IT業界は空前の売り手市場

まず、率直に言うと、IT業界は売り手市場(求職者に有利な状況)だ。

出典:転職求人倍率レポート/DODA

転職エージェント大手のDODAが発表している転職求人倍率レポート(2018年3月)によると、業種「IT・通信」の有効求人倍率は6.32と、他業種を圧倒する数値になっている。

有効求人倍率とは、「求人数」を「求職者数」で割ったものだ。今回のケースであれば、1人の(IT業界)求職者に対して、6件以上の求人案件があるということになる。上のグラフを見ても、IT業界のうす緑色の折れ線が非常に高い数値で推移していることが分かる。

すべての業界でIT化が進み、IT人材の採用はどの企業にとっても喫緊の急務となっている。また、フリーランスのIT人材が増えてきたことにより、業界全体の待遇向上に拍車をかけ、ますます人材の価値が高まっているのだ。

ITの転職難易度が高い理由

しかし、IT業界への転職は他の業界と比べて難度が高い側面もある。理由を大きく分けると、以下の2点になる。

  • キャリア設計を行う必要がある
  • 年齢により、参入障壁が生まれてしまう

それぞれ詳しく解説しよう。

1.キャリア設計を行う必要がある

IT業界でプロフェッショナルとして働いていくには、一つの会社で同じ職のまま終身雇用されるという旧来の雇用スタイルは、現実的ではない。なぜなら、IT業界は技術の進歩が早く、常に新しい知識をインプットする体力が必要となるためだ。

例えば、IT業種の一種であるプログラマーには「プログラマ35(30)歳定年説」と呼ばれる通説が存在する。

プログラミング技術は進歩が激しく、技術の陳腐化も著しいため、プログラマは常に新しい技術に目を向け習得していくバイタリティや、場合によっては永年の努力によって培ってきた技術を捨て去る柔軟性が必要である。

また、年功序列的賃金体系のもとでは、高年齢のプログラマはコストが高すぎると考える企業がある(特にプログラミングを単純作業と考える企業に多い)。俗にIT土方とも呼ばれデスマーチとなった場合は徹夜が続いたり体力が必要となってくる。

そのため、プログラマとしての限界は30~35歳前後であるという説が存在した。これは「プログラマ35(30)歳定年説」と呼ばれる。

出典:プログラマ/wikipedia

近年ではプログラマーの待遇も改善され、この限りでない。しかしながら一定の年齢を迎えると、プログラマーはより単価の高いシステムエンジニアなどに転向する人も少なくないそうだ。

将来的に高い年収を獲得したいのであれば、早い段階でキャリアチェンジを行い、自身のことを重宝してくれる企業・そしてポジションへと移行していくことが大切なのだ。そのためには20代、30代前半のうちにキャリアプランを設計する必要がある。

2.年齢により、参入障壁が生まれてしまう

35歳定年説は極端な例だが、年齢によってできるできないが生まれてしまい、特に未経験の業種への転向などは、一定の年齢で区切られてしまう場合も少なくない。ここでは、年代別のIT業界向けキャリアプランを考えていく。

【IT業界年齢別キャリアプラン】〜25歳

新卒、もしくは第二新卒扱いとなる年齢。ポテンシャル採用と呼ばれる未経験求人も多く、異業種からの転職についても、チャンスがある年齢層だ。経験やスキルよりも学歴や熱意が評価される傾向にある。IT業界でのキャリアを積んでいきたいと考えるのであれば、この年代のうちにどこかしらの企業に所属し、スキルや実績を積み上げていくのが良いだろう。

【IT業界年齢別キャリアプラン】25歳〜35歳

IT業界を含め、転職者の層が厚い年齢層。2社目、3社目のキャリアアップを狙う人や、より大きなサービスに携わりたい人、より専門的な企業にいき、スキルを高めたい人など、キャリアプランに応じた転職が盛んに行われる。25歳までに実績を積み、他社にも売り込むことができるスキルが有る場合は、大手企業・有名企業への転職も可能な年齢だ。

