98790年間300件泊まり歩くホテル評論家・瀧澤信秋さんに聞く「リゾートホテルステイのススメ」

年間300件泊まり歩くホテル評論家・瀧澤信秋さんに聞く「リゾートホテルステイのススメ」

男の隠れ家編集部
編集部
目次

都市部を中心にホテルが増加し、その建設ラッシュはリゾート地へと波及している。そこで大切なのが目新しい設備や斬新なサービスなどの差別化。快適なリゾートホテルとはどのようなホテルをいうのかを探った。

(※その他の写真は【関連画像】を参照)

【プロフィール】
瀧澤信秋(たきざわ・のぶあき)さん

1971年生まれ。ホテル評論家、旅行作家。国内ホテルを対象に、利用者目線やコストパフォーマンスを重視した取材調査、評論、批評を行う。
多様な宿泊業態を対象とした横断的評論から見えるホテル批評もテーマとし、ポジティブな情報ばかりではなく、課題や問題点も指摘できる日本唯一のホテル評論家としてメディアからの信頼も厚い。

■フルサービスタイプと宿泊特化型の違いを知ろう

ホテルといっても、「ビジネスホテル」「シティホテル」「リゾートホテル」とさまざまなタイプがある。「リゾートホテル」といえば、多くの人はリゾートにあるホテルをイメージするだろう。

「少なくとも『リゾートにある』『余暇を楽しめる』という2つはリゾートホテルの条件を満たしているといえます。しかし、リゾートホテルはそれだけではありません」とホテル評論家の瀧澤さん。

あまり意識していない人も多いと思うが、ホテルのサービス幅やスタイルには概ね2タイプある。

島の入り江に佇み、クルーザーやプール、美しい庭園を備えたぜいたくなホテル。(オリーブベイホテル

まずは「フルサービスホテル」。レストランを併設するほか、バンケットサービスやウエディングなどもカバーする。コンシェルジュがいる場合もある。

それとは対照的に宿泊以外のサービスを省き客室料金を低く設定した「宿泊特化型ホテル」がある。いわゆるビジネスホテルという呼称でおなじみだろう。

当然「リゾートホテル」といえばフルサービスタイプのホテルを想像するが、最近ではリゾートにリゾートホテルを彷彿とさせる宿泊特化型タイプが進出することが増え、トレンドとなっているそうだ。

そのなかでとくに瀧澤さんがお勧めするのが「レクー沖縄 北谷スパ&リゾート」だ。

「大浴場にサウナやプールがあり、広々した客室からは海が一望できるのに2万円を切る料金から宿泊できます。夕食は外食ですが、地元の代表者の『エリアの共存共栄』という考えに共感し、ホテルの外で夕食を楽しんでもらおうと決めたそうです。町全体をホテルと見なす戦略ともいえます」

フルサービスタイプのリゾートホテルは、レストランをはじめ多様なアプローチで差別化が可能だ。しかし、宿泊特化型リゾートホテルは差別化を打ち出すコンテンツが少ない。

そこでエリア全体を味方に付け、ホテルの魅力を高めようとしたという見方もできる。

さて、リゾートホテルの選び方について質問すると、瀧澤さんは一つの判断材料として小規模のホテルを選ぶ方法を挙げてくれた。

「たとえば沖縄の伊良部島にある『紺碧ザ・ヴィラオールスイート』。このリゾートホテルは8300m2の広大な敷地に、わずか8棟の宿泊施設しかありません。

特筆すべきは、スタッフのサービスが細やかで当意即妙な点。その対応に私は再三こころを癒やされ、感動さえ覚えたものでした。

一般的に大きなホテルには当然ですがスタッフのマニュアルがあることでしょう。一定レベルのサービスを提供するために不可欠ではありますが、無難な対応に終始するシーンもあるでしょう。

しかし、スモールホテルにおいてマニュアルを優先するのではなく、咄嗟の言動で対応してくれるシーンに多々出会いました。そのより密度の高い密接なホスピタリティは時に宿泊客の人生すら変える体験を与えることがあるのかもしれません」

