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年収1,000万を目指す転職で、転職サイトを見ても意味がない理由とは

男の隠れ家編集部
編集部
検索エンジンに「1,000万円 転職」を入力すると、1,000万円以上の求人案件が上位に並ぶ。しかし、本当に1,000万円の転職を行っている人は、実はそういったサイトをほとんど見ていないことをご存知だろうか?

会社員として勤めている人にとって、1つのマイルストーンとも呼べる年収額といえば1,000万円ではないだろうか。きっと、身近にも1,000万円という額に達している人は少なからずいるはず。しかし、日本全体の平均で見るとこの金額の給与を獲得するのはなかなかに狭き門なのだ。

また既にその額を達成している人でも、転職によって1,000万円を割ってしまうというケースもあるだろう。転職において、達成することと同様に年収を維持させることは重要なポイントとなる。

本稿では、「年収1,000万円の転職」に焦点を当て、そもそも1,000万円を獲得している給与所得者は日本にどれだけいるのか、そして、そういった人々はどのような経路で転職を行っているのかを紹介していこう。
目次

1.年収1,000万の給与所得者はどれくらいいるのか

まず、年収1,000万円の給与所得者が日本にどれだけいるのかを見ていこう。

国税庁が発表している「民間給与実態統計調査」によると、日本人の平均年収の分布は上記グラフのようになる。年収1,000万円を超える給与所得者は、全体のうちわずか5%にとどまっているのだ。

また、同調査によると日本人の平均年収は440万7千円であり、男性に限定すると545万円となっている。平均年収の約2倍を稼ぎ出す会社員は100人のうち5人程度にとどまり、なかなかに狭き門であることが分かる。

2.年収1,000万円以上の転職で求められるスキルとは?

日本人のうち、たった5%である年収1,000万円以上を狙った転職では、一般的な転職とはどのような違いがあるのだろうか。多くの求人を紐解いていくと、年収1,000万円以上の求人では、求められるスキルにとして、下記のようなものが共通している。

・論理的思考ができること
・物事を俯瞰的にとらえる視点を持っていること
・仮説を立てて課題を解決できること
・これらを踏まえたマネジメント能力

言い換えれば、これらのスキルを持っていれば年収1,000万円に限りなく近づくことができる、と言っても過言ではないだろう。これらの条件は表現は異なっても、1,000万円以上の求人には必ずと言っていいほど記載のあるスキルだ。それぞれ詳しく見ていこう。

論理的思考ができること

論理的思考とはロジカルシンキングとも言い、「論理を追って、きちんとした筋道を立てて考えること」だ。たとえば、プロジェクトで大きな問題に直面した際に、どうすれば現状を打破できるのか、どこを改善すれば良いのかなどを、因果関係を追って考えられる力である。

社会人として、何か問題が起こった時に原因を特定したり、解決策を見つけるためには、この論理的思考は身に付けるべき思考と言えるが、年収1,000万円以上を狙う場合には必須と言えるスキルだろう。

物事を俯瞰的にとらえる視点を持っていること

「物事を俯瞰的にとらえる」とは、空から世界を見渡すように、物事の全体像を読みとることだ。「プレーヤー」として活躍する際に求められるのは与えられた業務をやり遂げる力だが、どんなに業務執行能力が優れていても、視野の狭い人間には、その視野に見合った責任と報酬しか与えられない。

全体を把握しチームのバランスを保つことができれば、さらに上のポジションを目指すことができ、結果として年収も上がることになる。そのためには物事を俯瞰的にとらえる視点が必要不可欠なのだ。

仮説を立てて課題を解決できること

課題に直面した時には、素早く、効率的に課題を解決することが求められる。知識をたくさん蓄えているだけでは「素早く、効率的に」解決に導くことはできない。「素早く、効率的に」解決策を講じるためには、既に得られている情報から仮説を立て、それを検証することで問題点をあぶり出す、といった一連の考え方ができることが必要なのだ。

物事に対して仮説を立てて解決できる力は、問題解決のスピードが速まり、結果として生産性が高まることから、ハイキャリア・高年収を狙うためには必要不可欠なスキルである。

これらを踏まえたマネジメント能力

年収1,000万円以上の転職となると、必然的にマネージャーとしてのポジションを目指すことになる。すでに述べた通り、いくらプレーヤーとして優れていても、あくまでその業務範囲の責任に対してしか評価されないからだ。

