97552体に優しい蕎麦と楽しい林道がある町へ|「蕎麦と山城の旅」APIOジムニーで行く 日本美味探訪Vol.05

体に優しい蕎麦と楽しい林道がある町へ|「蕎麦と山城の旅」APIOジムニーで行く 日本美味探訪Vol.05

男の隠れ家編集部
企画部PR
目次

北関東の地に遺された、珍しい本格的な石垣の山城や、体に優しい無添加にこだわった美味い蕎麦と出会えた茨城県・笠間市。風情溢れる稲荷神社や戦時中の記憶を伝える施設など、見所も多い。

人が暮らしやすい自然環境は今も人を優しく育む

■今回の旅の相棒「アピオ・ジムニー」

由緒正しき神社とフラットダートの走りを満喫。(取材協力:アピオ株式会社

茨城県の真ん中あたりに位置する笠間市。この地に人が暮らした痕跡は、1万から1万5000年前の縄文時代前期にまで遡る。険しい山が少なく、平地や川に恵まれた土地だけに、暮らしやすかったのであろう。

そんな笠間周辺には、意外にもアピオ・ジムニーの走りを堪能できる林道が点在。しかも最近ではめっきり減った、通り抜け可能なコースもあった。

もともと山が険しくないため林道は全体的に明るい雰囲気に包まれ、荒れていないのでとても走りやすい。ただし山仕事のクルマと遭遇することもあるので、ブラインドコーナーでは速度超過に注意したい。

また舗装路ではあるが特産の稲田石の採掘場で、石切山脈とも呼ばれる景勝地への山道も、走っていて楽しい道だ。急な坂道が少ないので、軽ながらパワフルなアピオ・ジムニーは、余裕で走りと景色が楽しめた。

緩やかなアップダウンでフラットダート、しかも明るい雰囲気に包まれた林道走りが味わえた。アピオ・ジムニーの走りが際立つ楽しいコースだ。引き返すことなく通り抜けられたのも嬉しい。
テールランプ類にもこだわっている。洒落ているだけでなく視認性も抜群。
4WD車としては取り回しが楽なのも特徴。

さて、鎌倉時代の笠間地域は、正福寺と徳蔵寺という二大寺院が勢力争いを繰り広げていた。劣勢だった正福寺が、下野守護の宇都宮頼綱に助けを求めたので、頼綱は甥の塩谷時朝を派兵。徳蔵寺との戦いに備え、佐白山山麓に築いたのが、笠間城の始まりである。

徳蔵寺を滅ぼした後、正福寺も敵対してきたので、時朝はこちらも滅ぼし、以後笠間氏を名乗る。

茨城県内は石垣に利用できる石の産出が少なく、ツルツル滑る粘土質の関東ローム層に覆われているので、土造りの城でも十分に堅固であった。

笠間稲荷前の参道には昔ながらの飲食店が軒を連ねる。そんな光景にも溶け込むアピオならではのフォルム。

鎌倉時代に築かれた笠間城も、当初は土造りの山城であった。慶長3年(1598)、蒲生郷成がこの地を領有後に改修され、本格的な石垣が用いられている。そのため現在では中世の土造りの姿と、近世の石垣造りの姿の双方が楽しめる、稀有な山城として人気が高い。

標高207mの佐白山全体が城域となっていて、クルマは大手門北側の、現在は駐車場となっている千人溜(的場丸)まで登れる。そこから本丸を目指して山道をたどると、石垣や空堀、土塁、土橋、桝形虎口などの遺構が次々に現れ、山城好きを楽しませる。

千人溜駐車場すぐ上の大手門跡。

広々とした本丸には八幡台櫓や宍ヶ崎櫓、御殿、城門などが構えられており、天守のある曲輪が別に設けられていた点が特徴的だ。

残念なのが、天守曲輪は東日本大震災の折に石垣の一部が崩落したのと、跡地に建つ佐志能神社の社殿が傾いたために、立ち入り禁止になっていたこと。天守曲輪先から関東平野が一望できるらしいので、今後の復旧に期待したい。

■関東では珍しい本格的な石垣を備えた山城

笠間城

天正18年(1590)、豊臣秀吉による小田原征伐の際、笠間綱家は北条氏に味方したため滅ぼされた。その後、蒲生郷成が入城し、石垣が用いられた近世城郭に改修された。

上の写真は天守曲輪下に遺る高さ4m超の石垣。2011年の東日本大震災で一部が崩落。この上は今も立ち入り禁止。

下は右から広い平地と土塁が残る本丸跡。本丸上の天守曲輪へは急な石段が続いている。

城郭構造/山城
築城主/笠間時朝
築城年/承久元年(1219)
廃城年/明治4年(1871)
遺構/空堀、石垣、土塁、井戸、移築櫓、門  

体が喜ぶ自然の味わいで蕎麦処にて真っ向勝負

「自分は一体何ができるのか」と自問し、17年間続けてきたサラリーマン生活と決別。一念発起し、蕎麦打ちの世界に身を投じた高木勝利さん。

「最初に開業を決めた千葉の古民家が、道路拡張計画に引っかかってしまい、路頭に迷いそうになったのです。その時に今の笠間の古民家が見つかり、とても気に入ったので決めました。ただ知らないというのは怖いですね。笠間周辺が蕎麦処と知っていたら、別の場所にしていたかも」

