97170メトロポリスに佇む「塔の日本旅館」星のや東京で 北辰一刀流を学ぶ

メトロポリスに佇む「塔の日本旅館」星のや東京で 北辰一刀流を学ぶ

男の隠れ家編集部
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目次

都心でくつろぐ「塔の日本旅館」
第5回 星のや東京【東京都千代田区大手町】

「星のや」の5施設目として、2016年7月20日に東京・大手町に開業した日本旅館。コンセプトは「塔の日本旅館」。

地下2階、地上17階の縦の空間に、畳敷きの玄関、伝統的な和室や最上階の温泉で構成されています。 日本の歳時記に合わせた室礼、江戸や日本の文化を今に伝えるおもてなしを提供します。

デジタル機器から離れ 武士の鍛錬に身を委ねる

息も潜む静寂な空間を一瞬にして切り裂く鋭利な風音。

頭上から剣先を振り下す「真っ向切り」、刀を左から右へ動かす「胴切り」、そして右上に構え左下へ振り下ろす「袈裟斬り」。凛とした空気の中、美しくも力強い師範の剣術所作を眼前にし、思わず背筋がスッと伸びる。

「様々な要因で日々疲れている脳と体を活性させるには、武士の稽古が役立ちます」。そう話すのは、剣術稽古をつけてくださった「北辰一刀流 撃剣会」師範の髙田宏樹さんだ。

“北辰一刀流”は、江戸時代後期に千葉周作が創始した江戸三大道場の一つとして知られる剣術流派。

日本橋品川町に玄武館道場を構えた後に神田お玉ケ池に居を移し、坂本龍馬や山岡鉄舟らを始め三千余人もの門弟を排出した名門で現在で六世を数える。撃剣会は門弟の若手が立ち上げた興行部門で、現代においては新時代に即した稽古を行っている。

武士の世界に興味はあっても実際に門を叩くという機会はそうは多くないだろう。しかし今回、そんな北辰一刀流の武術修行を東京・大手町にある「星のや東京」にて体験できるというのでそのプランを予約。

もともと独創的なテーマで圧倒的非日常を提供する「星のや」だが、この体験は画期的でまさに唯一無二! タイトルも『脱デジタル滞在・東京~武士の鍛錬~』である。

現代人の日頃の疲れやストレスの要因となるデジタル機器から離れて過ごす1泊2日のプログラムで、剣術稽古や黙想で雑念を払い、集中力を高め、五感を研ぎ澄まして豊かな感性を取り戻すといった内容だ。

星のや東京が佇む大手町周辺は現在は高層ビルが建ち並ぶオフィス街だが、江戸時代には武家の上屋敷が点在していた場所。江戸三大道場の剣術道場もあったことから、まさに地域文化を生かした星のや東京ならではのアクティビティといえるだろう。

プログラムには大手町の地下1500mから湧き出る天然温泉の貸し切り入浴や、地域の食材と文化を技で紡ぎ日本の豊かな風土を表現した『Nipponキュイジーヌ~美食の集い~』と題した創作フレンチの夕食、さらにはスパトリートメントなども用意された充実内容。

もちろんメインの剣術稽古は、1日約1時間半ずつ2日に渡ってマンツーマンでみっちりと指南される。

地下駐車場からの入口。
玄関で正座して出迎えるスタッフや、畳敷きのフロアに日本旅館のおもてなしを感じる。

星のや東京はオフィスビル群に囲まれた都心の宿泊施設ながら、地下2階、地上17階の空間は現代に合わせて進化した日本旅館のスタイルを踏襲。

コンセプトは「塔の日本旅館」。隅々に伝統と季節が感じられ、日本旅館らしいおもてなしは都心にいることを忘れさせるくつろぎ感に満ちている。

それは入り口の青森ヒバの重厚な玄関扉が開いた瞬間から物語のプロローグの如く幕を開ける。まずは玄関にて座したスタッフの出迎を受け、履物を脱ぐ。

館内はほぼ畳敷きで繋がり、客室や各階にあるお茶の間ラウンジなどにも和紙や竹など自然素材が多用されている。

日本伝統の建築様式を生かした現代的な畳の客室。
障子に映る外観の麻の葉くずしの柄が趣深い。

チェックインの際には持参したデジタル機器を宿に預けるのがこのプログラムの始まりだ。そして客室でひと休みし、いよいよ北辰一刀流の剣術稽古へ。

稽古は星のや東京の2階にある和の多目的スペースで行われる。用意された袴に着替えると不思議と身が引き締る。

「礼に始まり礼に終わる。稽古は礼法である挨拶から始まります」と師範の髙田宏樹さん。礼法に則って挨拶した後は動作の基本につながる雑巾がけ、そして歩足、継足、遠足、踏込の所作を行い、抜刀、構え、納刀の刀法、さらに素振りへと進んでいく。

