74529『カーネル』編集長伝授!「今更聞けない」をなくす、知っておきたい「車中泊の基礎知識」

『カーネル』編集長伝授!「今更聞けない」をなくす、知っておきたい「車中泊の基礎知識」

男の隠れ家編集部
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目次

一度機会を逸したら、なかなか質問しにくいのが基礎知識。だが、こと車中泊においてはそれが命取りになることもある。基礎的なことは早めにクリアしておこう。

車中泊専門誌『カーネル』編集長の大橋さんに話を伺った。

【監修プロフィール】
大橋保之さん(「カーネル」編集長)

平成27年より同誌の編集長を務め、令和元年にカーネル株式会社を設立。車中泊やクルマ旅の情報を広く紹介している。

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■車中泊のメリットとデメリットは?

アルペンルートの玄関口・扇沢の無料駐車場では車内で仮眠をとって早朝出発する人が多い。

車中泊のメリットとデメリットについて考えていこう。まずメリットだが、これはなんといっても“自由な旅のプランを立てられる”ことが一番に挙げられる。

例えば普通の旅行だったら、出かける前に宿を手配して、チェックインしたら決められた時間に夕食をいただいて、といった前準備やお約束が発生するが、車中泊にそれらの概念はない。

さらに通常の一泊二日の週末旅行が、車中泊であれば金曜日に仕事を終えてすぐ行動すると二泊三日の旅になるという恩恵も。

一日増えたとしても宿代が増えるわけではないし、移動する距離も時間が増えた分だけ長くなり、本来は行くのを諦めていた場所へ行くチャンスも増えるかもしれない

こうして考えると、車中泊はメリットだらけのように思えるかもしれないが、実は人によってはデメリットになることも多い。

まず挙げられるデメリットは“慣れるまで眠れない”人が多いこと。普段の生活でも枕が変わると眠れない人は多いかもしれないが、車中泊では枕どころではない。車中泊に慣れるまで、朝までぐっすりの快適な睡眠はできないかも。

同じく、慣れないうちの失敗として多いのが気温対策。装備をしっかりと準備しておこう。

また、初めて訪れる場所だとトイレがあるかどうかも重要な問題になる。

ただ、これらのデメリットに対しては、事前に車中泊する場所をしっかり調べておけば最小限に抑えることができるはずだ。

どちらにしても、メリットもあればデメリットもあることをしっかりと理解して車中泊に臨もう。

●メリットの一例

・自由なプランを立てられる
・1日を有効に使える
・宿泊費を抑えられる
・渋滞を避けることもできる
・ペットと旅ができる

●デメリットの一例

・慣れないと寝つけないこともある
・トイレや設備などの下調べが必要
・季節によって寒さや暑さの対策が必須
・クルマの大きさによって人数が制限される

■車中泊旅の計画の立て方

車中泊のメリットは自由な旅のプランが立てられることと前述したが、自由だからこそプラン次第で旅の良し悪しが決まるのもまた車中泊の特徴だ。

ここで注意したいのが、“自由=成り行きまかせ”ではないということ。

もちろん、何時までにどこそこへ到着してとか、何時までに何をどうしてなどと綿密なプランを立てる必要はないが、それでも時間的なポイントはしっかりと考慮しておきたい。

ここで押さえるべきポイントは次の3つ。

まずは「翌朝、どこにいたいか」、次に「機動力を生かす」、そして「余裕を持つ」

車中泊ならではの機動力を活用して、夜に出発して遠くへ移動し、翌日最初の目的のために最適な場所で朝を迎えることが重要だ。

そのためにはザックリとでもチェックポイントを決めておくべき。そして何より事故は絶対に避けなくてはならない。無理な移動をしないためにも、余裕を持ったプランを立てるように心がけよう。

●3つのポイント

1,朝から楽しむ
 → 翌日朝にどこにいたいか
2,機動力を生かす
 → 朝出発よりも遠くへ行ける
3,余裕を持つ
 → 時間や体力に注意しよう

■車中泊する場所の選び方

近場のオートキャンプ場やRVパークといった車中泊に必要な設備が充実している施設から始めて、徐々に遠くの旅へ挑戦しよう。

実は車中泊において、もっとも重要な項目の一つが“場所の選定”だ。

まずは、自宅からそう遠くない場所から探すことから始めよう。

車中泊の知識に乏しいビギナーの場合、現地で装備不足に気づくことも多い。そんな時は無理に強行せず、宿に切り替えるか帰途につくことがベストな選択だ。自宅に近い場所の方がリカバリーしやすい。

