66103ビールは音楽だ! 音楽を聴くように楽しむ下北発のクラフトビールとは?

ビールは音楽だ! 音楽を聴くように楽しむ下北発のクラフトビールとは?

男の隠れ家編集部
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東京にある個性的な地ビールブルワリーを訪問。醸造所を見学しながら、ビール造りにかける思いをインタビュー。併設されたレストランや売店にも立ち寄り、そのブルワリーならではの地ビールの魅力を探る。

今回は、人の行き来がにぎやかな住宅街の一角にある祖師ヶ谷大蔵の「ライオットビール」を訪ねた。

■さまざまなカルチャーから生まれたビールを造りたい

祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩7分の角地にあり、自然と人が集まる場所にある

祖師谷ヶ大蔵にあるRIOT BEER(ライオットビール)の目の前の通りは、商店街ではないが人通りが多い生活道路。近くに砧公園や大学、病院などもあるため、行き交う人でにぎやか。散歩がてら、ふらりとビールを飲みにやってくる人の姿がライオットビールの日常だ。

2018年にスタートしたライオットビールの代表を務める上地風吾さんは、このエリアで地域医療を支えるビジネスをしてきた。しかし、アメリカ留学時代に見たクラフトビール造りが忘れられず、いつかやってみたいという思いが残っていた。そこで数年かけてビジネスを整理して、現在はライオットビールに注力している。

代表の上地風吾さんと醸造担当の小澤奈菜さん

「クラフトビールは地域に人を集めるには最適なツール。この地域を舞台に、ビールで居場所づくりをして盛り上げたいと思いました」

当初、オリジナルビールは1、2種類だったがどんどん増えていき、現在は日替わりで10種類のオリジナルビールがタップにつながっている。ビール造りの中心を担っているのは、醸造担当の小澤奈菜さん。生物を学ぶ大学院生だった頃に小澤さんの根気強い性格を見込んで、上地さんが醸造担当に抜擢した。

現在は上地さんが造りたいイメージを小澤さんに伝え、小澤さんが実際に数値化してビールを造りあげている。

小澤さんのほか、宮河ユキさんと上地志保美さんも醸造を担当している

「ひと昔前までビールというと大手ビールが日本のスタンダードでした。いまはブルワリーも増えてお店ごとに違う味が出てきて、いい環境になってきたと思います。うちでは、ホップの利いたアメリカンなスタイルやベルジャンのような酵母を使ったものもありますが、イギリス系のオーセンティックなものもよく造っています。どちらかといえば、いまの流行りとは対極ですが、そういうパブのカルチャーからできたビールも大切にしたいと思います」と上地さん。

現在、オリジナルビールが増え、需要も高まっていることから工場を建設する計画もあるそうだ。トレンドだけに頼らない、こだわりあるオリジナルのビール造りの充実がこれからも期待できそうだ。

■音楽を聴く気分で選べる、オリジナルビール

左から「ラウンド・ミッドナイツ」「レキシコン・デビル」「セタガヤ・コーリング」「ラバーズ・ロック!」いずれも1,000円

ライオットビールでは、店内のバーで毎日10種類のビールがタップにつながり、提供されている。ロックやジャズなど音楽をオマージュしたビールが多く、感覚的に選ぶことができる。

定番も多いが、季節限定のビールや珍しい副原料を使ったビールが登場することもある。

●サルベーション
ライオット定番のパンクロックIPA。柑橘シトラシーアロマとがっつりモルティビターネス満点のオールドスクールな1杯。ロックな気分で盛り上がりたい日に。

●ラウンド・ミッドナイツ
さっぱりとした夏の夜に飲みたいセゾン。フルーティなホップアロマと、セゾン酵母のスパイシーな口当たりにビターさを少し残して、キリッとフィニッシュさせた味わい。

●レキシコン・デビル
5種類のホップが醸し出すトロピカルフルーツのアロマと、オーツ由来のジューシーで優しい口当たり。苦味が少ないので、ビールが苦手な人にもおすすめな大人気Hazy IPA。