そのほか、瀧澤さんが一度は訪れてほしいと勧めるフルサービスタイプのホテルが、長崎県大島町にある「オリーブベイホテル」。

隣接する大島造船所が経営するホテルで、船の引き渡し時に取引先の要人をもてなすために造られた。普段は1泊2万円ほどの料金で一般客を受け入れているという。

最後に瀧澤さんは「過ごし方によってフルサービスや宿泊特化型などのホテルを選ぶべきです。リゾートホテルの差別化は熾烈を極め、サービスは驚くほど向上していて、その進化は今後も続くでしょう」と語った。

そうした視点で観察すれば、今まで見えなかったリゾートホテルの姿がきっと現れてくる。それがリゾートホテルで過ごすひと時をより充実したものにすることは間違いない。

■【01】オリーブベイホテル

世界的建築家である隈研吾氏による設計で、客室のバルコニーからはクルーザーが発着する小さな湾の神秘的な光景を眺めることができる。

高い天井と全面ガラスのレストランで供される洗練された料理。採算を度外視したサービスが宿泊客の心を満たす。

長崎県西海市大島町1577-8
TEL/0959-34-5511
料金/1泊2食付2万9000円~
客室数/32室
チェックイン・アウト/15:00・11:00

■【02】レクー沖縄北谷スパ&リゾート

宿泊ローコスト特化型リゾートホテル。客室は広めの約50平米が基本だが、最大客室は9人まで泊まれる。

サウナ、プールなど完備で海も一望。夕食は近くのアメリカンビレッジなどの飲食店で楽しむ。

沖縄県中頭郡北谷町美浜34-2
TEL/098-936-2288
料金/1泊朝食付2万1488円~
客室数/277室
チェックイン・アウト/14:00・11:00

■【03】SHIROYAMA HOTEL kagoshima

標高108mの城山に位置する都市型アーバンリゾートホテル。

市街地とホテルを結ぶ循環バスは宿泊に限らずホテルの利用者は無料で使える。パブリックスペースが快適でスタッフの接客も極上だ。

鹿児島県鹿児島市新照院町41-1
TEL/0570-07-4680
料金/1泊2食付2万6400円~(入湯税別)
客室数/355室
チェックイン・アウト/15:00・11:00

■【04】センチュリーマリーナ函館

函館駅そばの朝市街の並びにある宿泊ローコスト特化型リゾートホテル。

夕食がない代わりに朝食ビュッフェが超豪華。客室は船室を思わせる造りで、最上階スパからは函館の風景が望める。

北海道函館市大手町22-13
TEL/0138-23-2121
料金/1泊朝食付2万2100円~
客室数/286室
チェックイン・アウト/15:00・11:00

■【05】紺碧ザ・ヴィラオールスイート

伊良部島大橋を望む、海も緑も空も瞬く楽園を思わせるロケーションにあるリゾート。

オールスイート仕様の8棟のヴィラのみ。紺碧の海を望むプライベートプールは温水に換えることも可能で一年中楽しめる。

プールサイドでBBQもできる。欲しいものはほぼ揃うなど、スタッフによるパートナーサービスに感動。

沖縄県宮古島市伊良部池間添1195-1
TEL/0980-78-6000
料金/1泊2食付5万2000円~
客室数/8室
チェックイン・アウト/14:00・11:00

■瀧澤氏の考える最良のホテル

●「ベッセルイン高田馬場駅前」に泊まってみよう。

東京メトロ東西線・高田馬場駅出口直結のホテルで、駐車スペースは計3台確保(予約制)。

瀧澤氏監修の3階客室BABAスイート(2室)は、駅前立地でありながらテラスでBBQが楽しめ、スチームサウナ、業務用製氷機完備。ワインのフルボトルも無料で付いてくる。

東京都新宿区高田馬場2-17-4
TEL/03-3202-0088 
料金/1泊朝食付1万6500円~
客室数/160室
チェックイン・アウト/14:00・11:00

文/相庭泰志

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