43887大企業への転職難易度は?失敗・後悔しないための考え方と採用確度を高める効率的な転職活動

大企業への転職難易度は?失敗・後悔しないための考え方と採用確度を高める効率的な転職活動

男の隠れ家編集部
編集部
「給与のアップ」「スキル・技術の拡充」「働き方の改善」など転職の目的は十人十色で、みな異なる形でよりよい環境を求めていく。そして、多かれ少なかれ、「大企業への転職」を目的としている場合もあるだろう。

学生時代はなかなか気付けなかった「大手企業に勤めている」という社会的信用や、中小企業では得難い手厚い福利厚生など、そのメリットは計り知れない。新卒での就職活動でチャレンジしたものの採用されなかった人や、興味はなかったが、中小企業に入社してみてから大手のメリットに気付いた人など。さまざまな境遇の人が、大手企業に勤めることを目的として、転職活動を行う。

しかし、大企業への転職はメリットばかりではない。転職を検討する際には、メリットと併せてデメリットも考慮しなければならないのだ。本稿では、そんな大企業への転職メリット(デメリット)を洗い出しつつ、転職確度の上がる転職方法・転職支援サービスを紹介していく。ぜひ、大企業への転職活動に役立ててほしい。
目次

大企業(大手企業)の定義

具体的な解説や紹介の前に、本稿での大企業の定義付けをしておこう。実は法律や国が定めている大企業の定義は無いのだ。ただし、中小企業の定義は中小企業庁によって定められている。

業種分類中小企業法の定義
製造業その他資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
サービス業資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
出典:中小企業庁 > 中小企業・小規模企業者の定義

業種によって異なるが、資本金(又は出資総額)もしくは従業員数で決まっている。ここでは、最大でも3億円以下の会社、もしくは300人以下の会社が中小企業であると定められている。つまり、資本金が3億円を超える、もしくは従業員数が300人を超える場合は中小企業ではない、すなわち大企業であると言えそうだ。

しかしながら、一般的な定義ではこの限りではない。従業員数が1,000人を超えている、または上場企業であることが世間一般のイメージではないだろうか。本稿では以下を参考とし、厚生労働省が労働統計を取る際の人数(従業員数1,000人以上)を大企業として進めていく。

「企業規模」
調査労働者の属する企業の全常用労働者数の規模をいい、本概況では、常用労働者 1,000人以上を「大企業」、100~999人を「中企業」、10~99人を「小企業」に区分している。

出典:厚生労働省 > 主な用語の定義

大企業で働く5つのメリット

さっそくだが、最も気になるであろう大企業で働くことによるメリット・デメリットを考えてきたい。それぞれの企業によって状況・待遇は異なるが、平均的な目安として参考にしてもらえればと思う。

1.給与・年収・手当が高水準

まず、大手企業は中小企業と比べて給与水準が高い傾向にある。

出典:厚生労働省 > 平成29年賃金構造基本統計調査より作成

厚生労働省が発表した平成29年の「企業規模別にみた賃金」資料によると、大企業と小企業では平均して100万円近い年収格差がある。最も開きがある50〜54歳では、163.6万円も開きがある。

賞与や退職金などの特別手当や福利厚生も手厚い傾向にあり、それらも含めると金銭面では多くの企業で恩恵を受けられるものと考えられる。一般的に、大きな企業のほうが給与水準が高いことは大きなメリットだ。

2.社会的な信用が得られる

大企業のなかでもとりわけ名前が知られている有名企業は、社会的な信頼が厚いといえる。賃貸契約やローンが組みやすかったり、親族間での評価が高くなり、結婚などのライフステージの変化を円滑に進めやすくなる。

また、場合によっては次の転職に有利に働くこともある。大企業だからといって、名前だけで採用されることはない。しかしながら、大企業で働いていたという経歴は、書類選考の通過率向上に少なからず寄与すると考えられる。

これらはいずれも、大企業が持つネームバリューによってもたらされるメリットだ。

3.休日日数の多さ・有休取得率の高さ

平均的に大企業のほうが年間休日数が多い傾向にある。

厚生労働省が発表している平成29年度の労働条件総合調査によると、「従業員数1,000人以上」の大企業は週休二日率、年間休日の総数、有休取得率のいずれも他の規模より高くなっていることが分かる。大企業であればあるほど労働環境に対する監査が入りやすいため、法令遵守意識が高い傾向にあるのだ。

