■アメリカ発、恩納村経由のウチナー・アメリカン
(※その他の写真は【関連画像】を参照)
夜の帳が落ち、艶やかなネオンサインが輝き始める。ひっきりなしに出入りする車のヘッドライト。映画好きなら思わず「ロック・アラウンド・ザ・クロック」を口ずさみたくなる。
1960年代初頭のカリフォルニアのドライブインレストランを起点に、一夜の青春群像を描いた『アメリカン・グラフィティ』を思わせる光景が沖縄本島の中部・恩納村にある。
沖縄本島の西海岸を南北に走る国道58号線沿いの海岸に立つ「シーサイドドライブイン」だ。米軍の軍用道路として整備が始まった国道58号線沿いに同店が誕生したのは、昭和42年(1967)のこと。
当時、冷蔵庫の製造業者として米軍基地に出入りしていた創業者が、基地内のダイナー(食堂)を参考に、レストランと24時間テイクアウトコーナーを併設した沖縄初のドライブインレストランとして開業した。
同店のメニューのほとんどは創業当時からのものだというが、その「チャンプルー(ごちゃ混ぜ)」感が面白い。
アメリカンダイナーらしいステーキやハンバーグに加え、牛肉、ピーマン、タマネギなどを炒めたオリジナル料理「チャップステーキ」、「フライライス」(やきめし)といった不思議な名付けの料理、果てはうなぎ丼、カツ丼までを供する。
「シーサイドドライブイン」は、アメリカ文化を巧みに消化した「ウチナー・アメリカン」の先駆けともいえ、創業から半世紀を超え、3代にわたって通う客もいる。
来島の折には、県民のソウルフードともいわれる名物「スープ」をテイクアウトして海辺のドライブへ出かけたい。
■60年代の沖縄懐かしの風景
創業間もない頃。駐車場にはアメ車が見える。
■創業当時と変わらないメニュー
ステーキに付く「スープ」は単品でもテイクアウトの人気メニュー。「シーサイドサンド」とともに味わいたい。
sandwich
steak
fried rise
シーサイドドライブイン
沖縄県恩納村仲泊885
TEL:098-964-2272
営業時間:24時間
定休日:水曜
文/田端広英 撮影/渡部健五、青塚博太
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