ロジカルに、俯瞰的に、常に仮説を立てて物事を解決していくという姿勢で組織をマネジメントできる力は、結果として大きな利益をもたらすため、企業としては1,000万円以上出しても採用したい人材である、ということになるのだ。

3.年収1,000万円以上の人の転職方法とは

では、この5%の1,000万円を超える給与所得者はどのような方法で転職活動を行うのか。

冒頭でも紹介したが、検索エンジンに「1,000万円 転職」を入力すると、1,000万円以上の求人案件を紹介する転職サイトが表示され、応募や登録を行えるようになっている。しかしながら、実際に1,000万円を獲得している人々がそういった転職サイト経由で転職活動を行うのは稀(まれ)なケースだ。

人材紹介会社のエン・ジャパンが発表した「年収1,000万円以上の転職事情」という調査によれば、転職活動の経路について以下のような結果が明らかになっている。

複数回答ではあるが、「スカウト/ヘッドハンティング」の割合が80%弱を占め、次点で「個人の人脈・繋がり」「企業からの引き抜き」と続く。

この時点で分かるだろうが、上位3つに求人サイト経由の転職者がいないのだ。自ら求人サイトに登録し、求人情報に応募する人はわずか17%にとどまっている。複数回答にも関わらず17%にとどまっていることから、全体の80%以上はスカウトや引き抜きなど、縁故経由での転職活動を行っていることが分かる。

このため、年収1,000万円の人、また、1,000万円を目指した転職活動を行う人は転職サイトを見ても効率的な転職活動に繋がるとは考えづらいのだ。

4.年収1,000万円への近道はスカウト型転職サービスを利用すること

1,000万円台の転職活動ではスカウトやヘッドハンティング、個人の繋がりや企業側からの引き抜きが中心であることが分かった。しかし、中心となっているこれらの経路は、基本的には受動的な転職方法だ。企業、あるいはヘッドハンターからのアプローチを待つため、自分で転職時期をコントロールできないという難点がある。

そこで利用したいのがスカウト型の転職サービスだ。

スカウト型の転職サービスは、積極的にヘッドハンターにアプローチを取ることができる転職サービスを指す。

このサービスでは、会員登録をすることでスカウト型転職サービスが保有するデータベースに職務経歴などのレジュメが掲載される。このレジュメは企業から採用者獲得の依頼をされたヘッドハンターが閲覧する事ができ、最適な人材だと判断されると直接アプローチがある。

ヘッドハンターが閲覧するリストに名を連ねることによって、待ち続けるよりも能動的に「1,000万円以上の転職者が利用する転職方法」にアクセスすることができるのだ。

ここでは、大手のスカウト型転職サービスを3社紹介する。いずれもハイキャリア層を対象にしたサービスだ。より多くのスカウトと巡り合うチャンスを広げるため、転職を検討している人はすべてに登録するようにしよう。

4-1.BIZREACH(ビズリーチ)

出典:ビズリーチ

テレビCMでもお馴染みのスカウト型転職サービスがビズリーチだ。管理職やグローバル人材など、ハイキャリアの転職希望者支援に特化している。ビズリーチはレジュメを登録することで、企業に採用を任されたヘッドハンターや企業の人事担当者から直接声をかけてもらうことができる。

通常、スカウト型の転職サービスはヘッドハンターからのアプローチが主流になる。しかし、ビズリーチではデータベースを一部の優良企業にも公開しており、両者からのスカウトを貰える可能性があるのだ。

データベースを閲覧できる企業並びにヘッドハンターは、全てビズリーチ側の審査を通過した優良な企業・担当者ばかり。求人の質が担保されているので、効率的に転職活動を行うことができる。

ただし、ビズリーチは利用に月額料金が発生する会員制サービスだ。これは登録をしている人材を本気度の高い転職希望者で固める狙いがある。企業・ヘッドハンターがわからみても優良な人材の集まるサービスとなっているため、アプローチをする頻度が高いことが予想される。

>BIZREACH(ビズリーチ)の公式サイトはこちら

4-2.CAREER CARVER(キャリアカーバー)

出典:CAREER CARVER

キャリアカーバーは転職業界最大手のリクルートが運営しているスカウト型の転職サービスだ。こちらもハイクラスを対象としたサービスとなっている。匿名のレジュメ(経歴やプロフィール)を登録することで、ヘッドハンターからのスカウトを受けることができる。