未経験の求人は、無いわけではないが、25歳までに比べると激減する傾向にある。IT業界で実績を積んでいくキャリアプランを選択するなら、最後のチャンスになるだろう。

【IT業界年齢別キャリアプラン】35歳〜

35歳を超えると他の企業にいっても即戦力となるようなスキルが求められる。採用されるポジションも、これまでとは違い上流工程になる。未経験の採用はほぼないと考えるべきだろう。採用されるためにはよほど独学で努力を積み、社外で実績を残している必要がある。

このように、年齢によってキャリア形成のロードマップを引いておくことが重要なのだ。また、35歳というひとつのボーダーを知っておくことも大切だろう。35歳を過ぎてIT業界への転向を検討してしまうと、多くのコストがかかってしまうため、やや危険な選択となる。

「転職35歳限界説」については、以下の記事で詳しく紹介している。終身雇用制度が崩壊している近年、慢性的な人手不足や即戦力で対応できる人材が限られているなど、求人は増加傾向にあるため、以前よりも転職成功率は上がっている。しかし、年齢が上がるにつれて転職難易度が高まるのは事実。ミドル層の転職動向や成功に導くための考え方を理解し、転職活動に望むことが重要である。

また、副業の解禁や新型コロナウイルス感染拡大によるテレワーク(リモートワーク)の普及など、これからの働き方に備えた考え方を知ることも重要だ。以下の記事では、これからの働き方が抱える問題点や必要なこと、自分の強みが見つからない場合に取るべき対策などを詳しく解説している。ぜひ参考にしてほしい。

転職エージェントの利用方法

このようなキャリアプランは1人で立てることもできるが、確実性が無い。第三者の、それも転職のプロにアドバイスをしてもらいたいところ。そこで利用したいのが「転職エージェント」だ。

本項目では、転職エージェントの概要から正しい使い方までを簡潔に紹介しよう。

1.転職エージェントとは?

まず、転職エージェントの概要について紹介する。

出典:DODAエージェントサービス

転職エージェントとは、担当制の転職支援サービスだ。エージェントと呼ばれる担当者が求職者と企業の間に入り、転職活動全般を支援する。サポート内容は様々だ。転職希望者のキャリアに応じた求人の紹介や、履歴書・職務経歴書の添削、面接の対策や、内定後の給与交渉など。転職活動をトータルでバックアップしてくれる。

この転職エージェントでは、登録後に必ずキャリアカウンセリングを行う。このキャリアカウンセリングではこれまでの職歴や、今後のキャリアプランについてざっくばらんに話をすることになる。キャリアカウンセリングによって自身のキャリアプランを棚卸しすることができ、転職のプロの目線で業界の状況を踏まえたアドバイスを貰うことができるのだ。

業界の移り変わりが早く、また求人数も多く玉石混交のIT業界での転職。ぜひ転職エージェントのキャリアカウンセリングと、転職支援サービスを有効活用しよう。以下の記事では、転職エージェントの仕組みについてより詳しく解説している。利用の流れやメリット・デメリットもあわせて紹介しているので、ぜひ参考にしてほしい。

2.転職エージェントは複数登録が基本

転職エージェントをうまく使うコツは、エージェント会社の複数登録だ。転職エージェントはマンツーマンのサポートであるがゆえに、担当になってもらったエージェントの力量によって転職活動の成功率が大きく左右されてしまうというデメリットがある。

転職サイト大手の「リクナビNEXT」の調査によると、エージェントを利用して転職活動をした人のうち、転職活動を成功させた人は平均して4社以上のエージェントを利用していたというデータがある。このことから、転職を成功させるためには、統計的に4社以上のエージェントを利用するのが良いことが分かる。

ただし、エージェントとは転職活動中に頻繁にやり取りが発生する。あまりにも多くのエージェントを利用してしまうと、かえってやり取りが煩雑になり、円滑な転職活動に支障をきたす場合もあるだろう。登録するのは4〜5社にとどめるようにしよう。

3.優秀なエージェントを選定する

4〜5社に登録したとしても、すべての転職エージェントを利用するわけではない。登録、キャリアカウンセリング、メールのやり取りを経て、スキルが高いと感じたエージェントのみを利用することが大切だ。どれだけ評判がよい転職エージェント会社を利用しても、担当になった人が新人であったり、熱意が低い人だったりした場合は、潔く別のエージェントを利用するべきだ。

