新型コロナウイルス感染症の流行により外出を自粛する機会が増えた近年、巣ごもり需要の増加に伴って、自宅で新たにペットを飼い始める人も多くなっている。

そんな中、犬や猫などの哺乳類よりも手がかからず、男の一人暮らしでも飼いやすい「トカゲ」に注目が集まっていることをご存知だろうか。少年時代に追いかけた「トカゲ」が、大人になった男を再度魅了しているというわけだ。

ここではそんなペットとしてのトカゲについて、その生態や種類、飼う前に知っておきたいポイントなどを具体的に紹介しよう。

トカゲの生態

そもそもトカゲとは、爬虫類の中でも「有隣目トカゲ亜目」に属するものの総称である。熱帯地方を中心に全世界のあらゆる環境に適応し分布しており、判明しているだけでもおよそ4,500の種類があると言われている。日本にも、「ニホントカゲ」や「ニホンカナヘビ」などの品種が広く生息しているのは既知の事実だろう。

そんなトカゲを飼育するにあたって知っておきたい特徴的な生態には、「変温動物であること」と「定期的な脱皮」、「ストレスによる自切」の3つが挙げられる。

まず、トカゲは変温動物であるため、体温を一定に保つことが難しく、飼育時には生育に適した温度を保てるよう工夫する必要がある。さらに2つ目の特徴である定期的な脱皮の不全を防ぐためには、空気が過度に乾燥しないよう常時管理してやらなければならない。

そして最後に、トカゲは外敵から身を守る際、「自切」といういわゆる「尻尾切り」を行う種類が多いという点だ。飼育下ではストレスなどによっても自ら尻尾を切断してしまう。自切した尻尾はその後再生するものの、椎骨や鱗など、見た目や形が元とは少し違ったものとなる。自切・再生する際には生体へも負担がかかるため、できるだけ防げるよう、飼育環境に気を配る必要があることを覚えておこう。

トカゲを飼うための知識

では、そんなトカゲを飼育するにあたって、最低限知っておくべき知識にはどのようなものがあるだろうか。費用・寿命・餌・設備の4項目に分けて解説していこう。

費用

トカゲを飼うにあたって必要となる費用には、飼育ケースを始めとする設備代や生体の購入費などの初期費用と、餌代・電気代など継続的にかかる費用の2種類がある。

飼育する種類にもよるが、一般的に初期費用は「生体購入費1~2万円+設備購入費2~3万円」で、少なくとも3~5万円前後が必要になると認識しておこう。さらに継続的な費用として、餌代・電気代が月あたり各1,000円、紫外線ライトなどの消耗品代に1年あたり1,000~2,000円程度がかかると想定される。つまり、1年で少なくとも2万6,000円程度の費用が継続して必要になると考えておくのがよい。

もちろん生態によってはさらに費用がかかる場合もあるので、その辺も考慮しておく必要がある。

寿命

種類や飼育環境にもよるが、日本で好んで飼われることの多いトカゲの仲間は、平均して10年前後生きると言われている。人生のパートナーとして、長期にわたって共に過ごしてくれるはずだ。

たとえば一般的に飼育可能な種類のうち、特に長寿だと言われている「ニシマツカサトカゲ」はおよそ30年の寿命を持つ。一方、トカゲとしては短命な「アカメカブトトカゲ」や「ニホントカゲ」などでも5年ほど生きるため、飼育する際には「最後まで責任を持って飼えるかどうか」も検討材料に含めるべきだろう。

トカゲには、大きく分けて「肉食(動物食)」「雑食」「植物食(草食)」の3つの食性があり、それによって何を主食とするかが変わってくる。

ほとんどが肉食性もしくは雑食性で、ヒョウモントカゲモドキなどに代表される肉食性のトカゲには、生きたコオロギやミルワームなどの昆虫・節足動物をメインに、ピンクマウスのような小型哺乳類も与えることが可能だ。

一方、フトアゴヒゲトカゲのような雑食性のトカゲには、昆虫のほか、ニンジンやキャベツなどの野菜も主食として必要となる。近年では肉食性および雑食性それぞれに対応した人口餌も豊富に販売されているため、栄養バランスの補助や主食の代用としても選択肢に入れられるだろう。

そして中には、トゲオアガマなど小松菜や食用菊といった野菜だけで飼育可能な植物食性のトカゲも少数存在する。昆虫やマウスを餌として与えるのに抵抗があるという方には、飼育しやすいトカゲといえるだろう。

設備

トカゲ飼育に最低限必要な設備には、飼育ケースやそこへ敷く床材、身を隠すためのシェルター、保温用ヒーター、水入れなどが挙げられる。

飼育ケースは水槽やプラケースなどで代用することも可能だが、通気性が悪くなりやすいため、できれば爬虫類専用のケージを用意するのがおすすめだ。運動不足を招く原因にもなるため、サイズは生体に合った広めのものを選ぶようにしたい。

加えて、骨格形成や体温維持のため日光浴が求められる種類には、紫外線ライトやバスキングライト(保温用ライト)も必ず用意しよう。さらに温度計や湿度計も揃えると、より適切な飼育環境を整えやすくなるため便利だ。

