105008遠藤憲一 ご当地の魅力に出会う旅 第一回「界 玉造」|王道映ゆる湯、あたらしきを湛ふ湯宿へ。

遠藤憲一 ご当地の魅力に出会う旅 第一回「界 玉造」|王道映ゆる湯、あたらしきを湛ふ湯宿へ。

男の隠れ家編集部
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王道なのに、あたらしい———。遠藤憲一さんが日本全国の「界」をめぐり、その地ならでは特徴をいかした湯宿、さらに「ご当地楽」に出会う、春夏秋冬旅。

【プロフィール】
遠藤憲一(えんどう・けんいち)
1961年東京都生まれ。1983年ドラマ「壬生の恋歌」でデビュー。個性派俳優として数多くの映画・ドラマで活躍。BS朝日「きっちりおじさんのてんやわんやクッキング」では、初心者ながら料理に奮闘する素の姿が人気。2025年7月より新ドラマ「大追跡〜警視庁SSBC 強行犯係〜」に出演中。

■神話が宿る玉造の湯宿で日々の穢れを落とす旅

「一たび濯(すす)げば形容端正(かたちきらきら)しく、再び沐(もく)すれば万病悉(ことごと)く除(のぞ)ゆ」

これは天平期に完成した「出雲国風土記」に記された言葉。曰く「一度入ると美しくなり、再び入ると万病が治る」という意味である。

歴史を遡れば神話の時代に大国主命と共に国作りをした少彦名命がこの出湯を発見し、奈良時代に開湯したとされる玉造温泉。そのため“神の湯”とも称されている。

宍道湖(しんじこ)にキラキラと太陽の光が跳ね返り、初夏の日差しが眩い季節、俳優・遠藤憲一さんは出雲国(島根県)に降り立った。

温泉旅館「界 玉造」は、いにしえの湯と出雲文化を遊ぶ宿。今回の旅の目的地である。

温泉宿が建ち並ぶ玉造温泉街の中に、ゆったりと佇む「界 玉造」。客室が24室のみということもあり、静かな環境で過ごすことができる。

「仕事柄、都内近郊にいることが多いから久々に遠くへ来たね」

遠藤さんにとって出雲へ訪れるのは十数年ぶりのこと。久々の湯宿滞在を存分に愉しみたいと話す。

15時、チェックインを済ませ、手入れが行き届いた庭園を見渡しながら太鼓橋を渡り、部屋へ。今回予約しているのは「界 玉造」自慢のご当地部屋「玉湯の間」だ。

フロントから部屋へ向かう途中の太鼓橋は、宿の象徴的スポット。眺めが麗しい。

全24室すべてに露天風呂が備わり、伝統工芸の藍染や出雲鍛造が随所に配されたモダンなあしらい。神話の記述から島根が発祥ともされる日本酒蔵の麹室をモチーフにした次の間も、他の宿にはない特徴である。

部屋に入りソファーで一息。見渡すと部屋の各所には「たたら製鉄」由来の品々が彩りを添えている。

広々とした「玉湯の間」で「出雲のたたらと出会う」プログラムのお着き菓子「玉鋼」をいただきながらリラックスした様子の遠藤さん。ベッドの周りには表情豊かな藍染が美しく配されている。
次の間は麹室をモチーフにし、テーブルには酒樽を利用。すべての襖を閉めると独立した空間となりお籠りが愉しめる。
宿泊した客室のインテリアには出雲鍛造の品が。棚の取っ手なども出雲鍛造製。
コバルトブルーに色付けられた結晶糖が美しい菓子「玉鋼」。

この地では古来より伝わるたたら製鉄が、今もなお世界で唯一その炎を灯し続けている。「界 玉造」では「出雲のたたらと出会う」プログラム予約者には、お着き菓子「玉鋼」が供される。

