21935高温の炎による窯変が“わび”“さび”の風合いを生む「備前焼」(岡山県)|〈ニッポンの陶磁器〉

高温の炎による窯変が“わび”“さび”の風合いを生む「備前焼」(岡山県)|〈ニッポンの陶磁器〉

男の隠れ家編集部
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高温の炎で焼き、窯変によって生じる風合いが魅力の「備前焼」。日本六古窯のひとつとして日本遺産にも認定されているが、その歴史は、室山時代から桃山時代にかけて茶の発展とともに進化を続けてきた、土の風合いが味わい深い焼き物である。
目次

古墳時代の須恵器を源流に持つ「備前焼」

備前焼には多彩な窯変がある。これは「牡丹餅」といい、皿の上に別のものを置き、その部分だけ火が当たらずに、赤く焼けて焼成したもの。

備前焼は、古墳時代の須恵器の製法が次第に変化したものという。最も栄えたのは、室町時代後期から桃山期。茶の湯とともに備前焼も発展していった。備前焼は絵付けもしなければ、釉薬も使わない。高温の炎による窯変によって生じる、独特の風合いが古くから「わび」「さび」として、茶人に愛されてきた。

2012年、パリのギャラリーで行われた、小西陶藏・佐藤苔助「二人展」。窓からマティニヨン通りが見える。期間中、地元の雑誌にも紹介され、深い関心をもたれた。

2012年、備前焼の作家がパリで「二人展」を開催した。ヨーロッパでは備前焼のような土の感触が強い食器より、表面が滑らかで繊細、そしてきらびやかな作りの磁器が主流だが、必ずしもそうとはかぎらない反応があったという。素材本来がもつナチュラルな味わいに共感をもった入場者が少なくなかったのだ。

「わび」「さび」という日本文化の特質をもつ備前焼は、日本文化とともに、世界へさらなる一歩を踏み出す可能性を秘めている。

備前焼の窯元が並ぶ伊部「備前焼の里  備前焼伝統産業会館」

備前市伊部は備前焼の窯元・作家の店が並ぶ集落。伝統産業会館は、建物全体が登り窯の形。2階に展示即売室がある。

岡山県備前市伊部1657-7  
TEL:0869-64-1001(岡山県備前焼陶友会)
開館時間:1階9:00~18:00、2階9:30~17:30
休館日:火曜(祝日の場合は翌日)、年末年始
アクセス:JR赤穂線「伊部駅」下車すぐ

古備前から現代作家まで一堂に「岡山県備前陶芸美術館」

窯変には「胡麻」「緋襷」「牡丹餅」「棧切」があるが、それぞれの特徴も展示解説されている。千年の歴史をもった備前焼のすべてがわかる。

岡山県備前市伊部1659-6
TEL:0869-64-1400
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)
アクセス:JR赤穂線「伊部駅」よりすぐ

※2013年取材

構成/アイランズ 写真提供/岡山県備前焼陶友会

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