ネット副業で、月10万円以上も稼ぐ会社員が登場している。彼らは多くの会社員にとって、目の高さにあるヒーローといえる憧れの存在だ。しかし話を聞いてみると、成果を出すには特別な才能が必要なのではなく、取り組む姿勢や時間術がものを言うことが分かった。
ブログを始めて2年目にして副業で月収100万円を達成、現在は法人を経営するマクリンこと新井涼太さんにネット副業で稼げる人の共通点を聞いた。
■「稼げるネット副業」と「稼げないネット副業」
会社員として働きながらネット副業している人が実際にどれくらい稼いでいるかご存知だろうか。マクリンさんの場合、ブログを始めた5年前から1年ごとにめざましい結果を残している。
2017年 ブログ「マクリン」開始
2018年 ブログのテーマをガジェットレビューに絞り、月5万円達成
2019年 ジャンルを広げ、月100万円達成。オンサインサロンを開始。ブログ事業を法人化
2020年 コワーキングスペース、雑貨店オープン
2021年 会社員卒業、オリジナルバッグ販売、撮影スタジオオープン
2022年 ブログ運営のノウハウをまとめた書籍を出版
マクリンさんのネット副業はブログに始まり、オンラインサロンやコワーキングスペース、YouTubeチャンネルにも手を広げている。現在は、会社員をやめて実店舗の運営やオリジナル商品の販売も手がけている。マクリンさんはブログからスタートしたが、ネット副業にはさまざまな種類がある。
代表的なものとしては、クラウドソーシングのようなスキルをシェアするタイプがあるが、Uber Eatsの配達員のように労働力を提供するものや、メルカリやAirbnbのようにモノを販売したりシェアしたりするものも含まれる。ネットを介した副業と一口に言っても、かなり多岐にわたっているのだ。
【ネット副業のサービス例】
クラウドワークス、PIXTA、ビザスク、ストアカ、Uber Eats、ベアーズ、メルカリ、ヤフオク!、BUYMA、スペースマーケット、Airbnb、Creema、YouTube、Instagram、TikTok
そんな幅広いネット副業も収益タイプによって、大きく2つに分かれると言う。
「ネット副業は、労働収益型とストック収益型に分けることができます。クラウドソーシングやUber Eatsの配達員などの労働収益型は、働いた分の報酬が支払われるものです。一方のストック収益型は、時間をかけて働いたとしても報酬が支払われるとは限りません。しかし、あるときビジネスが拡大する節目があり、働いた分以上の跳ね上がりが見込める。YouTubeやブログがこれにあたります」(マクリンさん、以下同)
何はともあれ「大きく稼ぎたい!」と思うなら、ストック収益型に軍配が上がる。ただし、この分野に参入した人のほとんどは1年未満でやめてしまうのも現実。そうなるとほとんど収益を上げられない。そうした人にとっては、ストック収益型は稼げないネット副業となってしまう。ネット副業をガッチリ稼げるものにするかどうかは、その人の取り組み方次第なのだ。
■ネット副業で稼げる人の共通する取り組み方や姿勢
ストック収益型のネット副業は、会社員で働くのとは違った取り組み方や姿勢が求められる。ブログ運営のためのオンラインサロンも開講するマクリンさんによると、稼げる人には共通点があると言う。
素直に飛び込む柔軟性がある
「オンラインサロンのメンバーにはさまざまなアドバイスをしますが、成果を出せる人は、総じて素直ですね。ブログもYouTubeもSNSも、世の中の動きやインターネットのアルゴリズムで利益が出せるポイントが変わっていきます。そうしたときに新しい情報やアドバイスを素直に受け入れて、やってみられるかどうかは大事。これまでやってきたことを忘れて、経験したことのないことでもやってみる柔軟性が求められます」
稼げるジャンルを選んでいる
「ジャンル選定は重要です。いくらがんばっても、伸び盛りのジャンルでないとうまくいきません。稼げる人は、これから伸びるであろう分野にアンテナを張ってキャッチする力がある。仕事で関わっている分野や好きな分野に固執すると、チャンスを逃すことになる。経験を積めばどんなジャンル選定をすればよいか分かるようになりますが、その勘どころが分からないうちは、いろいろな分野に取り組んでみて、収益の出たジャンルに特化していくという着実な方法もあります」
淡々と継続できる
「ストック収益型のビジネスは、収益が発生するまで時間がかかります。初めてのブログなら月5万円稼ぐのに1年はみたほうがいいですね。この結果が出ない『0から1』の期間がとにかくしんどい。本当に、やめようと思った瞬間こそビジネスが立ち上がるタイミングだったりするので、熱量を一定に保って淡々と継続することが大事です。一度結果が出ると、1年目に月5万円だったものが2年目に月100万円になる世界。あきらめないで継続すると、成果も大きくなります」
<あきらめず継続するためのコツは?>
(1)金額目標よりも行動目標を立てる
ビジネスを0から1に育てる間は、金額目標やPV目標を立ててもその通りにいかない。それよりも、行動目標を立ててそれをこなすことに集中。Instagramなら1日1投稿、ブログなら月10投稿、YouTubeなら週1回投稿などの行動目標を継続させてみよう。
(2)仲間や師匠をつくる
同じ目的をもつ仲間がいれば、つまずいたときに励ましたり、刺激を受けることができる。分からないことがあったときにアドバイスがもらえることもある。Twitterやオンラインサロンを上手に活用して、仲間や師匠をつくってみよう。
■ネット副業で稼げる人の時間術とは?
