106571新しい日本酒「クラフトサケ」ってなんだ?

新しい日本酒「クラフトサケ」ってなんだ?

男の隠れ家編集部
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近年、日本酒の新ジャンルとして注目されているのが「クラフトサケ」。その誕生の物語と、副原料が生む多様な味と魅力について解説しよう。

■日本酒の味わいを広げる新たな酒の登場

どろりと白く濁ったどぶろく。甘みと適度な酸味が特徴だ。

クラフトサケとはビールの製造に欠かせないホップ、あるいは茶葉、さまざまなフルーツやハーブなど、通常日本酒では使用しない副原料を加えることで生み出される新たな日本酒のことをいう。

副原料の自由度が高いため、新しい味わいが次々と造り出せる軽やかな酒だ。

2022年、クラフトサケを広め、参入を希望する醸造所の支援を行うとともに、イベントの開催などをめざす主旨でクラフトブリュワリー協会が発足した(現在会員は9社)。

日本国内の酒類生産量は1999年をピークに減少し続けているが、その流れに一石を投じることになる可能性を秘めているのがクラフトサケなのである。

しかし、クラフトサケが事業として動き出すには高いハードルがあった。日本酒を造るには清酒の酒類製造免許が必要だが、日本では日本酒を造るための免許が原則的に認められていない。

日本酒業界の産業を保護するため、法律上、新規参入を認めていないからだ。それでも2021年には輸出に限り新規製造免許が許可された。

日本酒でもワインでもない醸造酒の誕生。グラスはアデリアの「クラフトサケグラス」

しかし、国内向けの日本酒業界への新規参入は許されないまま。新規製造免許を取得するには休業や廃業した醸造所を買収したり、事業を継承する以外ない。

そこで、着目したのが「米と麹と水を発酵させて瀘したもの」とする日本酒の定義。酒税法をつぶさに調べると、醸造酒のジャンルの中でも日本酒やワインに属さない「その他の醸造酒」であれば、免許取得が可能であることがわかった。

つまり、日本酒の定義に入らない副原料を入れることで「その他の醸造酒」として販売できるのだ。

現在、クラフトサケを製造する醸造所では、この「その他の醸造酒」の免許を取得し、日本酒の発酵技術を活用しながらクラフトサケを製造している。

前述したように、クラフトサケはクラフトビールのような爽やかな味わいや、地元の果物をぜいたくに使ったもの。

さらにはクラフトサケの一種でもあるどぶろくにハーブをミックスさせた、まるでヨーグルトのような味わいの酒があったりと、無限大の広がりを秘めている。

日本酒が苦手だった人にも飲んでもらえる可能性は大いにあるといえるだろう。

【Point.1】日本酒との違いは“発想の自由さ”

クラフトという言葉は職人技や手作りを意味するが、自由という意味も含まれている。クラフトサケはまさに、日本酒という枠を超えた自由度の高い発想力により生み出されたサケといえる。

【Point.2】造り方が自由だから味わいが無限

日本酒と比べクラフトサケが特徴的なのが多彩な副原料。トマトやバジル、アロマホップなど、固定観念からは導き出せない副原料がクラフトサケを生み出し、その自由さが無限大の味わいを醸し出す。

【Point.3】クラフトサケが日本酒業界の救世主

国内の酒蔵と酒類生産量が減少し続けるなか、クラフトサケの醸造所ではクラフトビール、ワインなどとのコラボレーションも盛ん。日本酒衰退の歯止めとなる酒として期待を集めている。

■クラフトサケと既存の日本酒 そこから生まれる相乗効果

「Sake bar KoKoN(古今)」の店名には、古典的な製法の日本酒を現代的なスタイルで提案するという意味合いが込められている。その現代的なスタイルの中に、もちろんクラフトサケがある。

オーナーの大森健司さんの経歴はユニークだ。ヘアメイクアーティストとして渡米したが、ニューヨークのブルックリンで日本酒の魅力にはまり、自身の店を開業するに至った。

豊富な日本酒の知識と磨き抜かれた食のサービスに対する独特の感性は、見事としかいいようがない。

「アメリカのバーで、一人の客として見てもらうことの大事さを学びました。そんな濃厚な関係の店にしたい」と大森さん。

「常備5銘柄のクラフトサケと、20ほどの銘柄の日本酒を常備しています。お客様がお酒を選ばれることはもちろんありますが、言葉を交わしながら銘柄をお勧めすることも。クラフトサケは飲んでいただかないと味をわかっていただけませんので、必然的に会話は濃厚なものとなり、お客様に“私だけの接客をしてくれた”という特別感を感じていただけます」

以前、来店したクラフトサケの醸造責任者などから聞いた、酒造りのエピソード秘話を披露することもあるという。

しかも、クラフトサケがあることで、日本酒への造詣が深まる相乗効果も生まれる。そのひと時は至福としかいいようがない。

「稲とアガベ」と「生ハムとディルのポテトサラダ」。
「Nondo 水酛どぶろく」と「いちごのブルーチーズ白和え」。
「WAKAZE classic」。クラフトサケは1400円~。

⚫︎クラフトサケが呑める店「Sake bar KoKoN」

新たな酒との出会いがある

JR高円寺駅近くの純情商店街にある店。ドアを開けるとコの字型をしたカウンターがまず目にとまる。席は12席。オーナーの大森さんがさりげなく話しかけ、お客は知らず知らずクラフトサケの世界へといざなわれていく。

東京都杉並区高円寺北2-21-1 リリーベル高円寺スクエアB1F
TEL/03-6824-1516
営業時間/18:00~24:00(土日は17:00~)
定休日/木曜

文/相庭泰志 撮影/遠藤 純

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