【界(KAI)とは?】
星野リゾートが全国に展開する温泉旅館。ご当地の魅力に出会える宿として日本各地の温泉地22カ所に拠点を持つ。
雄大な霧島の山々に抱かれた圧巻のランドスケープ




立ちこめていた乳白色の霧が薄らいできたかと思うと、窓の外に映る景色が徐々に輪郭を際立たせてきた。やがて雲の合間から陽光が注ぎ、墨絵のようだった山々が目覚めたかのように鮮やかな色調に変化していく。
正面彼方には錦江湾に浮かぶ桜島が姿を現し、左に目線を転じると高千穂峰が優美な稜線を見せ始めていた。


思わず息を呑む景観を客室やパブリックスペースに居ながら望むことができる贅沢……。それは、滞在していた「界 霧島」が霧島山の中腹に位置し、開放感あふれる大自然に抱かれたロケーションだからこそだ。
霧島山は鹿児島県と宮崎県にまたがる20余の火山から成る山々の総称で、中でも標高1574mの高千穂峰は日本神話と関わり深い「天孫降臨」の舞台。
古事記・日本書紀には、天照大神から神勅を受けた“瓊瓊杵尊”(ににぎのみこと)が高千穂峰に降臨したと記され、山頂には“天の逆鉾”(あまのさかほこ)が突き立てられている。
その瓊瓊杵尊を御祭神とするのが国宝の霧島神宮で、古来、深い信仰を集めてきた。


「界 霧島」でも人気の“ご当地楽”で、物語を表現した演舞「天孫降臨ENBU」を披露したり、また特別プランの「霧島開運旅」などを用意。
宿に滞在するだけでも先のように神々しさをさまざまに体感できるが、霧島開運旅はより神様を身近に感じ活力を得ることができるという内容だ。


令和4年に霧島神宮が国宝に指定されたことを記念し、「霧島開運旅」を2泊3日のより充実した内容にリニューアル。神宮に祀られている天孫降臨ゆかりの“九面”の特別拝観や、オリジナル御朱印帳作りと御朱印拝受などを体験。
特別室に宿泊して清めの塩と温泉で穢れを払い、霧島神宮の特別祈願や御朱印拝受など、実際にそのプランに沿って時を過ごすとすっかり身も心も整い穏やかに。
オプションで高千穂峰の登山もできるそうだ。


もちろん、宿自慢のすすき野原に囲まれた露天風呂や木の香豊かな湯小屋での湯浴み、鹿児島の食材を活かした季節の会席料理なども心行くまで堪能できる。
厳選の焼酎も多彩に揃っており、煌めく薩摩切子のグラスで味わうとまさに口福、至福。あぁ、これぞ開運旅!



伝統工芸品の薩摩焼や龍門司焼などの器で楽しむ会席料理。特別会席で供される和牛・黒豚の天地蒸しは黒酢で味わう。
界 霧島
鹿児島県霧島市霧島田口字霧島山2583-21
料金:1泊2食付き 3万1000円〜(2名宿泊時の1名料金)
問い合わせ・予約:050-3134-8092(9:30AM〜6:00PM)
公式HP:界 霧島
文/岩谷雪美 撮影/秋 武生
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