96799旧街道沿いで見つけた蕎麦店と昔町風景|「蕎麦と山城の旅」APIOジムニーで行く 日本美味探訪Vol.04

旧街道沿いで見つけた蕎麦店と昔町風景|「蕎麦と山城の旅」APIOジムニーで行く 日本美味探訪Vol.04

男の隠れ家編集部
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目次

かつて馬の背に大量の塩を載せ、山深い内陸へ運んでいた。そんな「塩の道」の沿道からは、生活の体温が感じられる。三河から信濃まで続く中馬街道も、いにしえの物語を今に伝える。

人の暮らしを支えた街道とそれを扼した戦国の城

■今回の旅の相棒「アピオ・ジムニー」

古い宿場町から林道まで場所を選ばず運転が楽しめる。(取材協力:アピオ株式会社

人が生きていくため、欠かせない物のひとつに塩がある。昔の日本では、そのような大切な塩の大半を海から得ていた。そのため海から遠く離れた山国では、その価値は金に値するとも評されていたほどだ。

ゆえに日本国内には、産地である海辺の町から山間部へ塩を運ぶために作られた、「塩の道」と呼ばれる街道が数多く存在する。

三河湾で加工された塩を舟に載せ矢作川を遡上、古鼠(現・豊田市)で荷揚げされ、そこから陸路で信州の塩尻へと中馬により運ばれたことから、中馬街道と呼ばれた道もそのひとつ。

昔ながらの宿場風景が今も残る足助。かつては塩を運ぶ馬、今はジムニーが走る光景がよく似合っている。

中馬というのは江戸時代の半ば、信州で組織された馬の背に荷物を載せて運ぶ人たちの組合のこと。現在、中馬街道は国道153号線となっていて、愛知県中部を東西に貫き、地域の骨格をなす幹線道路となっている。

沿線には、どこか懐かしさを感じさせてくれる風景が点在。中でも宿場町として栄えた足助には、今もなお古い街並みや史跡が、往時を偲ばせる姿で残されている。そんなノスタルジックな光景と、アピオ・ジムニーの姿は不思議と溶け合う。

森の中を抜けるダートを登った先に、突然現れた広大な広場。長年荒廃していた山林内に祀られ、忘れ去られていた弘法さんを復活させた聖地前広場。
変化に富んだドライブコースが組める奥三河の山里。アピオ・ジムニーの旅に最適の地だ。

さらに足助の周辺には、アピオ・ジムニーを走らせるのに最適な山道が、至る所に伸びている。まずは足慣らしを兼ね、奥矢作湖方面へと向かう。

適度なカーブとアップダウン、時おり現れる未舗装路など、路面状況の変化にも動じないアピオ・ジムニーの足回りを十二分に堪能。特に弘法大師のお告げにより拓かれたという、巨岩が点在する山中の寺社に続く道は、足回りを強化したアピオ・ジムニーの独断場であった。

山中に埋もれた巨岩からは、底知れぬパワーを感じる。

走りを堪能した後は、戦国時代の城を再現した足助城へと向った。この城は足助の中心地の東側に聳える、標高301mの真弓山山頂に本丸を構え、四方に張り出した尾根を利用した曲輪が置かれた連郭式山城。

復元にあたっては、遺構を徹底的に調査。戦国時代にこの地を支配していた鈴木氏が築城した山城の遺構を元に、全国で初めて戦国時代の山城が復元された。しかも建築法だけにとどまらず、材料も当時のものに合わせ、竹の釘や麻縄を使用。建物ごとに屋根の葺き方まで変えている。

天守閣に当たる高櫓には、城主の間や厠などが再現されている。他に家臣たちが控えた長屋、西の丸に物見台と矢倉、南の曲輪にも物見台を再建。

どれも質素で掘立柱建物という、地面に穴を掘りくぼめて礎石を置かずに柱を立てる、原始的な工法で建てられている。そのため、戦国の世に迷い込んだ気持ちになれる。

■足助七城のひとつとして戦国乱世に存在感を発揮した山城

足助城

足助城は真弓山城とも呼ばれ、鎌倉時代にこの地を治めた足助氏が居城した「足助七屋敷」のひとつとされる。15世紀以降は鈴木氏が支配し、周囲の城砦を合わせ「足助七城」に数えられた。

復元に際しての調査では、鈴木氏時代の遺構しか発見されなかったので、全国に先駆け戦国時代の工法、建材を駆使して本格的な山城を復元。歴史好きでなくても必見だ。

城郭構造/山城
築城主/鈴木氏(?)
築城年/不明
廃城年/天正18年(1590)
遺構/曲輪
再建造物/高櫓 物見櫓 厨など
入城料/300円
開城時間/9:00~16:30(入場は16:00まで)
休城日/木曜日(GW、11月は除く) 年末年始

名人から仕込まれた蕎麦の腕と地産地消にこだわる料理が自慢

「早朝、200軒の家に牛乳を配達してから、その日に提供する蕎麦を打ちます。そのためどうしてもたくさん打つことができず、普段は40人前くらい、ピーク時でも150人前が限界です。だから、遠くから足を運んでくれたのに品切れになってしまった方がいると、毎回申し訳なく感じてしまいますね」