休日をしっかりと取って、ライフワークバランスを高めたい人にとってはこの点もメリットだ。

4.安定性した就労が望める

市場調査などを行っている東京商工リサーチが発表した全国企業倒産状況によると、平成29年は8,367件もの企業が倒産を余儀なくされていた。上場企業での倒産はタカタ株式会社と株式会社郷鉄工所の2件だけであった。さらに、昨年(平成28年)は倒産した企業8,381件のうち、上場企業は0件だ。

このことから、大企業は倒産のリスクが低く、安定した就労環境を得られることがわかる。

5.大きな仕事・サービスに携わることができる

多くの場合、担当する業務やサービスの規模感は企業の大きさに比例する。IT業界などではこの限りではないが、それでも大企業で零細サービスを運営していることは稀だ。動かせる予算の大きさや、社会に与えるインパクト、また誰もが知っているサービスや商品に携わることができるのは、仕事にやりがいを与える。

より上流の業務を行えること、仕事をしている実感を得やすいことは、その企業で働く持続可能性を考えるとメリットの一つであると考えられる。

大企業で働く3つのデメリット

他方で、大企業にはデメリットもある。メリットだけに注目して転職活動を失敗しないように、デメリットもしっかりと知っておこう。

1.社員数の多さによる弊害

1,000人もの従業員がいると、自分と馬が合わない人と仕事をしなければならない確率も高まっていく。また、出世の競争も激しく、同期や同じ部署の同僚を蹴落としてまで仕事をするといった話も少なからず耳にする。大企業では人数が多いことや大企業特有の出世競争などの理由で、中小企業にはない人間関係のトラブルが発生しうるのだ。

2.社風による風通しの悪さ

人数が多いことは、風通しの悪さにも繋がる。ここでいう風通しとは、新しい業務フローや考え方が反映されるまでのスピードを指す。

人数が多いと、意思決定をする人も必然的に増える。また、組織が大きくなれば物事を変えるのにはそのぶん大変な労力がかかるようになる。新しい挑戦をするための腰の重さや、新しい意見を取り入れるまでのスピード感は中小企業に到底及ぶことはないだろう。

また、大企業ではその人数によって企業独自の文化が醸成されることも少なくない。不文律なども含め、自由に仕事を行いたい人にとっては肩身の狭い職場となる可能性もあるだろう。

3.不明瞭な人事制度

大規模なサービスを大人数で運営しているケースなどでは、自分の実績が見えづらいというデメリットもある。このことにより、全力を尽くして結果を残したものの評価に繋がらず、昇給などの人事制度に不満を持つことも考えられる。

直属の上司に人事に関する裁量が渡されている場合は良いが、普段コミュニケーションを取る機会の少ない更に上の役職の人が人事権を持っている場合は、自分の評価が過程から結果に至るまで、すべて開示されるわけではない。

よく聞く話であるが、上司に気に入られた同僚から出世していくといったことも決して珍しくはないようだ。組織の規模が大きいからこそ、責任だけでなく実績も曖昧になり、正当な評価が下されない可能性がある。

大企業へ転職するために必要な要素

デメリットはあれど、人によっては大企業のメリットは計り知れないほどの価値がある。転職の意義は十分にあるだろう。とはいえ、大企業への転職は狭き門でもある。志望したからといって、おいそれと転職できるわけではない。

大企業へ転職するために必要なことは何なのか。また、どういった人が大企業へ転職することができるのか。この章では、必要な要素や資質、特徴をまとめていく。

1.タイミング

身も蓋もないように感じるかもしれないが、タイミングは非常に重要な要素だ。運とも言い換えられるだろう。どれだけ優秀な人材でも、志望している企業が採用活動を行っていなければそれまでだ。反対に、そこまで優秀ではない人材でも、たまたま志望している企業が広く採用活動を行っていれば、採用の確度はぐんと高まるだろう。

いま現在は転職市場が活発で、求職者にとって有利な売り手市場であると言われている。求人紹介会社のDODAが発表している転職求人倍率レポート(2018年3月)によると、求人倍率の平均は業界全体で2.49倍。最も高いIT業界では、6.32倍という高倍率を叩き出している。これもひとつのタイミングといえるだろう。大企業への採用確度を高めるためには、タイミングを見計らった転職活動が必要になるのだ。

