100996鳴き声以外はすべて食す!! 「沖縄の豚食文化」とは?

鳴き声以外はすべて食す!! 「沖縄の豚食文化」とは?

男の隠れ家編集部
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■決して漫画の世界ではない、宴席の供だった豚の丸焼き

(※その他の写真は【関連画像】を参照)

沖縄料理と聞けば、豚肉を連想される方は多いかと思う。沖縄風角煮のラフテー、ランチョンミート(スパム)などが有名だが、ミミガー、てびち(豚足の煮込み)なども現地ではよく目にする。

あまり意識しないが「沖縄そば」の出汁は豚から取るし、具材のソーキや三枚肉も豚肉。「鳴き声以外は食べる」というフレーズ通りだ。

豚に始まり豚に終わる琉球料理の名残

その究極は「豚の丸焼き」だろう。お祝いの席などに欠かせなかった沖縄の伝統食の一つだが、販売する業者は希少になった。那覇市にある金城畜産はその丸焼きをメインに調理・販売する店。

「僕はやんばる出身で、子どもの頃にお祝いの席で何度か丸焼きを食べたことがあります。最近はほとんど見なくなって『丸焼き文化』を復活させたいと思って、一昨年から店を継ぎました」

そう話すのは代表の松田正太さん。金城畜産は元々養豚場を営んでおり、地域の行事に豚の丸焼きを提供し続けて約50年。後継者不在で店をたたもうとしていたところ、松田さんが創業者の金城春子さんに頼み込み、引き継いだ。

丸焼きは注文があれば随時対応。店の奥にある専用の窯に入れ、こんがり焼き上げる。10~20㎏の豚を焼くと20~40人前になるそうだ。

■沖縄そば(腹)

五種の小麦粉をブレンドした全粒粉入り自家製麺とこだわりの本格鰹出汁で作る沖縄そばが人気の「海と麦と」。豚バラを煮付けた三枚肉と軟骨ソーキをのせた「海麦そば」(1050円)が楽しめる。

自家製麺沖縄そば 海と麦と
沖縄県本部町崎本部32
TEL:0980-43-5850 
営業時間:11:00~15:00(日曜は~15:30)
定休日:火・水曜

■琉球料理と豚食文化

琉球王国時代、中国の使者である冊封使をもてなすため、琉球料理には豚肉が多く使われた。馬や牛は乗り物や運搬用に使われたので食用にされず、豚は食用に適したようだ。

養豚も盛んになり、薩摩藩を通じて日本にも豚食文化が伝わり、やがて本土の豚食復活にも影響を及ぼした。

©OCVB

《沖縄料理の特徴》
・豚肉料理
・出汁を使った料理
・医食同源料理

■豚の丸焼き丼

目の前で丸焼きの肉を切り分け、盛り付けてくれる。金曜と土曜のランチタイム限定で金城畜産にて販売(1300円)。ほかにカレー、沖縄そば、ホットドッグ、タコライスも。イートイン可能。

豚の丸焼きメニュー

10~20kg ¥64800 20~40人
20~25kg ¥70200 30~50人
25~30kg ¥75600 40~60人
30~35kg ¥81000 50~70人
35~40kg ¥86400 60~80人
40kg以上 ¥91800~ 70人以上
※25kgまで県外発送も可能

創業者夫人と

金城畜産
沖縄県那覇市山下町29-1
TEL:098-987-0851
営業時間:11:00~15:00
定休日:月~木・日曜
公式HP:https://butamaruyaki.com/

■骨や皮、脳まで無駄なし。丸焼きをソウルフードに

「20㎏ぐらいであれば6時間で焼き上がります。10㎏ごとに1時間延びる感じです。丸ごと焼くことで、骨や皮、脂肪などから豚の本来のうま味が出てくるので、基本味付けはしません」と松田さん。切り分けられた肉はそれぞれ焼肉のたれや塩、ワサビ、チリソースなど好みに合わせていただく。

