98357雪深き地が産んだ美味な蕎麦と名将の城|「蕎麦と山城の旅」APIOジムニーで行く 日本美味探訪Vol.06

雪深き地が産んだ美味な蕎麦と名将の城|「蕎麦と山城の旅」APIOジムニーで行く 日本美味探訪Vol.06

男の隠れ家編集部
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目次

戦国時代を代表する名将、上杉謙信の居城として名高い春日山城。雪深い越後国を統べる堅城で、要塞化された山はまさに圧巻。謙信は雪で苦労したが、今は蕎麦の味を引き立てる贈物となった。

米どころを支える風景と 見どころ満載の堅城

■今回の旅の相棒「アピオ・ジムニー」

米どころ越後を彩る美しい棚田群が走り心を刺激(取材協力:アピオ株式会社

外灯もない真っ暗な山道を駆け上がると、突然目の前にカメラを持つ大勢の人が現れた。

今回、アピオ・ジムニーを駆って夜明け前にやって来た新潟県十日町市の星峠は、十日町市や隣の上越市に点在するたくさんの棚田の中でも、最も人気があるスポットとして知られている。

田植えの季節になると、大小様々な形をした約200枚の水田が、朝陽を受けて鏡のようにキラキラと輝く。しかも朝焼けの空に雲が棚引く光景は、神々の降臨を連想させるほど美しい。

星峠の棚田は四季折々、朝昼晩と魅力的な表情を見せてくれるが、ベストシーズンの田植え時期は、美しい光景をカメラに収めようと、暁時から人が集まって来るのだ。

田植えシーズンを迎え水が張られた星峠の棚田。陽光を反射する光景はこの季節だけ。

棚田写真が目的の人たちは、東の空が白み始めた黎明時からしきりとシャッター音を響かせていたが、棚田ドライブを楽しみたい我々はしばし休憩。陽が昇り、棚田カメラマンがいなくなったところで、田の間を縫うように走る畦道走りを堪能。

未舗装路が少ない新潟県では、アピオ・ジムニーの実力をフルに発揮できる道は少ないが、素早いステアリング操作と微妙なアクセルワークが欠かせない棚田のアップダウンは、図太いトルクや取り回しの良さを味わえる、極上のコースであった。

連綿と山並みが続く十日町市から上越市へのルートは、険しくはないがどこまでも山が続くような風景の中を走って行く。

未舗装の畦道でもアピオ・ジムニーなら安心して走れる。

いかにも日本らしい里山風景を存分に楽しんでいると、いつの間にか頸城平野に入り、道の周囲は米どころ新潟らしい広々とした風景になる。ここは棚田から里山、広々とした田園風景という、変化に富む極上ドライブコースだった。

そして平野部の西端から始まる山並みのひとつが、今回訪ねる山城、春日山城だ。この城は、南北朝時代に越後国守護となった上杉氏が、越後府中(現在の直江津)にあった館の詰め城として築城したのが始まり。

この城を世に知らしめたのは、戦国時代きっての名将で、軍神とも称された上杉謙信。標高180mの春日山山頂に本丸が置かれ、山全体に曲輪や堀切、土塁を巡らせた。

後世に描かれた多くの絵図には、石垣や天守などが描かれているが、実際は土塁の城で、天守のような大きな建物はなかった。それでも難攻不落の要害を造りあげたのである。

春日山神社下の駐車場から歩き始め、主な曲輪をぐるりと巡るだけなら約1時間。だが本丸の絶景や、今も水をたたえる大井戸など、つい足が止まる見どころが満載なのだ。

高田の町を象徴する雁木通り。通路を確保した豪雪地帯ならではの生活の知恵。高田地区に現存する雁木の総延長は、日本一を誇っている。
十日町市から上越市に入り、西へ向かうと道は頸城平野に入る。それまでの山がちな道とはうって変わり、田園が広がる開放的な風景となる。

■軍神と称された上杉謙信が拠った難攻不落の山城

春日山城

季節を問わず多くの人が訪れる春日山城。ポピュラーなコースは上杉謙信公の像前からスタート。その左写真は山頂にある本丸と少し下がった曲輪に建てられた毘沙門堂。

上写真は本丸から日本海方面を望んだ風景。頸城平野の向こうに新潟郊外の米山も見える。下の右は春日山城全景。注意して見ると曲輪の配置もわかる。左下は謙信の墓もある林泉寺、惣門は春日山城からの移築と言われている。

城郭構造/連郭式山城 
築城主/上杉氏 
築城年/南北朝時代(1337~1392) 
廃城年/慶長12年(1607) 
遺構/土塁、堀切、曲輪、井戸、虎口  

自然の力で冷蔵した蕎麦は香りが損なわれず甘みも増す

道の駅に併設されている蕎麦屋さんの場合、期待外れの店も少なくない。だが「雪むろそば家小さな空」では、それはまったくの杞憂であった。

豊かな香りを身にまとい、爽快な喉ごしを楽しませてくれた十割蕎麦は、多くのファンを雪深い山里まで足を運ばせる魅力に溢れている。

「地元で採れた玄蕎麦を、1年を通じて雪むろで貯蔵しています。適度な湿気があり、しかも自然の冷気で優しく保管された蕎麦は、夏でも香りが良く、甘みも増します」

蕎麦を打ちつつ、美味しさの秘密を教えてくれた松野修さん。せっかくなので、ということで雪むろも案内してくれた。

ひんやりとした貯蔵庫内には、冬の間に積み上げた地元の雪が、蕎麦だけでなく野菜や米などをいい状態で眠らせている。冷蔵用の雪がなくなりそうになると、次の降雪シーズンになるという。