ペットにおすすめのトカゲ

さて、トカゲを迎えるための知識を得たら、次に考えるべきは「どの種類を飼育するか」という点である。

ここからは、比較的おとなしく初心者にも飼いやすいおすすめのトカゲを6種類、その寿命や食性なども含めながら紹介していく。ぜひ、大切なパートナー選びの参考にしてほしい。

フトアゴヒゲトカゲ

ペットに適したトカゲとしてまずご紹介したいのが、「フトアゴ」の愛称でも知られる「フトアゴヒゲトカゲ」だ。

全身に柔らかいトゲがあり、まるで小さな恐竜のようないかめしい見た目をしているものの、意外とその性格は温和。さらに体が丈夫、かつ雑食性という特徴から、爬虫類飼育の初心者でも比較的飼いやすい種類である。

飼育下においては、コオロギ・ワーム類のようなペットショップで容易に手に入る昆虫や、ニンジン・キャベツ・小松菜といったスーパーでも買える野菜をよく食べるため、餌の入手に苦労することは少ないだろう。ペットとしての人気の高さから、ペレットやゲルなど、栄養バランスが整った人口餌の種類も充実している。

トカゲの中では大きめで、成体の全長は約40~55cmにもなる。そして成長が早く、このサイズになるまでに1年ほどの短い期間しかかからない。寿命は10年前後と平均的であるが、長ければ15年程度生きることもあるようだ。

生体は1~3万円前後で取引されており、ある程度成長した個体のほうが高額となる傾向にある。

ヒョウモントカゲモドキ

次にご紹介する「ヒョウモントカゲモドキ」も、穏やかな性格と、ふっくらした尻尾を始めとする愛らしい見た目から、ペットとして人気の高い爬虫類だ。

トカゲの仲間のうち、ヤモリ下目トカゲモドキ科に属するヤモリだが、まぶたがある・趾下薄板がない(垂直の壁を登れない)など、トカゲに近い特徴を多く持っている。英名の「Leopard Gecko(レオパードゲッコー)」を略し、「レオパ」と呼ばれることも多い。

名前のとおりヒョウのような黒い斑紋が特徴であるものの、モルフ(品種)によって黄色味の強さが異なったり、一切斑紋がなく真っ白だったりと、その体色や柄のバリエーションは豊富にある。寿命が約20年と比較的長生きな種類であるため、飼育前にはよく吟味し、お気に入りの個体を見つけるのがおすすめだ。

主にコオロギやワーム類などの昆虫を食べる肉食性で、飼育下においては生餌のほか、缶詰の昆虫や冷凍のピンクマウス、人口餌などが選択肢に含まれる。ただし個体によっては生餌以外をまったく受け付けないこともあるため、基本は生餌中心であると考えておいたほうがよいだろう。

成体の全長は20~25cm程度と小型で、価格は大体5,000円~2万円で取引される。

アオジタトカゲ

続いてご紹介する「アオジタトカゲ」は、オーストラリアやインドネシアなど、温かく乾燥した地域に生息する大型のトカゲだ。

天敵に襲われた際には名前の由来でもある青い舌を見せて威嚇するなど少々荒い気性で知られている一方、飼育下ではおとなしく、人に慣れる点がペットとして人気である。一説にはツチノコの正体ではないかとも囁かれる、太い胴と短い手足が特徴的だ。

アオジタトカゲには亜種が多く、ハスオビアオジタトカゲ・ヒガシアオジタトカゲなどの「オーストラリア系」と、オオアオジタトカゲ・キメラアオジタトカゲなどの「インドネシア系」の2種類に大別される。

系統によって体の色や模様、サイズなどに差があるもののいずれも雑食性で、コオロギやレッドローチなどの昆虫を中心に、冷凍のピンクマウスやヒナウズラ、そして補食としてリンゴやバナナなどの果物を与えてもよい。専用の人口餌も市販されているため、餌の選択肢は少なくないと言えるだろう。

飼育時には、最大で全長60cmほどにもなるその大きさと、15~20年程度生きる寿命の長さがポイントになる。存在感があり触れ合うこともできる大きなトカゲとより長く一緒に暮らしたいなら、アオジタトカゲが有力な候補に挙がるはずだ。生体は1~3万円ほどで取引されている。

オニプレートトカゲ

中~大型のトカゲの中では、次にご紹介する「オニプレートトカゲ」もペットとして人気がある。

全長は平均40cm前後、最大で50cmほどにもなる大きめのトカゲで、名前のとおり、四角いプレートのような硬く平たい鱗が並んだ見た目から無骨な魅力が感じられる。元々アフリカの乾燥地帯など過酷な環境に生息していることもあり体が丈夫で、飼育しやすいことも多くの人から選ばれる理由のひとつだろう。

亜種として、西アフリカのトーゴ産が有名な「ニシオニプレートトカゲ」と、ケニアやエチオピアなど東アフリカに生息する「ヒガシオニプレートトカゲ」の2種類が存在している。人によって好みは分かれるところだが、日本では全体的に色のメリハリが薄いヒガシオニプレートトカゲよりも、体の側面に赤いラインが入ったニシオニプレートトカゲのほうが人気は高い傾向にあるようだ。