またRVパークやカーステイのような車中泊専用の駐車場、車外でタープなどが使えるオートキャンプ場といった車中泊スポットがあれば良いが、道の駅や高速道路のSA・PA、一般施設の駐車場なら事前に車中泊の可否を調べよう

さらにコンビニやガソリンスタンドが近くにあるかも重要なポイント。意外と盲点なのが、これらの営業時間。地方だと夜間は閉まっている場合もあるので注意。

●これから始める人の3ステップ

1,自宅から遠くないところ
2,車中泊が可能なオートキャンプ場
3,RVパークなどの車中泊スポット

■シートアレンジや広さなど車中泊前にチェックしよう

足を伸ばして水平に寝られるかどうかが、エコノミークラス症候群の発生を防ぐ。(撮影/金盛正樹)

クルマで寝泊りするというと、どうしてもキャンピングカーを思い浮かべてしまうかもしれないが、実は一般車でも車中泊は可能だ。

ただ、どんなクルマでも良いというわけではなく、車内の広さやシートアレンジに一応の目安がある。まず、シートやラゲッジで足を伸ばして寝られるか。つまり、ベッドとして使えるかどうかだ。

さらにマットを敷いたり、改装して自作ベッドを備えつけるなど、快適度を増すこともできる。車中泊専用のマットや車種に合わせた専用のベッドキットなどもあるので調べてみよう。

それに対し、後からではどうしようもないのが車内の広さ

何人で車中泊するかにもよるが、目安としては居住部分になるシートやラゲッジルームの長さが身長プラス15㎝、幅が寝返りを打てるというもの。

足が伸ばせないとエコノミークラス症候群のリスクが高まる。車中泊をする前に、これらの部分はしっかりとチェックして無理をしないようにしておこう。

●確認したい車の広さ

・シートやラゲッジなどで、体を水平にして寝られるか
・長さ…身長+15cm。足を伸ばして寝られるか
・幅…寝返りがうてる、幅がないのはNG

■車中泊での基本装備はこの3つ

まず必要になるものは、寝床をできるだけフラットにし、かつ柔らかくするためのマット

シートを倒して寝ようが、ラゲッジスペースで寝ようが、どちらにしても車内での寝心地を良くしてくれるのがマットなのだ。

最初は量販店で見かけるような銀マットでも構わない。シートの凹凸をクッションなどで減らし、その上に敷くだけでも寝心地は大きく変わるはずだ。もちろん、車中泊専用マットなら寝心地は格別なものに。

目隠しだけでなく防寒・防熱対策も兼ねるウインドウシェードやカーテンも揃えておくべき装備の一つ。

そして、クルマに積んでおきたいのが寝袋だ。最近は気温別の寝袋がラインアップされているが、これらの出来がまた秀逸。季節に合ったちょうど良い温度で眠りへと誘ってくれる。

●車中泊 “三種の神器”

1,マット
車中泊用がベター、厚手のものが良い

2,シェード(カーテン)
目隠しだけでなく、保温などにも

3, 寝具(寝袋)
温度設定がわかりやすい寝袋がお勧め

●車中泊から防災まで、止まらないポータブル電源の進化

最近、進化のスピードが急激に加速した感のあるポータブル電源は、スマホ充電だけでなく電子レンジなどの家電にも使えるスグレモノ。車中泊の救世主になるかも。

写真のJackeryなど、さまざまなメーカーが販売中。(撮影/金盛正樹)

■車中泊を楽しむための“虎の巻”「カーネル」とは?

日本初の車中泊専門誌で隔月偶数月の9日に発売。一般乗用車での車中泊からキャンピングカー、ドライブスポットなど、車中泊やクルマ旅を楽しむ豊富な情報を取り扱う。

公式HP:カーネル

文・取材/小畑彰弘

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