会社員のネット副業は、本業と違って時間がかけられない宿命にある。そうなると「時間がない」「忙しい」という言い訳も成り立ってくる。逆にいうと、「時間術を制するものがネット副業で稼げる」とマクリンさん。
目標を達成するまでは、遊びの時間を削る
「まずは副業に打ち込むための時間を捻出しなければなりません。僕の場合は、成果が出るまでの間、【飲みに行く】 【漫画を読む】【ゲームをする】【テレビを観る】【同僚とランチに行く】の5つをやめました。実際にも自宅のテレビは捨てました(笑)。けど、それくらいの覚悟が必要です。いまもSNSのスクリーンタイムは20分と決めています。無駄な時間を捨てて、副業時間として確保する感覚はとても大事です」
すきま時間で細かい作業をやっておく
「会社で働いていた頃は、通勤時間と昼休みも、副業の時間にあてていました。昼休みはブログ画像の撮影タイム。ガジェットをデスクで撮影してアップロードまでしていました。通勤時間の30分は、ブログの見出しや構成を考える時間です。そうすると、帰宅後にそのままブログ記事の執筆に取り掛かることができる。すきま時間に細かい作業をしておくことで、帰ってからの実作業に集中できます」
能率のよい朝時間を活用する
「僕自身は、帰宅後の夜の4時間程度をメインの作業時間にあてていましたが、本当は朝の時間を活用するのがおすすめです。実際、朝型生活ができていた頃は本当に能率がよかった。オンラインサロンのメンバーを見ても、4時や5時に起きて、作業できる人はうまくいっている人が多いですね」
期限を決めて集中してがんばる
「僕が最初の苦しい1年を乗り越えられたのは、『1年で月5万円を達成できなかったら、ブログやめる』と妻に約束させられたから。当然、常にプレッシャーがありました。でも、それがあったから集中してがんばれた。だらだらしがちな人は期限を決めるのも1つの方法です」
■ネット副業は、誰もが人生を変えるチャンス
やはりネット副業で稼ぐためには、相応の努力が必要なことが分かった。しかし、ネット副業を経て、新しい世界を切り開いたマクリンさんは、そのおかげで稼げるだけでない“いま”を手にしたと話す。
「僕がブログを始めたきっかけは、人生がつまらなかったから。当時34歳の僕は、必死で働いた20代が終わって、会社員生活が落ち着いていた頃。10年20年先を考えたときに、想定以上の人生にならないと思ったんです。結構な絶望感でした。道筋を変えたい、何者かになりたい、そういう思いが根底にあったんです。ブログで成果が出てからは、コワーキングスペースの運営などリアル店舗の運営もしているし、書籍も出版できた。実はそのおかげで、法人のある自治体の品川観光協会のコンサルも引き受けているんです。ネット副業からはじまって、地域に貢献できる仕事ができるなんて、想像もしていなかった。ネット副業を始めて5年経ったいま、想定外の人生に舵を切れました。だから、人生がつまらないと思っている人はネット副業を始めてほしい。僕ができたんだから、誰にもできる。ネット副業には、夢があると思います」
マクリンさんがネット副業を始めた理由は、人生の渇望感。そのがむしゃらさが結果を生み、新しい人生に漕ぎ出している。稼ぎたいだけでなく、人生をがらりと変えたい人にもおすすめの方法だ。
【取材協力:マクリン(新井涼太)】
株式会社makuri・合同会社レイテラス代表取締役。1983年、京都府生まれ。食品会社に勤務していた2017年5月に副業でブログ「マクリン」の運営を開始。その成功をきっかけに副業を法人化し、転職。その後、会社員も卒業し、現職。副業ブロガー向けオンラインサロン「マクサン」の共同オーナーを務め、2022年5月に、サンツォ氏との共著『書く副業で安定的に月収+10万円マクサン式Webライティング実践スキル大全』を出版している。
https://makuring.com
取材・文:岡本のぞみ(verb)