地元の菓子職人がオリジナルで作る和スイーツで、玉鋼とはたたらでしか作ることができない鉄の中でも最上質で、日本刀の原料となるもの。それを模した菓子も趣深い。

「さぁ、まずは明るいうちに玉造の湯をたっぷり愉しみますか」

1300年も前から美肌などの効能がある湯として謳われた玉造温泉。「お湯が柔らかくて、とても優しいね」。

早々に訪れた大浴場はお社を模った湯口が中央に鎮座し、出雲らしい雰囲気。三方に配された広い窓から差し込む光と、植栽の緑が湯面に輝いている。

泉質はナトリウム、カルシウム、硫酸塩、塩化物泉。神経痛や筋肉痛、関節痛などに効能があるという。肩までしっかりつかった遠藤さん。化粧水とも称される美肌の湯で日々の疲れを落とすが如く、時間を忘れて湯浴みを愉しんだ。

「温泉に入ったらすっかりお腹が減った。夕食も旅の醍醐味だよね!」

滞在着に着替えを済ませて庭園を望む食事処へ。島根ならではの旬の味覚が食卓を華やかに彩る。

棚田を象った台で提供する「宝楽盛り」。最上段は先付けの「のどぐろの炙り 生ハム ゆず大根」。
宍道湖の特大サイズのしじみで出汁を取り、島根和牛ロースを堪能する「しじみ牛しゃぶ」。(※)
「しじみが香って、お肉もさっぱりと味わい深いね」と遠藤さん。

食べることが大好きだという遠藤さんは、「しじみ出汁でしゃぶしゃぶをするのは初めて」と驚きつつ「しじみ牛しゃぶ会席」の、多彩で滋味深い味わいを五感で堪能した。

さて、食後にも愉しみがある。「界」では各地の伝統や文化を紹介する「ご当地楽」が用意されていて、ここ玉造ではヤマタノオロチ伝説を題材にした石見神楽(いわみかぐら)が披露される。

「石見神楽は初めて見たけど演出にも驚いたし、こんなに迫力があるとは思ってなくてビックリしたよ」

ご当地楽「神楽」は鮮やかな衣装をまとった宿のスタッフが、軽快なお囃子に合わせて披露。遠藤さんも歓声を上げて愉しんだ。

鑑賞後は22時前に自室へと戻りバルコニーの露天風呂で就寝前の湯浴み。「お湯の温度がちょうどよくてお肌もツルツル。さすが玉造の湯だね」と安堵の息を漏らす。

こうして遠藤さんの出雲旅一日目は、湯煙とともに幕を閉じた。

部屋の露天風呂はバルコニーが広く、贅沢な空間。遠藤さんが滞在した部屋は信楽焼の湯船だったが他に檜露天風呂の部屋もある。

翌日は「界 玉造」が提案する「出雲のたたらと出会う」プログラムへ。たたらの技術を十代にわたり継承し、国内外で高い評価を得る「鍛冶工房 弘光」で遠藤さん自ら鉄打ちを体験。

職人の小藤宗相(ことうしゅうすけ)さん指導のもと作業着姿の遠藤さんが、炉の炎で赤く熱された鉄を叩く。40℃を超える室温の中で金槌を振り下ろし続け、作り上げた作品は鉄の皿。

初めての鉄打ち体験に夢中になる遠藤さん。
完成した鉄皿に水を入れ、花を生けた。

「均等じゃないのが僕らしい皿かな、と。伝統技法、本当に奥深いね」

俳優として忙しい日々を送る中、ご当地の魅力を求めて「界」を巡る旅は、いま始まったばかり。遠藤憲一さんの湯宿旅、次回は何処へ――。

■島根の酒「日本酒BAR」

県内ほぼ全ての酒蔵の日本酒を取り揃え、好みに応じて飲み比べセットも提供。島根の個性豊かな地酒が愉しめる館内のBARだ。

■山陰の海の幸と古の文化 名湯・玉造で時を忘れる湯宿

「王道なのに、あたらしい。」をコンセプトに全国23施設で展開する、星野リゾートの温泉旅館。

ジャケット13万7500円、パンツ7万2600円、スニーカー7万4800円(ヨウジヤマモト プールオム)、シャツ5万600円(ワイズフォーメン)、デイパック7万2050円(吉田)

問/ヨウジヤマモト プレスルーム☎03-5463-1500、ワイズプレスルーム☎03-5463-1540、吉田☎03-3862-1021

スタイリング/中本コーソー ヘアメイク/村上まどか 文/田村巴 撮影/野村雄治 取材協力/界 玉造

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