複数のエージェントを利用すれば、自ずと転職エージェントの優劣は判断できるだろう。エージェントの情報量や、メールへの返信速度、そしてエージェントのモチベーションなどをもとに選定するようにしよう。4〜5社に登録し、2〜3社に絞るのが理想的な利用社数だろう。

なお、選定から漏れたエージェントには「現職で仕事を続けることにした」などと伝えすれば問題なくサービスの終了を申し込める。そのままにしても大丈夫ではあるが、求人紹介の自動送信メールなども届くので、受信ボックスの煩雑化を防ぐためにもサービスの退会をおすすめする。

転職エージェントの選定基準【IT業界編】

上で紹介した転職エージェントの選定だが、IT業界への転職でエージェントを利用する際には別途気をつけたい選定ポイントがある。IT業界への転職でエージェントを利用する際には、以下の点にも注意しよう。

1.IT業界について明るいか
2.機械的な提案をされていないか

1.IT業界について明るいか

専門職でもあるIT業界の転職では、担当のエージェントの知識が深ければ深いほど有利だ。IT業界について詳しいことは当然として、元IT業界従事者であることがさらに理想的できる。

キャリアアップについてもIT業界出身者であるほうがより具体的なプランを提案してくれるだろう。入社後に求められるスキルや身につくスキルをもとに、5年後、10年後のプランまで相談できるエージェントが理想だ。

2.機械的な提案をされていないか

大手の転職エージェントでありがちな問題だが、登録した際の職歴情報をもとに、機械的に求人案件を紹介される場合がある。これでは転職エージェントを利用している意味が半減してしまう。キャリアカウンセリングの際に要望や希望を伝え、自身のイメージにどれだけ近い案件を紹介してもらえるかが、ひとつの選定ポイントとなる。

内定率や年収が高いことも重要であるが、IT業界の転職で重視したいのはキャリア設計に必要なスキルだ。そのため、(希望している場合は別として)内定率や年収のといった点を強くプッシュしてくるエージェントは、やや警戒して対応する必要があるといえる。

IT業界に強いおすすめの転職エージェント6選

それでは、いよいよIT業界への転職でおすすめの転職エージェントを紹介しよう。繰り返しになるが、紹介しているエージェント会社の中かから4〜5社に登録し、選定をしていくようなイメージで転職活動を行っていこう。

※特徴にむらがないような順番で掲載している。特に強い希望がない場合は、上から4、もしくは5社に登録するのが良いだろう。

1.レバテックキャリア

出典:レバテックキャリア

IT・Webに特化した転職エージェントであるレバテックキャリア。在籍するエージェントは研修会を定期的に受講し、業界動向について常に情報更新を続けている徹底ぶりだ。

専門的なキャリアカウンセリングが可能であるため、保有案件の中からより転職希望者にフィットした求人を提案することができる。また、これまでレバテックキャリアのもとで転職を成功した人経由での、リアルな企業情報を知ることもできる。

リクルートキャリア主催が主催している「GOOD AGENT AWARD」で在籍アドバイザーが特別賞を受賞するなど、自他共認める提案力を持っている。

また、レバテックキャリアは登録から内定獲得まで、最短で9日間という実績も持つ。諸般の事情で急いで転職をしたい人にとっては、代えがたいメリットとなるだろう。

>レバテックキャリアの公式サイトはこちら

2.ワークポート

出典:ワークポート

ワークポートも、IT業界に特化したエージェントのひとつだ。一般的な転職サイトに掲載されていない非公開求人の数も多く、IT業界を志望するのであれば登録しておいて損のないエージェントだろう。

ワークポートの特徴は充実のセミナー支援。転職の基礎知識を学べるセミナーから、選考を含む説明会のセミナーまで、転職活動を支援するセミナーが多数揃っている。もちろん、登録者の受講は無料だ。

「eコンシェルジュ」と呼ばれるオリジナルのシステムを登録者に提供しており、パソコンやスマートフォンで転職活動を管理することが可能。※ワークポートでは、転職エージェントを転職コンシェルジュと位置づけている。

