82905雑誌「男の隠れ家」編集部が選んだいいもの。日本人に似合う細麦の中折れハット「麦わら帽子」

雑誌「男の隠れ家」編集部が選んだいいもの。日本人に似合う細麦の中折れハット「麦わら帽子」

男の隠れ家編集部
編集部

■「人工素材や機械には出せない清涼感と造形美」

●田中帽子店(埼玉県)× 麦わら帽子

(※その他の写真は【関連画像】を参照)

麦わら帽子は埼玉県春日部市の伝統工芸品の一つである。明治13年(1880)創業、田中帽子店は全国で数少ない天然草にこだわる帽子工場。現在は6代目がその技術を受け継いでいる。

春日部市は麦の生産地で栄えた。同工場の創業当時は「麦わら真田」が主力製品であった。これは7本の麦の茎を「真田紐」のように手で編んだもので、麦わら帽子の材料となる。そして明治30年頃になるとドイツから帽子用ミシンが導入されたことで、本格的に麦わら帽子の生産を開始した。それ以降、現在も当時と変わらない手法で麦わら帽子を作り続けている。

大型のプレス機を使って成型。水圧による絶妙な力加減の調整も職人の仕事。

麦わら帽子作りは、1本の長い麦わら真田を円状に重ねていくことから始まる。この「渦」と呼ばれる帽子のつむじ部分から外に向かって縫製する。麦わら真田をミシンにセットして丁寧に手繰り縫い合わすのだが、このとき素材となる麦わら真田が細いほど縫製作業が難しくなり、熟練職人でなければ美しい形に仕上げられない。

こうして縫い上がった麦わら帽子は湿度が低く空気が乾燥する冬の間、しっかりと天日干しする。天日にずらりと帽子が並ぶこの寒干しの風景は、冬の風物詩だ。その後、プレス機による型入れを行い、金型に合わせて水圧でプレスし成型する。デザインによっては複数の木型を組み合わせ、手蒸しで成型する場合もあるという。

渦の部分の縫製。隙間なく丁寧に麦わら真田を重ねていく。技術だけでなく、根気と集中力のいる作業であり長年の経験が必要だ。

春が近くなると、汗止めやリボンなどの装飾を施していよいよ出荷準備が始まる。最後に仕上げとして細かな麦わらの「ささくれ」を取り除く。

麦わら真田は、麦わらを編んだときに表面の皮がめくれたり、芽の部分が飛び出したりしてしまうため、これをカットする必要がある。機械では難しいので手作業で帽子をさすりながら細心の注意を払って行われる。美しい帽子を完成させるため仕上げの作業まで職人たちは気を抜けない。

今回紹介しているFaro(ファーロ)は、帽子の高さを絶妙に計算し、現代の日本人の頭に合うように設計された人気モデル。細麦を幾重にも縫製するため手間が掛かる。しかしその分、前つばを少しダウンさせたクラシカルな見た目の美しさや、帽子をかぶったときのフィット感は抜群。

また乾燥した麦わらは、茎の繊維に目に見えない無数の穴がある。通気性に優れ、帽子の中が蒸れにくいようになっている。加えて少し硬めの素材であるため、つばを長くしても垂れづらく日除け用としても重宝する。

仕上げにも余念がない。現在、工房は6代目である田中優さん(写真)が帽子作りの伝統を引き継いでいる。

【商品概要】
製品名:Faro 麦わら中折れ
価 格:1万1000円~
サイズ:縦28.5cm×横27cm×高さ11cm、頭周り 59cm(面テープによりサイズの微調整可)、つばの長さ 5cm(前後とも)
素 材:本体/天然麦わら、リボン/レーヨン、汗止め/ポリエステル
カラー:ナチュラル×ブラック&ブラウン

田中帽子店
埼玉県春日部市赤沼1347
TEL:048-797-8391 
公式HP:田中帽子店

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