金城畜産では丸焼きのままお客さまのもとへ届けるか、切り分けてパック販売も行っている。内臓は食肉センターで取り除いて別の料理(中身汁など)に使い、骨は焼いてから外し、出汁を取るのに使う。ただし、脳は取り除かず丸焼きの状態で食せる。無駄のない優れた食文化といえそうだ。

「クリスマスというとターキーが定番ですが、豚の丸焼きこそふさわしいと思います。沖縄のソウルフードとして伝えたいです」

ところで、日本で豚食文化はいつから始まったのか。そもそも豚は猪を食用にするために人間が家畜化したものだから猪とともに縄文・弥生時代の遺跡から骨が出ている。

ただ、日本では神道に加えて仏教が盛んになってくると肉食そのものがやがて穢れ・悪と見なされて、豚の飼育も豚食文化も途絶え、江戸時代に復活するまで、ほとんど食べられた形跡がない。

一方、沖縄(琉球王国)ではそれより早くから豚食が好まれた。記録では1385年に中国(明)から持ち込まれたといい、中国の使者(冊封使/さっぽうし)へのもてなしや宮廷料理として豚肉料理がふるまわれていた。1605年の甘藷(かんしょ)の伝来も沖縄の養豚を促進させた。

幕末、アジアに来航したペリーの記録に「美食の点においては、日本人やシナ人(中国人)より琉球人のほうに私は決定的に軍配を挙げる」とある。

これは出されたメニューの違いで、とくに豚肉料理の有無や味によるところが大きかったようだ。歴史的にも豚の味は沖縄の人々のDNAの一部といっても過言ではないのである。

■琉球在来種・アグー豚 味わいと秘密

アグーは琉球在来豚のこと。黒い毛色で小型なのが特徴で肉にはうま味成分のグルタミン酸の含有量が高い。

海外産や本土からの豚の輸入で数が激減したが1981年以降復活の動きが高まり、在来豚の交配が繰り返され復元に成功。

■てびちのおでん(足)

じっくり煮込まれてトロッとした食感!

豚足を柔らかくなるまで煮て味付け。コザの中の町にある「おでん小町」は50年も出汁を継ぎ足している老舗おでん屋。

箸でつまむとトロける「てびち」。出汁が染み込んだ大根などとともに。

おでん小町
沖縄県沖縄市上地1-13-22
営業時間:18:00~0:00
定休日:日曜

■チムシンジ(肝臓)

疲れた体に染みるスタミナ食!

チムは「レバー」、シンジは「煎じ」の意。レバーと人参などの野菜が入った汁物。貧血や風邪の際に食す庶民料理だが、県内でも提供する店が少ない。ゆかり食堂では、店主が親しんできた味を提供。(950円)

■中身汁 (腸)

沖縄のお祝いの席に欠かせない!

正月や法事、新築祝いなどの際に食す中身(豚の臓もつ)の吸い物。柔らかく煮込んだもつ、椎茸、こんにゃくの具材と豚、椎茸、鰹の出汁の利いたあっさり優しい味。おろし生姜を多めに入れて辛みをプラス。(950円)

■ヒージャーを食す!

豚食だけじゃない! もう一つの食肉文化

沖縄では古来「クスイムン(薬になるもの)」として滋養強壮や疲労回復のための重要なタンパク源とされてきた「やぎ」。今でも庭先で飼う家が多く、祝い事の際に一頭をつぶし、家族で食べる風習がある。

コリコリとした食感「やぎ刺し」

生姜やニンニクをといた醤油につけて。コリコリとした皮と淡白な肉に酒が進み、クセも少ない。やぎ初心者にもお勧め。(1300円)

強烈な香りがクセに!「やぎ汁」

骨ごと長時間煮込んだ柔らかい肉とコラーゲンたっぷりの汁。臭みはあるが、肉肉しい。香りづけのフーチバーとともに。(1600円)

ゆかり食堂
沖縄県島尻郡八重瀬町世名城474-1
TEL:098-998-4344 
営業時間:11:00~14:00、16:00~21:00
定休日:日曜

文/上永哲矢 撮影/渡部健五、上永哲矢(てびちのおでん)

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