IT関連のゲーム業界(スマートフォンゲームなど)での転職実績も厚いため、関連企業を志望している人は、ぜひ登録してほしい。

>ワークポートの公式サイトはこちら

3.リクルートエージェント

出典:リクルートエージェント

転職業界最大手のエージェントサービスがリクルートエージェントだ。求人数や転職実績は業界随一。IT業界に特化しているわけではないが、その情報力と求人数を利用しない手はない。ネームブランドや歴史があり、業界内での信頼の厚いエージェントだ。求人数が圧倒的に多いため、特に異業種からの転職では真価を発揮することだろう。

また、IT業界に特化していないとは言え、主要拠点にはIT専門のチームが設けられている。同業界出身者など、ITに明るいエージェントが担当となり、転職活動をサポートをする。

大手企業とのコネクションも太く多いため、大手企業へのキャリアアップとしても活用したいエージェントだ。

>リクルートエージェントの公式サイトはこちら

4.マイナビエージェント×IT

出典:マイナビエージェント×IT

新卒採用ではリクルートエージェントを抜いて最も求人数の多い転職業界大手のマイナビエージェント。そんなマイナビエージェントの中でも、ITに特化した部門がある。

20~30代の若手IT・WEBエンジニアに強いエージェントだ。WEBやゲーム系企業はもちろんのこと、コンサルティングファームから大手SIer、メーカーやベンダーなど、IT業界でも幅広い転職実績を誇る。利用者の年収アップにも力を入れており、ITエンジニアの半数以上が転職時に年収がアップしたというデータもある。

丁寧な営業力に定評のあるマイナビージェントは企業側との関係構築が厚く、紹介する際のミスマッチが少ないことでも知られている。このミスマッチの少なさは選考通過率の高さにもつながっているため、マイナビならではの価値を創出しているのだ。

>マイナビエージェント×ITの公式サイトはこちら

5.Geekly

出典:Geekly

IT・Web・ゲーム業界に強いのがGeekly(ギークリー)。業界の主要企業とのコネクションを築き、求人票からは見えてこない情報も丁寧に伝えている。未経験から転職する人にも配慮し、メリットや、準備しておいてほしいことなど、実践的なアドバイスを行う。

6,000件を超える非公開求人を掲載しており、その中にはGeeklyにのみ掲載されている独占求人も含まれている。利用することでより多くの求人と出会い、良縁と巡り合う確率を高めることができるだろう。

リクルートキャリア主催の転職エージェントのアワードでは、「紹介求人案件満足度部門」「カウンセリング・対応満足度部門」などで1位を獲得した実績もある。案件数だけでなく、利用者からの満足度も高いエージェントと言えるだろう。

>Geeklyの公式サイトはこちら

6.type転職エージェント

出典:type転職エージェント

type転職エージェントはIT業界専門のエージェントではないが、IT業界に強く、転職実績の半数以上はIT業界の転職者だ。

驚くべきことに、type転職エージェントを利用して転職した人の71%が年収アップしている。内定後の給与交渉にも独自のノウハウを保有していることが推測できる。また、業界ごとに専任のアドバイザーが在籍しており、職務経歴書や面接など、個別にカスタマイズされたサポートを実施しているのも高ポイント。

他社と比べるとやや知名度は落ちるかもしれないが、そのぶん求職者一人ひとりにかけるコストは多く、懇切丁寧なサポートが期待できる。初めての転職では、こちらの転職エージェントを利用するのも一つの手だろう。

>type転職エージェントエージェントの公式サイトはこちら

通常の業界よりも、やや特殊なIT業界の転職。実際のところ、20代、30代前半のうちにキャリアプランをしっかりと立てている人は少ないと聞く。そのため、自身のキャリアプランをしっかりと立てているという点だけで転職活動には有利に働く。熱意のある転職希望者として、転職エージェントも親身に対応してくれる可能性が高くなるのだ。

IT業界に勤めている人、また、未経験からの転職を希望している人は、目の前の企業だけでなく、5年、10年後のなりたい自分をふまえて、転職活動を行うようにしよう。そして、キャリア設計を行う上で、転職エージェントは理想的なサービスのひとつといえるだろう。

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