ビズリーチと違い、キャリアカーバーのレジュメは企業側に見られることが無い。アプローチの幅が狭まってしまうというデメリットはあるものの、採用担当者に気を遣うことなくありのままの要望や希望を記載することができるようになっている。

キャリアカーバーは100社800名以上のヘッドハンターと契約を結んでいる。ヘッドハンターは一人ひとりの詳細ページがあり、また場合によっては個人インタビューも掲載されている。スカウトがあった際は、そのヘッドハンターの実績を確認することができるのだ。

エージェント側からのアプローチであるという点を考慮し、多くのヘッドハンターからアプローチが来るような仕組みになっているのが特徴と言える。

>CAREERCARVER(キャリアカーバー)の公式サイトはこちら

4-3.エグゼクティブ転職

エグゼクティブ転職は日本経済新聞社と日経HRが共同で運営するエグゼクティブ向けの転職支援サービス。その名の通り、エグゼクティブ(ハイキャリア層)を対象としている。

ビズリーチ、キャリアカーバー同様に、登録をすることでヘッドハンターからのアプローチを受けることが可能になる。スカウト経由での求人数は8万件以上にのぼり、さまざまな求人ニーズに対応していることが予測される。

また、エグゼクティブ転職で特徴的なのはスカウトを待つばかりではなく、転職希望者側からもアプローチを掛けることができる点だろう。「経営幹部・役員」「海外勤務」「年収1,500万円以上」「スタートアップ・成長企業」などの特徴ごとに分けられた求人へ、転職者側から応募することができる。

ヘッドハンターとのマッチング後は、マンツーマンでの転職サポートを行ってくれる。応募書類の添削や面接の対策まで、選考確度をあげるためのノウハウを徹底的にサポートしてくれるのも大きなメリットだろう。

>エグゼクティブ転職公式サイトはこちら

5.どのような企業に年収1,000万円以上の給与所得者の多いのか

この章では、年収1,000万円以上の給与所得者の多いのは、どのような業種のどのような企業なのか見ていこう。まずは下記グラフを見てほしい。

これは国税庁が発表した、民間給与実態統計調査より、業種別の年収1,000万円の給与所得者数の割合だ。こちらを順に並べると以下の通りとなる。

  1. 製造業・・・41.2%
  2. 卸売業、小売業 ・・・16.8%
  3. 建設業・・・14.3%
  4. 金融業、保険業・・・12.7%
  5. 不動産業、物品賃貸業・・・6.2%
  6. 運輸業、郵便業・・・5.9%
  7. 電気、ガス、熱供給、水道業・・・2.1%
  8. 宿泊業、飲食サービス業・・・0.9%

この調査によると、年収1,000万円以上の給与所得者のおよそ40%が製造業であることがわかる。

次に、下記のグラフを見てほしい。

これは、年収が600万円台、800万円台、1,000万円以上の給与所得者数を企業規模別に示したもので、横軸は企業の資本金を表す。いずれも平均年収を100万円以上上回る高所得者だが、このグラフからは高所得者が一番の多いのは、やはり事業規模の大きな企業であることが分かる。

これらのことを考えると、1,000万円以上の給与所得者が多いのは、製造業の、資本金が10億円以上の大企業であることが見えてくる。毎年、平均年収の高い会社として精密機械メーカーのKEYENCE(キーエンス)が上位にランクインしていることも頷ける。

もし本章を読んで、自分のいる会社が年収1,000万円以上を得る人が少ない場合は、どのように年収アップを目指していくべきか、前の章で紹介した転職エージェントに相談してみるのも良いだろう。

6.転職成功実績が多い職種

1,000万円を超える転職者は、スカウト経由の転職活動が主流であることが分かった。それでは、職種としてはどのような傾向にあるのだろうか。エン・ジャパンの「年収1,000万円以上の転職事情」によると、以下のような調査結果が示された。

職種としては、「経営・経営企画・事業企画系」が5割弱となり、半数近くを占める結果となった。事業の推進に関与ししている経営層は待遇が手厚く、1,000万円を超える年収の会社員の多くはこのポジションに属しているのだ。

該当ポジションでは経営の知識はもちろんのこと、マネジメント経験やグローバル人材としての専門性なども求められる傾向にある。これらのスキルは市場価値が高く、キャリア構築においても欠かせない要素となる。

