11327サウナ効果を上げる「ととのう」水風呂の入り方。入浴方法と温冷浴の極意を伝授

サウナ効果を上げる「ととのう」水風呂の入り方。入浴方法と温冷浴の極意を伝授

男の隠れ家編集部
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サウナの後は、水風呂に浸かることが一般的とされているが、この水風呂にはさまざまな効果が期待できる。免疫力を高め、血行を促進するなど水風呂で期待できるさまざまな効果とともに、水風呂効果をより高めるための入浴方法も解説する。
目次

はじめに

サウナ後によく利用される水風呂。実は、水風呂はただほてった身体を冷やすだけが目的ではないのをご存知だろうか。

この記事では、サウナ好きの人へ、水風呂にはどんな効果があり、どのように入浴すればよいかを紹介する。

入浴の効果を高める「水風呂」とは?

サウナで汗をかいた後は水風呂で火照った身体を冷やし、またサウナで汗をかくことができる。水風呂は、サウナ中の小休止のような場所だと思っている人も多いだろう。しかし最近では、水風呂が見直され、心身の健康に高い効果が期待されている。以下で、具体的にどのような効果が期待できるのか解説する。

「温冷交代浴」が持つパワー

温冷交代浴とは、温かいお湯と冷たい水に交代で入浴する方法である。交代浴をすることで、温めたときの血管の拡張と、冷やしたときの血管の収縮が続けて起こり、ポンプ作用によって血行が促進される。血液の流れが活発になれば、溜まっていた老廃物が排出されやすく、酸素や栄養素が全身に運ばれ、スッキリした気分になれる。

また、温と冷の繰り返しにより、交感神経と副交感神経が交互に刺激され、自律神経の乱れが調整される。これにより、疲労回復やリラックス効果も期待できるだろう。

最近ではサウナも同様に、高温のサウナで身体を十分に温め、その直後に水風呂に入って冷やす温冷交代浴として、さまざまな効果があるとされ注目が集まっている。

水風呂で「ととのう」メカニズムとは

サウナと水風呂では「ととのう」という言葉をよく耳にする。身体のなかでどのような反応が起こり、どういう状態を「ととのう」と表現するのか、ここではそのメカニズムを解説する。

サウナで熱くなった身体を水風呂で冷やすことで、急激な温度変化に対応するため、体内では代謝とエネルギー消費の促進が起こる。このプロセスで、交感神経と副交感神経の両方が活性化される。

熱さで汗をかき、交感神経が活発になり、興奮物質であるアドレナリンの血中濃度が上昇する。続いて身体が冷やされることで、今度は副交感神経が優位になるが、リラックス状態にしてくれる副交感神経が優位のなか、アドレナリンはすぐには消滅しないで体内に残る。つまり、絶妙のタイミングでサウナから水風呂への移動を行うことで、リラックスしながらハイな状態、つまり「ととのう」状態を体験することができるのだ。

水風呂の水はただの水?

水風呂といっても、蛇口をひねって出るただの水道水ではない。これだと季節や室温によって水温が変わり、温冷交代浴にちょうどよい加減にはならない。サウナなどの施設では、17℃前後に温度調整を行っている。一般的に、人が触って少し冷たいと感じる程度が理想とされているが、施設によって異なることもある。

サウナ通は水風呂の温度にこだわりを持っていることも多く、サウナに力を入れている施設などでは、温度を分けて複数の水風呂を提供することで他との差別化を図っているところもある。後述するように、水温は低ければ低いほどよいとされ、サウナ道を極めていくと、自分なりの水風呂へのこだわりが出てくるだろう。

しかし、健康を害してしまっては意味がない。とくに初心者ならすぐに飛び込むようなことはせず、入る前に温度を確認しておこう。家庭で水風呂を使うときには、30℃程度でも十分に効果は得られるため、無理をせず自分が快適だと感じられる温度に設定することが重要だ。

上級サウナーだけが知る「グルシン」の世界

「グルシン」という言葉をご存知だろうか。上級サウナーだけが知る“水風呂の境地”が「グルシン」である。

「グルシン」とは「シングル」の倒置語で、水風呂の温度が10度以下、つまり1桁台の水温のことを指す。一般に水風呂の温度は15~18度程度とされており、上級者にとっては水温が低い方が、よりハイクラスの「ととのう」を感じることができるとされている。

なかでも「グルシン」の水風呂があるサウナは全国でも珍しく、これも求めてサウナ遠征を行う人も多いと言われている。

水風呂で期待される健康への効果とは

火照った身体を冷やしてくれる水風呂は、サウナの醍醐味といっても過言ではない。そんな水風呂には、多くの健康効果が期待できる。具体的にはどのようなものがあるのか解説する。

心身のバランスを調整する

最近疲れが取れない、なんとなく調子が悪いと感じるのは、心と身体のバランス、つまり自律神経が乱れている可能性がある。自律神経のうち、交感神経は体を温めることで、副交感神経は体を冷やすことで活発になる。サウナの後の水風呂は、これらのバランスを保つのに効果があるとされる。

免疫力を高める

身体が冷えることで、体内では身体を温めようと血行が改善される。それに伴い、風邪などのウイルスに対する免疫力を高めることができる。

血圧の改善

サウナでは血管が膨張し血圧が低下、水風呂では血管が収縮し血圧が上昇する。これを繰り返すことで、血圧が正常値に近づくといわれている。

脂肪の燃焼

水風呂に入ると、身体が一気に冷やされるため、体内では身体を温めようとする。その際にエネルギーとして脂肪が燃やされるため、ダイエットも期待できる。

湯冷めしにくくなる

お風呂の後に、湯冷めして風邪を引いたという経験は誰しもあることだろう。水風呂に入るとさらに湯冷めに拍車がかかりそうだが、実はその反対。水風呂に入ることで皮膚や毛穴が収縮し、体内の熱を閉じ込めようとするため、湯冷めしにくくなるのだ。