家業は牛乳屋さんだという店主の松井芳信さんは、今から20年ほど前に商工会の青年部長を務めていた。その時に問題だったのが、町の中に増えてきた空き家対策。

「旧家だけど引っ越すので町で買い取って欲しい」という人が、増えていた。町としては空き家になって朽ち果ててしまうと、観光地としてのイメージが悪くなる。

建物を保存しつつ、維持費を稼ぐ手段はないかと考えた結果、足助の町中に本格的な手打ち蕎麦の店がなかったことから、2005年10月に『塩の道づれ家』をオープンする運びとなった。

松井さんが店を切り盛りすることとなったのは、言い出しっぺだったからとか。

「佐久『職人館』館主の北沢正和さんに、2003年頃から指導を受けました。北沢さんからは蕎麦打ちの技術はもちろん、地場産食材を活かす心構えも教えられたのです」

蕎麦粉は北沢さんの所から仕入れているが、地野菜の天ぷらや猪ハム、柚子味噌大根などは足助で採れた旬の食材を使う。また塩の道沿いにある店らしく、卓上には藻塩が置かれていた。

まずホンダワラを用いて作った、素朴で味わい深い塩だけで蕎麦をいただけば、香りも喉越しも一級の蕎麦ということが感じられる。

蕎麦といえばやはり土産に日本酒が欲しくなる。『塩の道づれ家』でも熱燗で提供している地酒『賜冠』は、昔ながらの呑兵衛の心を鷲掴みにすること間違いなしの酒だ。

そして足助に宿泊するなら、幕末の頃に建てられた旅籠を今も現役として使っている『玉田屋旅館』がおすすめ。2階の部屋から見下ろす中馬街道の風情は、宿泊客を江戸の昔に誘ってくれるであろう。部屋や水回りは、清潔感があり安心だ。

■香り高く喉越しの良い蕎麦と素朴な山里料理が頂ける

塩の道づれ家

蕎麦打ちの師匠、北沢正和さんは「料理マスターズ」を受賞した地場産食材と職人技を融合した農家レストランの草分け的存在。そんな北沢さんの技、哲学を身に付けた松井さんの打つ蕎麦は限りなく素直な美味しさに包まれている。

藻塩だけで一枚いただきたくなるが、出汁も本鰹節、鯖本枯節、三河溜まり醤油などを使った深い味わいが楽しめる。蕎麦湯を使った蕎麦寒天付き。写真の「石臼挽き手打ち蕎麦 並盛」は990円。

愛知県豊田市足助町西町13-1
TEL:0565-62-2558 
営業時間:平日11:00~14:00(蕎麦がなくなり次第終了)
定休日:火曜

■昔ながらの旨口の味わいを頑なに守り続ける三河の銘酒

中垣酒造

創業は明治33年(1900)。以来、酒蔵の向かいに聳える山で湧く天然水だけを仕込み水として使い続け酒を醸している。

代表銘柄である『賜冠』は、一度口にすれば酒飲みはたちまち虜になる甘口にして旨口の酒。ぜひ燗で味わってもらいたい。専務の中垣隆さんおすすめは上撰で720ml入り1000円。『賜冠 大吟醸藤兵衛』という今風の銘柄もラインナップしている。

愛知県豊田市有間町下平10
TEL:0565-68-2522
売店営業時間:8:00~20:00
定休日:不定休

■幕末に建てられた旅籠で歴史の夢に抱かれ眠る

玉田屋旅館

部屋は全部で6室、最大収容人員は17名となっているが「今は1日3組くらいがやっとです」と女将さんは語る。

旬の素材を活かした素朴な山里料理も自慢。長期滞在にも対応してくれる。街道に面した部屋は人気なので、予約時に問い合わせたい。トイレやお風呂はリノベーションされていて快適。

愛知県豊田市足助町西町36
TEL:0565-62-0170
部屋数:6室
定員:17名(対応できない場合もあり)
1泊料金大人:素泊まり5500円~ 朝食付き6500円~ 2食付き9500円~

■円錐形の美しい山容と山頂の磐座が神々しい

飯盛山城

平安時代の終わり頃、この山に足助氏初代重長が城を築いたと伝えられている。254mの山頂からは、足助城(真弓山城)を望める。古代からの信仰の対象、神が座ったとされる磐座が足助八幡宮と向かい合っている。

城郭構造/山城
築城主/足助重秀
築城年/12世紀後半
廃城年/天正18年(1590)
遺構/曲輪 空堀 井戸

■徳川家康のルーツと言われる松平氏発祥の地

松平郷

足助の近くには、徳川家康の祖先と言われる松平親氏が支配し、松平家の勢力拡大のきっかけを作った松平郷がある。かつて居館だった場所には松平東照宮、その近くには松平氏の初代と言われる親氏の像が建てられている。

愛知県豊田市松平町赤原9-1
史跡/松平東照宮 高月院 松平親氏像 松平城址 など

掲載情報は2024年1月現在のものです。商品、宿泊や入館などの料金、ならびに営業時間、定休日などはHPもしくは各所へ直接お問い合わせください。

【著者プロフィール】
城と蕎麦に魅せられた雑文家
野田伊豆守 IZUNOKAMI NODA

還暦を過ぎても頑張るフリーライター・フリー編集者。歴史、旅行、鉄道、アウトドアなどの分野を中心に雑誌、書籍で活躍。主な著書に、『語り継ぎたい戦争の真実 太平洋戦争のすべて』(サンエイ新書)、『旧街道を歩く』(交通新聞社)など多数。

文/野田伊豆守 撮影/金盛正樹 取材協力/アピオ株式会社

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