男の隠れ家の神出鬼没な編集者・田村巴は年がら年中“休肝日”がない生粋のお酒好き。そんなほろ酔い編集が美味い酒を求めて今宵もぶらりと旅に出る──。
国産ワインはどこから始まったのか? そんな素朴な疑問を抱き、茨城県の牛久シャトーでワインの歴史を学びました!
※この記事は2024年12月号に掲載されたものです。2024年9月、取材時の情報です。
ほろ酔い編集・田村巴のちょっと一杯やらないか? 第12杯

さて今回はワインです。日本の代表的なワイン産地といえば山梨県や長野県、北海道などが挙げられます。しかし、日本で初めて本格的なワイン醸造を開始したのは茨城県牛久市にある「シャトーカミヤ」なのです。
現在は「牛久シャトー」と名前を変え、国産ワイン黎明期の貴重な歴史資料を残すとともに、いまだ現役でワインを造っています。


明治36年(1903)、実業家の神谷傳兵衛がフランスの醸造場をモデルにブドウ栽培から醸造、瓶詰めまでを一貫して行う本格的なワイン醸造場を建設。
当時は周辺を取り囲む約120ヘクタールを開墾したブドウ畑を有し、畑と醸造所、そして牛久駅までを結ぶトロッコ列車を敷設し、上野駅まで大量の輸送ができる環境を整えたのです。


現在、牛久シャトーは入場無料で誰でも見学できる施設として開放され、事務室・醗酵室(現記念館)・貯蔵庫(現レストラン)は国の重要文化財に指定、山梨県甲州市とともに「日本ワイン140年史」で日本遺産にも登録されています。
日本のワインが世界的にも評価される昨今、国産ワイン醸造の足跡を確かめに、牛久シャトーへやってきたのです!


時計塔があるレンガ造りの事務室で、特別に見学させていただいた2階の大広間。かつて板垣退助も訪れワインパーティーが行われた場所で、魯山人が揮毫した木書や貴重な調度品が当時のまま残されています。
また、醗酵室には巨大な大樽が並び、地下の貯蔵庫はワイン熟成に欠かせない良質な黒カビに覆われています。

資料を見学していると、ワタクシ不肖・田村、とある事実に気付きました。ここを造った神谷傳兵衛さん。なんと、あの「電気ブラン」の生みの親、浅草の「神谷バー」を作った人ではありませんか!
案内いただいた會田正樹さんによると、北海道では鍛高譚でお馴染みの合同酒精(オエノングループ)の創業の原点でもあるそう。
今回、軽い気持ちでワインを飲みに来たら、酒造界の深い歴史に出会ったのでした。




今月の相棒
日本遺産に登録の重要文化財 ワイン城「牛久シャトー」

牛久市の中心部にあり、広い敷地内は市民の憩いの場でもある。貴重な明治建築にも注目したい。
牛久シャトー
茨城県牛久市中央3-20-1
営業時間/10:00〜16:00(見学施設)
定休日/無休(年末年始、臨時休館を除く)
https://maita37.wixsite.com/ushiku-chateau
文/田村 巴 撮影/Noriy.k
【著者プロフィール】
田村 巴(Tomo Tamura)
1979年北海道出身、フリー編集者。長年「男の隠れ家」に携わり現在は「男の隠れ家デジタル」編集長も務める。毎日の晩酌が人生をより良くすると信じて疑わない。
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1979年、北海道出身。バイク(チョッパー)専門誌「HARD CORE CHOPPER」、フリーペーパー「MOLE Magazine」、ライフスタイル誌「男の隠れ家」を経て、現在は「男の隠れ家デジタル」編集長。
バイクやクルマでの日本一周・目的を決めない旅が趣味。好きな分野は「飛行機」「クルマ旅」「地方の土着的な風習や歴史」「ミステリー」など。UFOや都市伝説に興味深々。好きなものは「巨大建造物」「道の駅・SA(道の駅きっぷ収集)」「キャンプ」「ガジェット」「カメラ」「ボストンテリア」。
