【界(KAI)とは?】
星野リゾートが全国に展開する温泉旅館。ご当地の魅力に出会える宿として日本各地の温泉地22カ所に拠点を持つ。
ご当地楽で体験する伝統文化。津軽の土地が育んだ技の世界

“津軽”という場所に想いを巡らせる時、浮かんで来るのは、情の深さや気骨な土地柄に裏打ちされた独特の文化である。
青森県の西側約半分が津軽エリアに属し、中でも霊峰岩木山を背景に見せる四季折々の美しさは格別。
一方で、冬の厳しさも生活の中にあり、双方の自然環境と向き合いながら生まれてきた文化が、津軽という地を際立たせている。
弘前の奥座敷として親しまれている名湯・大鰐温泉に佇む「界 津軽」。


ここでは津軽の伝統文化を随所に感じることができ、内装や“ご当地楽”などの独自のもてなしに興味が尽きない。
まずは、「津軽こぎん刺し」を施した客室や廊下にはじまり、毎晩披露される迫力満点の「津軽三味線」の演奏もまさに津軽の伝統そのもの。
前者の津軽こぎん刺しとは、かつて農家の女性達が、着物の擦り切れを防ぎ寒さをしのぐために縫った刺し子のことで、菱形を主とした幾何学模様が美しい。
それを行灯や掛け軸などのインテリアにあしらい、またトラベルライブラリーではこぎん刺し体験も楽しめるよう道具一式が用意されている。


ロビーラウンジでは「津軽三味線」全日本チャンピオンの渋谷幸平氏による生演奏が毎晩披露される。
他の三味線とは一線を画す“叩き”という打楽器的な奏法が特徴で、空気を震わす力強い音色に心を奪われることだろう。
ちなみにもっと知りたい人向きには、渋谷氏から直接指南を受ける特別講座もある。


さらに、青森ヒバが香る内湯や、雪見風呂をイメージした“かまくら露天風呂”などの温泉はもちろん、湯上がりに味わう食事も秀逸だ。
地元の山海の幸を伝統と革新の調理法で駆使。特別会席料理では春は花見蟹、夏は鮑、秋から冬は鮪の最高峰と称される“大間のまぐろづくし”など、まさに青森の豊かな彩りに、口福感を覚えずにはいられない。




青森の旬を堪能する特別会席「大間のまぐろづくし会席」(秋~冬)。鮪と雲丹のあられ和えの先付け、中トロと赤身の鮪のお造り、握り寿司、鮪のねぎま鍋などの他、土鍋で炊いたご飯に漬け鮪を載せて味わうなど鮪づくしの感動的な内容だ。


青森県出身のデザイナー山端家昌氏のプロデュースによる、こぎん刺しの魅力を生かしたご当地部屋「津軽こぎんの間」。客室棟の廊下にも施している(左端写真)。
界 津軽
青森県南津軽郡大鰐町大鰐上牡丹森36-1
料金:1泊2食付 2万5000円~(2名1室利用時の1名あたり)
問い合わせ・予約:050-3134-8092(9:30~18:00)
公式HP:界 津軽
文/岩谷雪美 撮影/秋 武生
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