●ラバーズ・ロック!
トロピカルなボディに軽やかな柑橘ホップアロマで、ゴクゴクいけちゃう爽やかなセッション IPAに仕上げられている。踊り明かしたくなるビール。

●セタガヤ・コーリング
グレープフルーツ感とトロピカルなアロマにパンチの効いたボディ。ばっちりビターに仕上げられつつドリンカブル。ライオットビール4周年を記念して造られたアメリカンIPA。

ボトル詰めは1本1本行われている

ライオットビールはブルワリー併設のバーで飲めるほか、ボトル詰めされたビールが全国の酒屋や飲食店でも流通している。もともとコロナ禍でアルコール提供が難しかったのをきっかけに始められたが、青森から九州まで提供先が広がっている。また、オンラインショップでも販売中。

■散歩の途中にふらりと立ち寄るのにぴったり

醸造を担当するスタッフは、カウンターにも立つ

ライオットビールは、入ってすぐにバーカウンターがあり、ビールやおつまみを楽しむことができる。店内は壁にイラストが描いてあったり、映画のポスターが飾られていたりと遊び心が満載。

正面にあるタップからビールを注いでくれるのは、上地さんを始めとしたビール造りをするスタッフ。ビールの説明だけでなく、ビール造りの話も聞くことができる。

さらに、入って右奥にブルワリーがあり、中をのぞけるのも魅力。ちらっと見えているのは、石見式と呼ばれる醸造方法。タンクではなくポリ袋で醸造ができる仕組み。島根県の石見麦酒がやり始めたことから、この名前がついている。

石見式はマイクロブルワリーにとって、低コスト・省スペースでビール醸造ができるメリットも大きいが、ポリ袋で縛っているため、ホップのアロマが抜けやすいデメリットがある。

ライオットビールでは、酵母や麦汁の香りを強く出すことでそれを補っている。多いときは週に3回仕込みがあるため、早い時間に行けばそうした場面に立ち会うチャンスもあるだろう。

左から「サルベージ」、「アタシカデイズ」いずれも650円、「サルサソースとチップス」400円

ビールを楽しむなら、店内にカウンター席と軒先にテラス席が用意されている。いずれもふらりと立ち寄れるくらいの気軽さがあり、タップからそのまま注がれるのを待つ時間が楽しい。さまざまな種類のオリジナルビールを飲んでみるのがおすすめ。

おつまみには、ビアピザやビアクラッカー、ミックスナッツなどが用意されている。イチオシは、「サルサソースとチップス」。上地さんがかつて通っていたバーから教わったもので、辛さを抑え、たまねぎの甘みがしっかりと感じられるおいしさ。チップスにつけて食べると、ビールがぐいぐいと進むこと間違いなし。

販売されているTシャツは、たくさん種類が選べる

店内ではアパレルや雑貨などの展示販売もされている。ライオットビールのスタッフが着ているのと同じ「トーキョーハードコアビアクルー」のロゴが入ったTシャツをはじめ、ビールをモチーフにしたグッズが販売されている。ライオットビールに勤務するスタッフがデザインしたもので、なかなか手に入らないものなので、訪れたときはチェックしてみよう。

このほか、グラウラーも用意されていて、ビールのテイクアウトにも対応している。自宅でライオットの味を楽しみたい人におすすめだ。

ライオットビールは、リラックスしながら本格的なビール体験ができる場所だった。ブルワリーバーに気合をいれて訪れるというより、気軽に友達の家に遊びに行く感覚で訪れられる雰囲気がある。砧公園を訪れたら、散歩感覚で帰りに足を伸ばしてみるのがいいだろう。

【ライオットビール】
住所:東京都世田谷区砧5-11-10
TEL:050-5809-9387
営業時間:水~金 15:00~21:00、土・日 13:00~18:00
定休日:月・火曜
https://linktr.ee/RIOTBEER

取材・文:岡本のぞみ(verb) 撮影:山田大輔

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