16356【次に旅に出る時の候補地として】かの坂本龍馬をはじめ英傑たちを生んだ土佐24万石の城下町を歩く|高知県・高知市

【次に旅に出る時の候補地として】かの坂本龍馬をはじめ英傑たちを生んだ土佐24万石の城下町を歩く|高知県・高知市

男の隠れ家編集部
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かつて土佐と呼ばれた、現在の高知県高知市は、関ヶ原の戦いの後、長宗我部氏から山内一豊を祖とする山内家により治められることになった。その際に現在の高知平野のほぼ中央に位置する大高坂山(おおたかさかやま)に城を築き、周囲に城下町を建設した。これが現在の高知城と高知市中心部である。
目次

城から東へ延びる追手筋は大名行列が通った中心街

端正な佇まいの追手筋。江戸時代には参勤交代の大名行列が通ったが、現在は日曜市や「よさこい祭り」の競演場としても使われている。

高知城の追手門から東を見れば、4車線の広々とした追手筋がまっすぐに伸びている。中央には青々とした楠の街路樹が茂り、道の両側には学校や図書館、商業施設などが整然と並ぶ。

毎週日曜日になると、片側2車線に約400もの出店が並ぶ日本最大級の街路市がここで開かれ、毎年8月9~12日には人々を熱狂させる「よさこい祭り」の一大舞台となる場所だ。

この追手筋は、江戸時代も重要な役割を果たしていた。参勤交代の際、大名行列は必ずここを通り、道沿いには藩主一族や家老など、身分の高い者の屋敷が並んでいた。

いにしえの建物こそ姿を消したが、通りを歩けば「山内容堂公誕生之地」といった歴史を物語る碑が所々で目に留まる。

家老のひとり、深尾弘人蕃顕の屋敷跡は、彼の名を取って「ひろめ市場」と名付けられた。平成10年(1998)に屋台村形式でオープンし、今では年間300万人が訪れる人気市場となった。

水産物店では魚介を購入して送ることも可能。

のぞいてみると、すでに昼からテーブル席で酒と肴を味わう人も。藁を使って一気に焼き上げる、カツオのたたきの香りが鼻腔をくすぐる。何時訪れても、人々の楽し気な会話が聞こえてくる。

ちなみに、この界隈には「武市瑞山先生殉節之地」「吉田東洋殉難之地」といった幕末史に残る事件を今に伝える碑も残されている。

高知市は太平洋戦争の空襲や昭和21年(1946)の昭和南海地震によって、市街地の歴史的家屋の多くを焼失した。しかし、道路や区画は江戸時代からほぼ受け継がれている。

城下は碁盤の目状の町割を踏襲しているため、初めての散策でも方角がわかりやすい。

街の基礎を築いたのは、初代土佐藩主・山内一豊。この辺りは、北を流れる江ノ口川と南を流れる鏡川がしばしば氾濫し、一豊以前の支配者・長宗我部氏は都市計画を断念していた。

そして一豊は難事業の治水工事に挑み、鏡川の流路を安定させて城下町を創成した。この成功によって、一豊は統治者としての能力を領民に示したのだった。

川に架かる天神大橋の先には潮江天満宮があり、江戸時代もこの橋が参道となっていた。

ひろめ市場から南へ歩いていくと、路面電車の走る本町筋を経て、鏡川へとたどり着く。豊かな水を湛えたこの川は、江戸時代には水運業や水練にも使われた。

初代藩主・山内一豊が治水工事を行った鏡川。

幼い頃の坂本龍馬は、男勝りな姉の乙女(おとめ)に鏡川で水練の特訓を受け、強い子どもに成長したという。

本町筋の喧騒から離れた鏡川沿いをのんびり西へ歩くと、やがて龍馬が生まれ育った上町に到着する。ここには、かつて下級武士や職人、商人が住んでいた。

現在は閑静な住宅街だが、「坂本龍馬誕生地」の碑や「龍馬の生まれたまち記念館」などがあり、彼に魅せられた人々の聖地となっている。

上町にある坂本龍馬生誕地。隣は病院。

聖地といえば、龍馬像で有名な桂浜へも足を延ばしてみたい。高知駅からバスで約30分。かつて城下町の堀は太平洋に注ぐ鏡川に繋がっており、水運業が盛んだった。

龍馬も少年時代、桂浜対岸にある造船の町・種崎を訪れ、海の向こうの世界へ想いを募らせたという。桂浜から大海原を眺めると、激動の時代を駆け抜けた龍馬のように、前向きな力が湧いてくる気がした。

有名な坂本龍馬像は、台座を含めて総高13.5m。

ひろめ市場

約4000㎡の施設内に、60を超える和洋中の飲食店や物販店などが並ぶ、高知の人気屋台村。好みの料理を購入したら、並べられたテーブル席で食事やお酒を楽しむ。相席の場合、「座ってもいいですか」と尋ねるのがマナー。高知名物カツオのたたきは、定食で900~1600円ぐらいで味わうことができる(量により異なる)。

平成浪漫商店街ひろめ市場
高知市帯屋町2-3-1
TEL:088-822-5287
営業時間/9:00~23:00(日曜は7:00~)
定休/店舗により異なる
アクセス/とさでん「大橋通」より徒歩すぐ

高知城歴史博物館

国宝や重要文化財を含む、山内家ゆかりの歴史資料・美術工芸品約6万7000点を所蔵・展示。土佐檜や土佐漆喰などを使った建築も見どころだ。展望ロビーやカフェからは、高知城を一望できる。

高知県立高知城歴史博物館
高知市追手筋2-7-5
TEL:088-871-1600
開館時間/9:00~18:00(日曜は8:00~)
休館日/12月26日~12月31日 観覧料/500円(企画展期間は700円)
アクセス/とさでん「高知城前」より徒歩すぐ

龍馬の生まれたまち記念館

坂本龍馬の人間形成の基盤となった家族やまちを紹介する記念館。当時の町の様子、龍馬の少年時代を中心に、映像や模型を用いて分かりやすく解説している。

高知市立龍馬の生まれたまち記念館
高知市上町2-6-33
TEL:088-820-1115
開館時間/8:00~19:00(入館は18:30まで)
休館日/なし 入館料/300円ほか
アクセス/とさでん「上町一丁目」下車、徒歩すぐ

坂本龍馬記念館

新館では、龍馬の書簡や龍馬が持っていたものと同型のピストルなどゆかりの資料を展示。本館には体験型展示「幕末広場」があり、龍馬が暗殺された近江屋の一室も復元されている。

高知県立坂本龍馬記念館
高知市浦戸城山830
TEL:088-841-0001
開館時間/9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日/なし 観覧料/大人700円
アクセス/高知駅バスターミナルからバスで約40分「龍馬記念館前」下車、徒歩すぐ

文/浅川俊文  撮影/池本史彦

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