7.年収1,000万円以上の転職での、悩みの種

それでは、年収1,000万円以上の人はどういった点で転職時に苦労をするのだろうか。こちらも、エン・ジャパンの調査を参照しつつ探ってきたい。

「経験を活かせるポジションの求人がない」また「給与・待遇が希望と合わない」の2点がいずれも半数を超え、共通している悩みの種であるようだ。

一般的に年収が高くなればなるほどスキルの専門性が高くなる。一貫した実務経験が評価され、実績にもとづいた待遇となる傾向にあるためだ。そのため、その分野でどれだけ突出した実績とスキルがあったとしても、その得意分野に対して高い精度で一致した職種がないと高年収でのマッチングが難しくなってしまう。

また、一度高い年収に達してしまうと既存のステータス(役職・待遇・企業規模)に拘泥するあまり、相当の求人がなかなか見つからない場合もある。または現職との比較に時間を掛けすぎて企業側がアプローチを止めてしまうケースも少なからずあるようだ。加えて、年収を落とさないことに終始してしまうと、志望動機の詰めが甘くなってしまうこともある。

年収1,000万円を超える給与所得者は、年収を維持しようとすれば採用確度が低くなってしまい、転職をするためにはどうしても年収を下げなければならないこともあるという実情が伺える。

8.求人を確認する上での5つのポイント

では、年収1,000万円以上の人が納得のいく転職を成功させるためには、どういったポイントに着目する必要があるのか。これはスカウトを受けた場合でも、提示された求人に関する観点として持っておきたいポイントとなる。

年収が1,000万円を越えている人が転職を行う際も、1,000万円を目標として転職を行う際も、いずれも心がけておくべき内容だ。ぜひチェックしておいてほしい。

8-1.企業の規模にとらわれない

上で掲載した年収1,000万円以上の人に多い職種の第1位は「経営・経営企画・事業企画系」であったが、役員と呼ばれる経営層になるためには、中小企業のほうが人数が少ないぶん実現可能性が高まる。

ベンチャーなど成長企業では若い年代での経営層や役職付きへの抜擢も十分に考えられる。規模の大きな企業へ転職することが年収1,000万円の最適解ではないのだ。

8-2.成果型報酬の職種を探す

年収1,000万円以上の人に多い職種の1位は「経営・経営企画・事業企画系」であったが、2位には「営業・マーケティング」職がランクインしている。特に営業職は成果が直結する業種。優秀な営業マンであれば成果報酬の体系が整っている求人を見つけることで、年収のアップや維持が実現する可能性がある。

8-3.給与規定を見極める

どのような基準で給与を支払うのか、また、どのような基準で昇給していくのかを定めた給与規定というものが各社それぞれにある。この給与規定が高い水準にある企業を狙うのは、ひとつの戦略として考えられるだろう。管理職についている社員の年収や昇給制度についてを確認し、給与規定が高い水準で整っているかどうかを調査することも重要だ。

8-4.転職時の給与にはこだわらない

年収を落とさないこと、また1,000万円を達成することに執着するあまり、自分のやりたい仕事ができなくなってしまうケースもある。転職時にある程度年収を落としたとしても、転職後の実績で1,000万円の水準に戻す(到達する)ことは十分に可能だ。

年収に拘るあまりやりたくない仕事についてしまうのが最も危険である。転職後の持続可能性を考慮しても、自分にとってその仕事をどう捉えているのかといった「価値観」を重要視するようにしよう。

8-5.腰を据えた転職活動を行う

1,000万円クラスの転職は、率直に難易度が高いと言える。「5.年収1,000万円以上の転職で苦労するポイント」で紹介した悩みはもちろんのこと、そもそもの求人数が少ないという難点がある。

転職市場の状況やハイクラス求人の出現頻度を考慮すると、中長期期な転職活動に臨むことが重要だ。「もし良い案件があれば検討する」くらいの心構えで転職を考え、急いで転職しなければならないような状況にならないよう予防することが大切なのだ。

9.まとめ

年収1,000万円は、たった5%の狭き門だ。また、達成すること以上に年収を維持することも簡単ではない。失敗しない転職には、通常の転職とは異なる悩みやポイントを踏まえる必要がある。

1,000万円というボーダーにかかわらず、ハイキャリア層の転職活動ではスカウトサービスが有効だ。そのためには、ヘッドハンターから声がかかるような専門性を身に着け、キャリアを構築していかなければならない。

今すぐ転職を希望していなかったとしても、現状の市場価値を知ることは大切なことだ。年収1,000万円の転職を行いたい人だけでなく、キャリア形成に興味のある人も本稿で紹介したスカウト型の転職支援サービスに登録してはいかがだろうか。

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