奄美大島では、自然と向き合う数々の体験ができる。それは決して激しいアクティビティばかりではなく、ただ座ってゆっくり対峙するだけでも尊い時間となるはずだ。サンセットクルーズやヨガ、星空鑑賞などを通して、自分なりの秘密基地の見つけてみるのはどうだろう。
360度全方位、幻想的な色に包まれるサンセットタイム
奄美大島は“いい意味で派手さがない”と別記事で述べたが、それは決して見どころがないということではない。島を取り囲む自然の雄大さを目の当たりにすると、勝手に“見どころ”と呼んでしまうことすら、おこがましく思えてくる。
滞在中、宿泊していたホテル「THE SCENE」が所有する小型船で、サンセットクルーズを体験した。大島海峡へ出航すると、まず刻一刻と移り変わる空と海の配色美に心を奪われる。そして完璧な時間に完璧な場所で夕陽を拝む。そこがクライマックスかと思いきや、日が沈んだあとの焼けた空は、さらに美しかった。
夕陽なんて何度も見たことがあるはずなのに…と、思わず我に返ろうとするかもしれないが、この時ばかりは周りに広がる景色に没頭したほうがいい。海の上で過ごすサンセットタイムは、ゾクゾクするほどドラマチックだ。
自分の心のなかに秘密基地が見つかる!海を見ながらのヨガ体験
夕暮れの海で感動的な時間を過ごした翌朝は、海を見ながらのヨガもいいだろう。「THE SCENE」で行われるヨガは、屋外のウッドデッキが会場。
目の前に広がる海のパノラマ絶景を見ているだけで、呼吸が穏やかになる。目を閉じると波の音にフォーカスすることができるので、よりリラックス効果が増す。心地よさを手に入れたら、その境地がきっと自分にとっての秘密基地になるに違いない。
もし夜明け前に起きることができたら、瞑想専門のレッスンを受けてみるのも良さそうだ。ホテルに面しているヤドリ浜を歩く「アーシング瞑想」や、付近のホノホシ海岸へ出向く「ホノホシ瞑想」は、いずれも日が昇る前に行われるのだとか。自然のチカラを借りながら心を整えるという尊い体験は、奄美でのウィッシュリストにぜひ加えてほしい。
長い年月を経て生み出された自然現象に、不思議と癒やされる
前述のホノホシ海岸は、奄美大島南部の太平洋に面している。海が美しいのは言うまでもないが、目を奪われるのは海岸の砂利。手のひら大くらいの砂利が、全て玉石なのだ。打ち寄せる荒波によって長い年月をかけて丸くなった石は、波が引くときに石同士が擦れてカラカラと独特の音を奏でる。
聞いたことのない音に、なぜか癒し効果を感じるのだから不思議だ。人もまばらなので、音に包み込まれるような神秘的な体験ができるだろう。なお、玉石は持ち出し禁止なので注意。
奄美の夜空は、天然のプラネタリウム
奄美大島の夜空は、天体ショーと言っても過言ではない。大抵どこからでも見られるから、場所を選ぶ必要もない。ネオンから離れたら車を止めて、あるいは海岸で、ホテルの屋上で、静かに星を眺めてみるといい。
奄美大島は島全体が生きていて、目にする一瞬一瞬が奇跡の連続だった。だから、あえて秘密基地を探さずとも出逢える、というのが筆者の感想だ。まさにリセットとリフレッシュが両方叶う場所。自然の優しさと力強さをこんなにも間近で感じられる機会は、他でそう簡単に見つかるものではない。
HOTEL THE SCENE
鹿児島県大島郡瀬戸内町蘇刈970
電話0997-72-0111
客室数/21
文・写真/河辺さや香
フリーランスライター・エディター
アジアをはじめ、国内外の旅行記事を多数執筆。ウェルネスツーリズム、ライフスタイルが得意分野。