2.高学歴

学歴の高さもひとつの要素として挙げられる。大企業に限ったことではないが、企業の人事側は、採用した転職者がしっかりと自社のパフォーマンスを遂行する責任を負っている。もしうまく機能しなかった際は、責任を問われることになるのだ。

SPIや学歴で足切りをすることで、明確な理由づけをすることができる。つまり、もし採用に失敗したとしても「学歴が良かったので採用した」という説明ができるのだ。人事担当者側の考え方を斟酌すると、多かれ少なかれ学歴が大切になることが予測できる。

3.前職での実績

最も大切なのが前職での実績だ。数字ベースで具体的な実績を紹介する、もしくはポートフォリオや担当した案件等の資料をもとにスキルや技術を提出できる状態にしておくことが大切だ。学歴やタイミングは変えられない。しかし、実績は現在置かれている状況で作り上げることができる。

大企業への転職を考えて行動を起こすのであれば、この実績の強化へ尽力することが最短ルートであるといえるだろう。

4.縁故

最後に、縁故(コネ)があることも大企業への転職に有利に働くことを付記しておく。

大企業への採用確度を高める効率的な転職活動とは

これらのポイントを押さえた上で、より大企業への採用確度を高めるためにはどのような転職活動が望ましいだろうか。本稿で推奨しているのは「転職エージェントを利用しての転職活動」だ。ここでは、そもそも転職エージェントはどういったサービスなのか、また、どのような理由で転職活動を有利に運ぶことができるのかを紹介する。

転職エージェントとは?

出典:DODAエージェントサービス

転職エージェントとは、担当制の転職支援サービスだ。エージェントと呼ばれる担当者がマンツーマンで転職活動全般をサポートしてくれる。具体的には、以下のサポートを受けることができる。

・現在の市場価値やキャリアプランへのアドバイス
・キャリアプランや希望に応じた求人の紹介
・履歴書や職務経歴書など、応募書類の添削
・面接内容のアドバイスや模擬面接の実施
・企業との面接日程の調整
・面接後に企業担当者へのプッシュ
・内定後の給与交渉など

以下の記事では、転職エージェントについてより詳しく解説している。登録から内定までの流れやメリット・デメリットに加え、年齢別・目的別におすすめの転職エージェントも紹介しているので、ぜひ参考にしてほしい。

転職エージェントをすすめする理由

転職エージェントを利用することで、選考の通過確度を高めることができる。ただでさえ狭き門である大企業への転職だ。あらゆる手段を講じて確度を高めていくことが求められる。

まず、企業選定の時点で採用確度が高くなっていることが大きなポイントだ。なぜなら、転職希望者に紹介される求人は、転職エージェントがある程度通過確度が高いと判断した求人だからだ。自分一人で転職活動を行う場合は、通過する可能性がほぼない企業でも応募を進めてしまい、無駄なコストを掛けてしまうことになる。

転職エージェントを利用したとしても、書類選考の通過率は3割程度と言われている。より多くの求人に無駄なく応募するためには、エージェントの1次スクリーニングを介した方が効率的なのだ。

また、面接後のフォローやプッシュも通過確度アップへの影響が期待できる。転職エージェントは、人事担当者とも直接のつながりがある。そのため、面接で伝えきれなかったことや訂正したいことなどを、面接が終わってからエージェント経由で伝え、フォローすることができるのだ。

エージェントが特にすすめる転職希望者であれば、さらにプッシュすることもあるようだ。あと一歩のところで選定基準に満たない場合などは、エージェントのフォローやプッシュによって結果がひっくり返ることも十分に考えられる。

転職エージェントはいわば転職のプロフェッショナルだ。その他のあらゆるサポートが、選考通過確度の底上げに繋がる。

おすすめの転職エージェント会社5選

転職エージェントの利用を推奨しているが、転職エージェント会社は、実は大規模な企業でも100社を優に越えている。

エージェント会社ごとに特徴はあれど、結局はどの転職エージェント会社を選ぶかよりも、どのエージェントが担当になるかが大切になる。それは、転職エージェントがマンツーマンの担当制で運営されているからに他ならない。どれだけ優良案件を保有している転職エージェント会社だとしても、担当エージェントの熱意やスキルが足りない場合はその求人に巡り合うことができないからだ。