食いつきのよい雑食性のため、コオロギやデュピアなどの昆虫をメインに、補助食としてニンジン・小松菜などの野菜やバナナなどの果物を与えるのが望ましいとされる。慣れれば雑食トカゲ用の人口餌を食べるようになる個体も多いため、栄養バランスの調整に活用するのもよいだろう。

寿命は10年ほどで、トカゲとしては平均的である。生体は5,000円~1万円前後と、比較的安価に購入が可能。

ヒナタヨロイトカゲ

一方、小型のトカゲで人気が高いのが、続いてご紹介する「ヒナタヨロイトカゲ」だ。日本国内では「ネッタイヨロイトカゲ」や「トロピカルヨロイトカゲ」などの名称でも流通している。

全身が小さいトゲ状の鱗で覆われており、まるでドラゴンのようなその見た目にファンが多い種類である。巣に隠れていることが多いおとなしい性質で、かつ成体でも10~15cm程度にしかならないため、扱いやすいのも魅力的だ。

体色は暗い黄色や灰褐色のものが多く、中には赤っぽい個体も流通している(ただし小型のヨロイトカゲは未だ分類がはっきりしておらず、これが個体差なのか別亜種なのかは詳しくわかっていない)。主に昆虫を食べる肉食性で、飼育下においてはコオロギやレッドローチなどの昆虫をメインに、補食として小さく切った冷凍ピンクマウスや肉食トカゲ用の人口餌などを与える。

寿命は5~10年程度と、少しだけ短めだ。生体は5,000円~1万円ほどの安価で取引されることが多い。

ローソンアゴヒゲトカゲ

最後にご紹介するのが、「小さいフトアゴ」と呼ばれることもある中型種「ローソンアゴヒゲトカゲ」だ。

これはかつて「ランキンスドラゴン」の名でも知られたアゴヒゲトカゲの一種で、はじめに紹介したフトアゴヒゲトカゲに相似する、全身の柔らかいトゲや恐竜のような見た目が魅力的な種類である。

雑食性の食性や飼い方も比較的手のかからないフトアゴヒゲトカゲと同様である一方、体長は最大でも30cm前後にしかならないため、大きすぎる爬虫類に抵抗のある人でも飼いやすい人気種だ。食事にはフトアゴ用の人工餌を活用することもできる。

寿命もフトアゴと同じく平均的な10年前後で、長ければ15年程度生きる個体もいるとされる。生体価格は1万~3万円程度が相場だ。

トカゲを飼う際に考えておくべきこと

そして、本記事の読者にどうしても知ってほしいのは、パートナーを決め、実際に飼い始める前には必ず考えておくべき点が2つあるということだ。最後に、飼い主になるなら忘れてはならない注意点として、それらをお伝えしたい。

トカゲの対応をしてくれる病院が近くにあるか

トカゲの飼育を考えるときに重要、かつ見落としやすいポイントが、「いざというときに頼れる病院が近くにあるか」という点だろう。

今回紹介したトカゲは比較的飼育しやすい種類であるものの、不慮の怪我や、下痢・便秘、脱皮不全など、飼育下で起きやすいトラブルには常に注意を払っておく必要がある。爬虫類を治療できる動物病院は犬や猫などの哺乳類ほど多くないため、特に緊急性の高い異常が発生した場合にもすぐ対応してもらえる病院については、あらかじめ目星をつけておくようにしよう。

餌の種類に抵抗はないか

先述のとおりトカゲには種類ごとに決まった食性があり、人気種の中には主食として生きた昆虫やピンクマウスを与えなければならないものも多くある。代用できる専用の人口餌も多く販売されているが食いつくかどうかは個体次第であり、用意した餌を必ず食べてくれるとは限らないという点は考慮しておきたいポイントのひとつだ。

どうしても苦手な餌を扱うことに抵抗がある場合、たとえばショップで既に人口餌に慣れている個体を選ぶといった手段が有効ではある。

ただ、ある日突然好みが変わり、人口餌をまったく受け付けなくなることも長期にわたるトカゲ飼育においては珍しくない。加えて、ストレスなど何らかの理由により一切食べ物を摂らなくなる「拒食」が起こった際には、あらゆる種類の餌を与えてみる工夫が必要になる。期待した餌を食べるとは限らないこと、状況に応じて苦手な餌も扱わなければならないことを前提に、飼育の可否や飼育する種類を検討するようにしてほしい。

まとめ

トカゲは非常に魅力的かつ、初心者にも飼いやすいペットだ。だがその反面、餌に生きた昆虫を与える必要があるなど、知らずに飼い始めてしまうと思わぬところで困りごとが出てくる恐れのある生き物でもある。特徴や注意点を知り、万全の状態で自宅へ迎えてほしい。

また、マンションや一人暮らしでも飼いやすいその他のペットについては、以下の記事も参考になるだろう。
飼いやすいペットとは? マンションや一人暮らしにおすすめの小動物を調査

本記事で紹介した内容が、長い時を共に過ごすパートナー選びの参考になれば幸いだ。

▼あわせて読みたい