礼法の後に行う雑巾がけも大事な稽古のひとつ。

髙田さんの見事な刀法は惚れ惚れするばかり。自らは思うような動きはできないものの、呼吸や姿勢を整え、体幹を意識することで少しずつ形になるような気がしてくる。

「武術修行の本質は戦いのためではなく、平和な世をつくるための知恵や精神を得るもの。その精神性は日本人の道徳的価値観の基礎として今なお息づいています」

髙田さんが師範の撃剣会ではこの気高い精神を未来へと継承すべく、殺法の剣術ではなく“活法”としての剣術を伝授。武芸の心構えを普段の生活にも活用できるよう指導しているという。

歩足や継足など足運びの所作の後、構えの刀法や素振りを行う。
正眼の構えを基本とし、刀の剣先の延長線は相手の喉元に置く。素振りは上段振り、袈裟振りなどを学ぶ。

そして最後は真剣をイメージした斬道という所作を体験。立てた麩(試斬麩)の試し切りを模擬刀で行うのである。

1日目の練習を経て2日目が本番。稽古で学んだ一つひとつを踏まえ、息を整えて精神を統一し、袈裟斬りで一刀両断!

結果、1日目には割れてしまった試斬麩がスパッとした切り口に。正眼の構えに戻るまで表情を変えず集中するようにと言われていたのに、つい笑みをこぼしてしまったのは完璧ではなかったが、今まで感じたことのない爽快感と達成感を覚えた。

「体のあらゆる部位に意識を向け所作をこなすことが重要。稽古後は普段使わない部位の筋肉疲労が起こるかもしれませんが、脳疲労は解消され充実感を得ることができます」

デジタル機器を手放して自分自身と向き合う。時にはそんな時間が必要だと改めて感じ入った。

朝6時半からは黙想。正座をして手を組み、目を半眼にして呼吸を整える。
通年行われている地上160mのビルの屋上での「天空朝稽古」にも参加可能。スカイツリーや東京のビル群も一望のもと!

高田宏樹成雲

北辰一刀流撃剣会師範
北辰一刀流玄武館特練

北辰一刀流五世、六世宗家に剣術師事、剣舞一刀流宗家四世に剣舞師事、 両者の技芸を融合させた「武術舞」を六世監修のもと確立し、北辰一刀流 撃剣会として創設。星のや東京での剣術稽古の師範も勤める。東京都出身 31歳 。

「脱デジタル滞在・東京 〜武士の鍛錬〜」

デジタル機器を手放し、江戸時代から続く剣術の稽古に没頭して自分自身と向き合う1泊2日のプログラム。武士の鍛錬によって集中力や精神力を鍛えるとともに、都心に湧き出る温泉で心身をリフレッシュする。

料金:1名 94,380円(税・サービス料込)宿泊料別
含まれるもの:剣術稽古、袴レンタル、スパトリートメント、温泉、夕食、朝食
定員:1日1組(1〜2名)

夕食
「Nipponキュイジーヌ~美食の集い~」

日本各地で育まれた伝統的な食文化、郷土料理を、総料理長の岡亮佑氏が独自の感性で現代に置き換え、フランス料理の技術と融合させた独創的なコース料理。

仏料理の技術と日本人の感性で世界観を創造する総料理長・岡亮佑氏。
炊きたてのお釜ご飯と四季折々のおかずが彩り豊かに並ぶ和朝食。

江戸時代の参勤交代に着想を得て、食材が集結する東京だからこそ味わえる逸品が供される。料理名から想像する楽しさも堪能したい。

■始まりの一品(東京・江戸)

江戸の四大名物料理から「蕎麦」と「ウナギ」を取り入れ、フランス料理の技法でアレンジした逸品

■あいまぜ(三重)

栗南瓜をクロメスキに仕立て、春菊と蓮根餅などをちぢみホウレン草で包んでセリのソースで

■りゅうきゅう(大分)

大分県の郷土料理。鮮魚に絡めたごまだれの旨みに、カリッとしたゴマチュイルがアクセントに

■あほだき(三重)

じっくり火入れした牛肉に三重の郷土料理の塩分を抜いたたくわんの「あほだき」と牡蠣を添えて

星のや東京

コンセプトは「塔の日本旅館」。
地下2階、地上17階の別世界

最上階17階にある地下1500mから湧き出る天然温泉「大手町温泉」。天井が空いた露天風呂も。泉質は塩化物強塩温泉。

各客室階に設けられたお茶の間ラウンジで寛ぐ。

東京都千代田区大手町一丁目9番1
050-3134-8091 (星のや総合予約 9:30〜18:00)
チェックイン・アウト/15:00・12:00
客室数/84
料金/11万2000円~(1室1泊あたり、食事別、税・サービス料込)
アクセス/東京駅丸の内北口より徒歩10分、東京メトロ大手町駅A1,C2c出口より徒歩2分

文/岩谷雪美 撮影/新井寿彦(一部:星野リゾート)

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