鮮な魚は、熟練の技で握られ目にも鮮やかだ。握りの「おまかせコース」は1800円・2100円・2600円と3段階に分かれ、明朗会計なところも一見さんにはありがたい。

目の前のネタについて会話も楽しませてもらった。

「富山湾鮨」とひとことに言っても、名乗るには条件がある。現在、県内では50店舗が富山湾鮨の提供店として登録されていて、もちろん浪花鮨本店もその1店だ。富山湾鮨を名乗る条件は、①1セット10貫であること、②価格は2000円~3500円以内、③すべてのネタが富山湾で獲れた新鮮な海の幸、④シャリは富山県産の地元米、⑤富山の味覚を感じられる汁物付き。以上5つの条件を満たさなければいけないのである。

浪花鮨本店はこれらすべての条件をクリアし、なおかつ、いつ訪れても美味い鮨を提供してくれるのだ。

モダンで入りやすい店構え。

立山連峰がもたらしたミネラル豊富な水で作られた富山米は、粒の揃いが良く、旨味と甘味が際立ち、キトキトの魚たちとの相性も抜群だ。

富山湾鮨とはつまり、富山を丸ごと食べることに違いない。魚、水、米、そのどれもが素晴く、富山県が食材の産地として秀でていることを指し示す証だろう。地元でしか食べられない富山湾鮨、この地に訪れるたび確かめたくなる味なのだ。

【基本情報】
住所:富山県射水市新湊13-15
最寄り駅:万葉線「射水市新湊庁舎前駅」より徒歩約5分
営業時間:11:30~14:00、16:30~21:00
定休:月曜

写真/金盛正樹