そこで、転職エージェントは複数登録が基本になる。4,5社のエージェントに登録し、その中で特にスキルや熱意が高いと感じたエージェントに利用を絞っていくのが良いだろう。

今回は、なかでも大手企業への転職に有利なエージェント会社を選定した。上から順に登録し、特に良いと感じたエージェント会社を2,3社に絞って利用していこう。

doda

出典:doda

リクルートエージェントと並んで求人数が多いdoda。大企業の求人も豊富に取り揃えており、採用の間口を広げることができる。

日々新たな求人が紹介されているため、確認するだけでも一苦労だ。大手企業を志望している人は事前のキャリアカウンセリングの際に条件をより細かく伝えることで、より精査された求人を紹介してもらうことができるだろう。

在籍しているエージェントは顧客満足度の高さを表彰された経歴を持ち、親身に相談に乗ってくれることでも知られている。自分の中で「大企業で働く」というビジョンしか持っていない人は、dodaのキャリアカウンセリングを一度受けてみてはどうだろう。

doda

マイナビエージェント

年収のアップに力を入れているのがマイナビエージェント。年収アップの実績が豊富にあり、前職よりも20%のアップをひとつの目標に掲げている。

マイナビでは保有する求人のうち、なんと80%が非公開求人。非公開求人とは、一般の求人紹介サイトには出回ることのない、転職エージェントを利用した人だけが紹介される求人のことだ。そのため、エージェントを利用しない場合は求人全体のうち20%しか触れられないことになる。これは大きな機会損失といえるだろう。

より多くの大手企業の求人に触れるためにも、ぜひ利用したいエージェント会社だ。

マイナビエージェント

リクルートエージェント

転職エージェントの中でも最も多くの求人を保有するのがリクルートエージェントだ。転職実績やエージェント在籍数も業界最大規模であり、真っ先に登録すべきエージェント会社といえる。

大手企業への転職活動では少しでも多くの求人に応募し、採用確度を高めていく必要がある。リクルートエージェントは求人の量・質がともに高く、利用価値が高いサービスである。

過去実績に基づいた選考対策も豊富だ。特に面接対策などは、それぞれの企業ごとに具体的なアドバイスが期待できるため、事前にエージェントから共有された質問がそのまま面接で聞かれることも珍しくないようだ。

リクルートエージェント

JACリクルートメント

出典:JAC Recruitment

年収が500万円を超えるミドル〜ハイキャリア層の転職では、JACリクルートメントがおすすめだ。外資系企業やハイキャリアの転職支援に特化しており、すでに一定のキャリアを構築できている人にこそ利用価値の高いサービスと言える。非公開求人だけでなく、JACリクルートメント利用者だけが閲覧できる「独占案件」も保有しており、より多くの求人に触れるという点でもメリットが。

また、外資系企業専門のネイティブなエージェントも在籍している。ネイティブの視点で英文の応募書類や面接のフィードバックをもらえるため、外資系企業の大手を目指している人は漏れなく登録しよう。

JAC Recruitment

type転職エージェント

関東圏を中心に転職サポートを行っているtype転職エージェント。専門領域を持つ転職エージェントが、転職希望者の業種に特化したサポートを行ってくれる。

知名度はリクルートやマイナビにやや劣るものの、そのぶん利用者へのサポートが手厚いことが推測される。これは、「利用者の満足度87%」という高実績からもうかがい知ることができる。

エージェントは大企業の人事担当者とのコネクションを持ち、場合によっては面接の内容を教えてもらえたり、面接後のフォローやプッシュも依頼できる場合がある。

type転職エージェント

大企業への転職はメリットだけではない。特に中小企業で数年、十数年と働いてきた人にとっては、これまでとのギャップに驚いてしまうこともあるだろう。収入、安定、ネームバリュー……。自分が大企業に求めているものは何なのかを改めて考え、それが実現できるかを十分に検討することが大切である。

もっとも、その判断が一人では難しい場合は相談の意味で転職エージェントを利用するのも大いに有効だ。せっかく大企業へ転職するのであれば、活躍できる環境で長く勤めたいもの。メリットとデメリットを知った上で、後悔のない選択をしよう。

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