男の隠れ家の神出鬼没な編集者・田村巴は年がら年中“休肝日”がない生粋のお酒好き。そんなほろ酔い編集が美味い酒を求めて今宵もぶらりと旅に出る──。
全国に1100軒以上あるという日本酒の酒蔵。今回は日本で最も有名な酒蔵の一つ「月桂冠」さんへ。知ってるようで知らないことがいっぱい!
※この記事は2025年1月号に掲載されたものです。
ほろ酔い編集・田村巴のちょっと一杯やらないか? 第13杯
この原稿を書いている今、日本の「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録される見通しとなりました! 純粋に喜ばしいニュースです。そしてタイムリーなことに今月はなんと、月桂冠さんへお邪魔しました。






月桂冠といえば日本酒業界の中でも特に創業が古い、老舗中の老舗。創業年は1637(寛永14)年なので、今年で387年になります。
ちなみにその年に何があったかというと、日本では島原の乱が勃発。お隣の中国に至っては明や清の時代です。いやもう、それを聞くだけでもスゴイ歴史ですよね。
今回訪れたのは京都・伏見にある「月桂冠大倉記念館」。ここでは月桂冠の今日に至るまでの歴史を貴重な史料で学び、出来立ての美味しいお酒の利き酒も可能。

さっそく館長の立花規志夫さんの案内で史料を拝見。この建物は1909(明治42)年に造られた瓶詰め工場で、創業当時の屋号が笠置屋だった時代の史料や、月桂冠を商標登録し、事業規模をおよそ100倍まで大きく発展させた11代目当主・大倉恒吉さんの功績、かつて酒造りに使われていた用具などを見学できます。


「1909年に大倉酒造研究所が設立され、小さな酒蔵だった月桂冠の歴史を大きく変えました。当時は乳酸菌の一種が増殖して酒を腐らせる“火落ち”が日本中の酒蔵で多発、そのため防腐剤を使用する酒蔵が多かったのですが、当主の大倉恒吉がより安全な酒を造るため、技術者を採用し最先端の科学技術を取り入れ、防腐剤なしの瓶詰め日本酒の醸造に初めて成功したのです」

今では当たり前となった防腐剤の不使用をいち早く実現し、当時どこよりも安全な酒を提供。その名は瞬く間に日本中へと広まり、月桂冠は国酒である日本酒のスタンダードとなったのです。
豊臣秀吉が築いた伏見城下で生まれた月桂冠は、伝統的な伏見のはんなりとした味わいの酒を醸す、まさに日本酒業界の先駆者だったといえるのです。





今月の相棒
1637(寛永14)年創業の老舗が運営「月桂冠大倉記念館」

日本有数の酒処・伏見を代表する月桂冠の歴史と美味い日本酒が一度に楽しめるオススメスポット。
月桂冠大倉記念館
京都府京都市伏見区南浜町247
開館時間:9:30~16:30(受付は16:00まで)
入館料:20歳以上600円、13歳~19歳100円、12歳以下無料
※13歳以上お土産付き、20歳以上は3種類の利き酒付き
文/田村 巴 撮影/Noriy.k
【著者プロフィール】
田村 巴(Tomo Tamura)
1979年北海道出身、フリー編集者。長年「男の隠れ家」に携わり現在は「男の隠れ家デジタル」編集長も務める。毎日の晩酌が人生をより良くすると信じて疑わない。
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