自然の力が、いつ訪れても新蕎麦のようなフレッシュな味わいを約束してくれる。蕎麦に加え近くの山や畑で採れた旬の山菜の天ぷらと、古代米のおこわの「薬膳セット」も、病みつきになる美味しさ。

籾殻を燃料にしたぬか釜で、絶妙な火加減で炊き上げたおにぎりも絶品だ。

そして蕎麦、新潟とくれば忘れられない土産が日本酒だろう。新潟の日本酒に多い淡麗辛口ではなく、昔ながらの旨口の酒を醸し続ける蔵、竹田酒造店に向かう。

蔵は日本海のすぐ近くに建っているので、砂丘で濾過された美しい水で仕込まれた、深みと幅のある酒が味わえる。

直江津駅のすぐ近くには、謙信が関東管領の上杉憲政のために建てた御館の跡がある。今は住宅街の中の小さな公園だが、かつて謙信の死後、その跡目を上杉景勝と上杉景虎が争った御館の乱の舞台であった。

そしてこのエリアで訪れておきたいのが、高田の町だ。ここは雪国らしく道路側にひさしを延ばした雁木の通りが残されている。

それと江戸期の中心であった高田城の跡地が、広大な公園となっている。歴史博物館もあるので、春日山城などの歴史をここでもう一度おさらいしよう。

■香り高き玄蕎麦を天然の冷気で大事に保存

雪むろそば家 小さな空

平成16年(2004)創業。その日に提供する蕎麦を雪むろから取り出し、丁寧に打つ松野さん。

建物は古民家の材料を活用し、高い屋根と太い梁が楽しめる店内を実現。囲炉裏、薪ストーブなどが懐かしい雰囲気を醸し出す。

人気の「十割そば」は950円、古代米と天ぷらが組み合わされた「薬膳セット」が550円。ぬか釜で炊いたおにぎりも人気。1個150円。雪むろの中は夏でも温度が変わらず、雪は1年間冷却に使える。

新潟県上越市安塚区樽田156 
TEL/025-592-3877 
営業時間/11:00~14:00(蕎麦がなくなり次第終了)
定休日/月曜

■日本海にほど近い酒蔵が醸す伝統の味

竹田酒造店

創業は慶応2年(1866)。砂丘で長い間濾過された水は、日本酒本来の魅力である甘い香りとふくよかな味わいが特徴の酒を醸し出す。

代表銘柄「特別本醸造かたふね」は、インターナショナル・ワイン・チャレンジで3度、SAKE部門本醸造の部第1位を獲得。720ml入り1419円。

新潟県上越市大潟区上小船津浜171 
TEL/025-534-2320 
営業時間/8:30~17:00(土曜13:00~) 
定休日/日曜、祝日

■関東管領の居館として建設 謙信も政庁として活用

御館(おたて)

上杉謙信もここで政務を執っていたと伝えられている御館。現在はそのごく一部だけが公園となっている。古地図を見ると、もともとは二重の堀に囲まれた大規模な館であった。

新潟県上越市五智1-23-11 
見学自由

■明治期に建設された和洋折衷の貴重な邸宅

旧師団長官舎

日露戦争で活躍し、高田第13師団で師団長を務めた長岡外史中将の邸宅として明治43年(1910)に建築された。貴重な文化財として保存しつつ、レストランも営業している。

新潟県上越市大町2-3-30 
開館時間/10:00~17:00 
休館日/月曜、休日の翌日、12月29日~1月3日 
入館・内部見学は無料

■城跡を利用した公園で越後の歩みを体感

高田城三重櫓・上越市立歴史博物館

徳川家康の六男、松平忠輝の居城として築城された高田城。江戸時代はここが「越後の都」となっていた。

その跡地は公園として整備され、この地の歴史や文化を学ぶことができる「高田城三重櫓」や「上越市立歴史博物館」「小林古径記念美術館」、さらに陸上競技場や野球場が揃う広大な憩いの場となっている。桜の名所としても有名だ。

高田城三重櫓
新潟県上越市本城町6-1 
開館時間/9:00~17:00(12月〜3月/10:00~16:00) 
休館日/月曜(祝日の場合は翌日・1月と2月は月曜~木曜休)年末年始 
入館料/310円

上越市立歴史博物館
新潟県上越市本城町7-7 
開館時間:9:00~17:00(12月~3月/10:00~16:00) 
休館日/月曜(祝日の場合は翌日、年末年始 
入館料/510円

(両施設とも、TEL/025-524-3120)

掲載情報は2024年5月現在のものです。商品、宿泊や入館などの料金、ならびに営業時間、定休日などはHPもしくは各所へ直接お問い合わせください。

【著者プロフィール】
城と蕎麦に魅せられた雑文家
野田伊豆守 IZUNOKAMI NODA

還暦を過ぎても頑張るフリーライター・フリー編集者。歴史、旅行、鉄道、アウトドアなどの分野を中心に雑誌、書籍で活躍。主な著書に、『語り継ぎたい戦争の真実 太平洋戦争のすべて』(サンエイ新書)、『旧街道を歩く』(交通新聞社)など多数。

文/野田伊豆守 撮影/金盛正樹 取材協力/アピオ株式会社

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