49324誰の祟りだったのか……「崩れ落ちる石垣とギリギリ井戸」|【城と怪談 その5】松江城(島根県)

誰の祟りだったのか……「崩れ落ちる石垣とギリギリ井戸」|【城と怪談 その5】松江城(島根県)

男の隠れ家編集部
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日本のミステリータウンとして人気の松江。町の象徴である松江城は不思議な伝承が残る。小泉八雲も興味を抱いた伝説とは。

崩れ落ちる石垣とギリギリ井戸

松江城の築城時、何度積んでも完成間近になると崩れてしまう石垣があった。ちょうど城の鬼門の方角に当たる部分であったため、城主の堀尾吉晴は霊験あらたかと評判の宮司を招き、敷地内を調べてもらった。

宮司は石垣の根本付近の一点を示し、そこを掘るよう指示。するとそこから、槍の穂先が刺さったしゃれこうべが出土する。宮司が三日三晩の大祈祷の末に手厚く祀ると、ようやく石垣は積み上げることができた。

この時に掘った穴をさらに深く掘ると、清らかな水が滾々と湧き出した。こうして誕生した井戸は「ギリギリ(つむじの方言)井戸」と呼ばれ、長く重用されたのである。

石垣に関しては盆踊りを開催し、その中でもっとも美しい少女を人柱にしたという言い伝えが残る。

霊験あらたかな宮司に言われ、何度積んでも崩れる石垣の根本部分を掘り起こしてみると、槍の穂先が刺さったしゃれこうべが現れた。
ギリギリ井戸の由来は、穴の形がつむじの形に似ている、城のちょうど中心あたりに位置する、など諸説あり。写真は堀尾吉晴公像。

【データ】
城郭構造:輪郭連郭複合式平山城
天守構造:複合式望楼型、4重5階地下1階
築城主:堀尾吉晴
築城年:慶長16年(1611)
主な城主:堀尾氏、京極氏、松平氏
廃城年:明治4年(1871)
遺構:現存天守、石垣、堀

島根県松江市殿町1-5
TEL:0854-32-2767
開館時間:8:30~18:30(4月1日~9月30日)、8:30~17:00(10月1日~3月31日)
休館日:年中無休
入館料:680円
アクセス:山陰自動車道「松江西IC」より車で約10分

文/野田伊豆守 撮影/遠藤 純
※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で掲載情報が変更になる場合があります。

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