21923インテリア界のパリコレに出展。白磁の皿などをアピール「波佐見焼」(長崎波佐見町)|〈ニッポンの陶磁器〉

インテリア界のパリコレに出展。白磁の皿などをアピール「波佐見焼」(長崎波佐見町)|〈ニッポンの陶磁器〉

男の隠れ家編集部
編集部
シンプルだけど洗練されたモダンな佇まいが若い世代に人気の「波佐見焼」。白磁の爽やかな器をイメージするが、江戸時代以前には青磁の生産が盛んだった。江戸時代に入ると、海外向けにつくられた「コンプラ瓶」で、その名を日本中に知らしめた歴史を持つ。
目次

シンプル・モダンな日本の白磁「波佐見焼」とは

[コンプラ瓶]東南アジアやヨーロッパへ輸出する酒や醤油を入れる瓶のこと。「JAPANSCH ZOYA」はオランダ語で「日本の醤油」。

波佐見町で焼かれる焼物のこと。当初は青磁を生産していたが、江戸時代には草花紋などをシンプルに描いた白地のくすんだ染付けとなった。巨大な連房式登り窯で、多量に焼かれたという。現在、中尾山周辺には江戸時代の登り窯跡が残されている。

透明感とともに、土のあたたかさが感じられる波佐見焼。彫った部分に別の土を埋め込んで文様を描く。(「利左エ門窯」にて)

江戸時代、ヒットしたのが「くらわんか碗」と海外向けの「コンプラ瓶」である。コンプラ瓶は徳利型の容器で、海外に販路を広め、文豪トルストイの書斎で一輪挿しに使われていたという話もある。

現代でも世界の波佐見焼は健在で、2013年1月にパリで開かれた「メゾン・エ・オブジェ 2013」に出展、伝統と現代をコンセプトとした器などが好評を得た。この見本市は、欧州各国からバイヤーが集う欧州最大級の見本市で、インテリア業界の「パリコレ」ともいわれている。

日用食器を生産する一方、高級磁器製品である花瓶や菓子鉢も作っている。(波佐見町「陶芸の館」にて)

また町の「やきもの公園」には、古代から近世にかけての世界の窯を野外展示する「世界の窯広場」や「波佐見町陶芸の館」がある。

世界の窯を再現した野外博物館「世界の窯広場

波佐見町やきもの公園の小高い丘にある野外博物館。世界を代表する12基の窯が再現されている。最も古い“野焼き窯”は山上に配置。世界の窯の歴史と技術を、遊びながら学べる公園だ。

長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷(やきもの公園内、陶芸の館前)
TEL:0956-85-2290(波佐見町観光協会)
年中開放(見学自由8:30~17:00)
アクセス:「波佐見有田IC」からクルマで5分、「嬉野IC」からクルマで15分、JR「川棚駅」よりバスで20分

波佐見焼の史料や工程を展示「波佐見町陶芸の館」

世界の窯広場と隣接する。1階はくらわん館として波佐見焼を中心に、民芸品などを販売。2階はくらわんか碗やコンプラ瓶など波佐見焼の歴史的資料や波佐見焼の工程を展示する。

長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷(やきもの公園内)
TEL:0956-85-2290(波佐見町観光協会) 
開館時間:9:00~17:00 入館無料 
アクセス:「波佐見有田IC」からクルマで5分、「嬉野IC」からクルマで15分、JR「川棚駅」よりバスで20分

※2013年取材

構成/アイランズ 写真提供/波佐見(はさみ)町観光協会

▶︎こちらもおすすめ「世界に誇る技法が華麗な色絵磁器を生み出す「有田焼」(佐賀県)|〈ニッポンの陶磁器〉」

編集部
編集部

いくつになっても、男は心に 隠れ家を持っている。

我々は、あらゆるテーマから、徹底的に「隠れ家」というストーリーを求めていきます。

Back number

バックナンバー
More
もっと見る