だが、そんな蕎麦激戦区の笠間でも十割蕎麦だけで勝負する「そば家和味」の評判は、いつしか県内外にまで広がるようになっていく。

その特徴は、農薬・化学肥料を使わずに育てた蕎麦のみを扱う群馬の「赤城深山ファーム」産丸抜きを、毎朝石臼挽きにした優しい味だ。

豊かな香りと喉越しの滑らかな蕎麦だけでなく、その味を際立たせる出汁にもこだわっている。

無添加醤油に原木椎茸、昆布、本節と鯖節、有機さとうきびを使用し、そのまま飲めるほど。地元の野菜と季節の果物を加えた天ぷらも、化学薬品不使用の菜種油で揚げたコク深い味だ。

体が喜ぶ蕎麦で満たされた後は、明治元年(1868)創業の「磯蔵酒造」に立ち寄り、土産の地酒を探した。

ここは単なる直売所だけでなく、日本酒バーや笠間焼ギャラリー、カフェ、無農薬農産物マルシェなどを揃えた「日本酒文化長屋 磯蔵」という大正時代の米蔵を改修した施設を併設、人気スポットとなっている。

このエリアでもう一つ、ぜひ立ち寄っておきたいのが「筑波海軍航空隊記念館」だ。かつて練習航空隊として開設され、戦争末期には特攻の訓練も行われた基地の跡地。

記念館となっている旧司令部庁舎は、昭和13年(1938)に建てられた当時のままの姿を留めており、映画『永遠の0』や『ゴジラ−1.0』などのロケ地としても有名である。

少し離れた場所には、終戦間近に造られた地下戦闘指揮所が保存されている。映画『連合艦隊司令長官山本五十六』で使われた零戦のレプリカも保管。笠間は様々な形で、後世に歴史を伝えているのだ。

■無添加にこだわった香り高き十割蕎麦

そば家 和味

素朴な里山風景に溶け込む古民家のため、初めての時は迷うかも。それでも足を運びたくなる“美しい”味わいの蕎麦と出会える。

奥さんの和美さんは天ぷら担当。動物性の食材がない代わりに季節のフルーツが1品入る。この時はリンゴでバナナ、梨、柿と続く。野菜天ぷら付蕎麦は1530円。

大和芋を使ったとろろや胡麻だれの蕎麦も人気。どちらも1230円。ケーキやオーガニックコーヒーなど喫茶メニューも充実。

茨城県笠間市飯合702-1
TEL/0296-74-2744
営業時間/平日11:30~16:00(蕎麦がなくなり次第終了)
定休日/水曜、木曜

■日本酒文化を継承し楽しみも伝える酒蔵

日本酒文化長屋 磯蔵

笠間産の酒造好適米「ひたち錦」を使った人気の「稲里純米」は720ml入り1430円。酒好きが唸る伝統的な味。

慈酒BAR「慈」は酒を純粋に楽しめる蔵を活用。満月や十六夜の晩などに営業。米蔵を活用した長屋には地酒ショップ、ギャラリー、無農薬農産物などが並ぶ。

茨城県笠間市稲田2281-1
TEL/0296-71-5221
営業時間/11:00~18:00
定休日/火曜、水曜(祝日は営業)

■練習航空隊として誕生 戦争末期には特攻訓練も実施

筑波海軍航空隊記念館

記念館は当時の司令部庁舎を活用。展示コーナーだけでなく、当時の面影を色濃く残す司令室も見学できる。

部屋や階段部分などは、話題の「ゴジラ−1.0」をはじめさまざまな映画に登場しているので、見覚えがある人も多いはず。土日に訪れたら地下戦闘指揮所も見学したい。

茨城県笠間市旭町654
TEL/0296-73-5777
入館料/18歳以上500円、小学生~高校生300円
開館時間/9:00~17:00(最終入館16:00)
休館日/火曜、12月29日~1月3日

■鎌倉時代に築かれ江戸期は水戸家支藩となる

宍戸城

鎌倉御家人で初代常陸国守護の八田知家四男の家政がこの地を治め宍戸氏を名乗った。その居城となったのが宍戸城。現在は土塁の一部が遺り、その上に末廣稲荷神社が築かれている。

城郭構造/平山城
築城主/宍戸家政
築城年/建仁3年(1203)
廃城年/明治初年頃
遺構/土塁、移築門(陣屋)

■日本三大稲荷に数えられ全国から参拝者が集う

笠間稲荷神社

白雉2年(651)の創建で、日本三大稲荷に数えられる。参道には古くから続く稲荷寿司の店や土産物店が並び、風情を醸し出す。あらゆる殖産興業の守護神、そして火防の神とされる。

茨城県笠間市笠間1
TEL/0296-73-0001

掲載情報は2024年3月現在のものです。商品、宿泊や入館などの料金、ならびに営業時間、定休日などはHPもしくは各所へ直接お問い合わせください。

【著者プロフィール】
城と蕎麦に魅せられた雑文家
野田伊豆守 IZUNOKAMI NODA

還暦を過ぎても頑張るフリーライター・フリー編集者。歴史、旅行、鉄道、アウトドアなどの分野を中心に雑誌、書籍で活躍。主な著書に、『語り継ぎたい戦争の真実 太平洋戦争のすべて』(サンエイ新書)、『旧街道を歩く』(交通新聞社)など多数。

文/野田伊豆守 撮影/金盛正樹 取材協力/アピオ株式会社

▼あわせて読みたい

企画部PR
企画部PR

いくつになっても、男は心に 隠れ家を持っている。

我々は、あらゆるテーマから、徹底的に「隠れ家」というストーリーを求めていきます。

Back number

バックナンバー
More
もっと見る