水風呂の入浴方法〜温冷交代浴でコンディションを整える〜

上記で確認したように、水風呂には健康に嬉しい効能がいくつもある。次に、水風呂の効果をより高める適切な入り方を確認してみよう。

サウナで「ととのう」! 水風呂の入り方

心身への効果を最大限に高める、サウナと水風呂の活用方法を解説する。体調のよい日・タイミングを選ぶのは大前提で、身体にかかる負荷が高いため、決して無理をせず体調に不安があるときは延期しよう。また、十二分な水分補給を行うことが重要で、事前にペットボトルなどの水を浴室内に携帯するのも忘れてはならない。

基本的には、かけ湯やシャワーを浴びて身体や髪を洗い、まず全身の汚れを落とす。こうすることで、毛穴が広がりやすくなりサウナ効果で老廃物を排出しやすくなる。汗をかきやすくするために、濡れた身体を拭いて乾いた状態でサウナに入る。

最初は5分からおよそ10分、熱くなりすぎる前に一度サウナから出るのが重要で、我慢して無理をするのは禁物だ。その後またシャワーを浴びて汗を流し、水風呂に1~2分、これを繰り返すことで温冷交代浴の効果を得ることができる。もちろん一回で終了してもよいので、とにかく無理をしないようにするべきだろう。

サウナに入る前と出た後で、水分補給を忘れないようにするのも重要で、麦茶など、無糖でノンカフェイン、ミネラル分が含まれる飲料がおすすめだ。コップ一杯程度を摂取することで、汗とともに失った水分とミネラルをしっかりと補給しよう。

サウナの最後は外気浴で締める。暑さと寒さから解き放たれ、副交感神経が優位になり、最高の気持ちよさを体感できる。これがいわゆる「ととのう」状態で、サウナーにとっての至福の時間なのである。

家でもできる水風呂・温冷交代浴の方法

温度管理などがしっかりされている、専用のサウナ施設で行うのがベストだが、温冷交代浴は家庭でも取り入れることができる。家庭の浴槽で熱いお湯と水風呂に交互に浸かるといったことは難しいため、シャワーを上手に活用しよう。

まず、サウナと同様、最初に身体の汚れを落とし、しっかり汗をかけるようにする。軽くシャワーを浴び、身体を温めたら、40~42℃のお湯に3分から5分程度しっかり肩まで浸かる。少し熱く感じるくらいでお湯から出て、水またはぬるま湯をまず手足の先からシャワーでかけていく。

ショックを与えない範囲で急激に冷ますのが大切で、10℃くらいの温度差でも自律神経には刺激になるので、無理をして冷水を浴びる必要はない。30秒から1分くらいの間、しっかりと冷ましたら、バスチェアなどにゆったりと座って休憩し、これを繰り返す。これだけで温冷交代浴の効果を実感できるはずだ。

さらに凝るなら、子どもが使うようなポータブルプールを水風呂の代わりにしたり、家庭用サウナも各社から販売されていたりする。

一歩間違えば危険! 水風呂に入るときの注意点

温冷交代浴は健康に効果的といわれているが、急激な温度変化は身体にとって負荷がかかることも事実である。状況によっては大惨事につながる可能性もあるため注意が必要だ。

自分の身体を過信することなく、決して無理をせずに水風呂を楽しむことが重要だが、とくに注意すべき項目を以下に解説する。

持病のある人は行わない

当然ながら、心臓病など循環器系の持病がある人は行ってはいけない。血管を意図的に収縮させることによるヒートショック(※1)のリスクがある。冬場などの入浴でもこれによって亡くなる例もあり、とくに高齢者は注意が必要とされている。

糖尿病や腎臓病も、血管が弱くなっていることが多く、また同様に血圧に異常がある人も行わないようにしよう。

(※1) 体温と外気温の急激な変化で身体がダメージを受けること

体調の悪いときは入らない

とくに持病がなくても、風邪を引いている、疲れている、睡眠不足など体調が万全でないときには温冷交代浴は避けるべきだ。これくらいは大丈夫という過信が大きな事故につながる可能性もある。

また、飲酒後や前日のアルコールが抜けていないときに、汗をかいて抜くといった目的では、決して行ってはならない。飲酒によって、血管が拡張し一時的に血圧は下がった状態になっているが、そこで水風呂に浸かると、血管が急激に収縮する。ヒートショックを引き起こす原因になり、意識を失ってしまうこともありえる。

そのため、サウナや温冷交代浴は、体調がよいときに行うようにしよう。

入るときには足先からゆっくり

サウナで極限まで温まり、その直後にいきなり水風呂に飛び込むのは大変危険である。前述の飲酒後と同じように、広がっていた血管が急激に収縮し、体調によっては死の危険さえありえる。事前に少し水をかけるなどし、足の爪先からゆっくり入るよう心掛けておこう。

急がなくても、熱くなった身体が冷えないうちであれば、上述のような効果は十分に得られるので、焦って移動をすることで転んだり、すぐに水風呂に飛び込んだりする必要はまったくない。とくに初心者は、手足の先に冷水のシャワーをかけることや、30℃程度の水風呂からチャレンジするのがおすすめだ。

無理をせず、終始気持ちよく感じる状態をキープすることで、サウナや温冷交代浴の効果を最大限に得ることができる。最適な水風呂の入り方をマスターし、「ととのう」感覚を体感してみてほしい。


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