英会話に文法知識が必要な2つの理由

1.聞き取った英語を理解するため

英会話で聞き取った英語を理解するためには、文法知識が必要だ。当たり前のことだが、ネイティブは正しい文法で英語を話す。人は英語を聞き取った時、自分の頭の中にある文法知識と照らし合わせながら理解をする。頭の中にある文法知識が間違っていたら理解することはできないため、正しい文法知識が必要だ。例えば以下の英語を聞き取ったとしよう。

(A)”That is so interesting.” (あれはとても興味深い。)

この英文は、S(主語)V(動詞)O(目的語)が単純に並んだ文法で成り立っている。このくらいの文なら、誰でも容易に理解できると思うが、これがもっと長く複雑な文になると、正しい文法知識を知らないと理解できなくなる。例えば以下のような英語で考えてみよう。

(B)”That he ate sushi is so interesting.”(彼が寿司を食べたのはとても興味深い。)

ここでも(A)の例文と同じように「that」が文頭に来ている。だから最初に「that」が聞えてきたときに、あたかも「that」が主語であるかのような捉え方をしてしまうケースが非常に多い。しかし日本語訳を見てもらえばわかる通り、この文の主語は「彼が寿司を食べたこと」という部分になる。

ここでは「形式主語」と呼ばれる英語独特の文法事項が含まれているのだが、普段それに馴染みがない人にとっては理解を阻む要因となってしまう。英語を聞き取った時点で自分の中にある文法知識と結びつかず、理解することができないのだ。

「形式主語」以外にも、英語を理解する上で押さえておかなければならない文法知識はたくさんある。骨が折れる作業かもしれないが、正しい文法を一つ一つ丁寧に押さえていかなければ、聞き取った英語を理解することはできない。相手の英語を理解するために、正しい文法知識を身につけていこう。

2.自分の気持ちを正しく伝えるため

英会話で自分の気持ちを正しく伝えるためにも、文法知識が必要になってくる。もちろん英語で「会話」をするということは、相手の英語を理解すると同時に、自分の英語を相手に理解させる必要がある。その上で文法知識がないと、自分の気持ちを正しく伝えることができなくなる。

(A)”You are smart. “(君は利口だね。)

(B)”Are you smart? ” (君は利口なの?)

簡単な英文を二つ挙げてみよう。ここでは「you」と「are」を入れ替えただけで内容がガラッと変化し、「疑問」の意味合いが生じている。疑問の要素を文頭に持ってくるか文末に持ってくるかは日本語と英語の大きな違いだ。

この例に象徴されるように、語順がちょっとだけ違うだけで、正しい内容を英語で伝えることができないどころか、誤解を生んでしまう可能性さえある。お互いの意思が明確に伝わる気持ちの良い会話のキャッチボールをするためも、正しい文法を習得しよう。

「文法学習をしすぎると英会話が伸びない」と言われる真相

しかし、日本人は文法の勉強をしすぎているから英会話ができない、という話もよく耳にすることだ。この議論はもう随分長い間続いている気がするが、先ほども説明したとおり、英会話に文法知識は必要だ。ではなぜ、こういった議論が起きてしまうのか?以下でその真相を解明していきたい。

普段の英会話で使わない文法ばかり勉強しているから

1つ目の理由としては、日本人は英会話の学習をするにあたって、普段の英会話で使わない難しい文法ばかりを勉強してしまうからだ。ここでも例文を挙げてみよう。

(A)”If he find a policeman, I run away.”( 彼が警察官を見つけたら、私は逃げます。)

この英文は基礎的な文法だけでなりたっている。普段の英会話でも、このレベルの表現なら頻繁に使われる。では次の英文はどうだろうか?

(B)”He finding a policeman, I run away.”( 彼が警察官を見つけたら、私は逃げます。)

意味は同じだが「if」が省略され「find」が「finding」に変わっている。詳しい説明は省くが、これは「分詞構文」と呼ばれる比較的難しい文法事項の1つ。文語表現と捉えられていて、英会話ではあまり使われない。

つまり普段の英会話で使うのは、(B)ではなく(A)の表現。にも関わらず多くの人が(B)のような、普段の英会話で使うとは思えない難しい文法ばかりを勉強してしまう。文法学習が英会話に結びつかないのではなく、普段の英会話で使わない文法ばかり学習しても、英会話ができるようにならないということ。文法を学習するときは、実際の英会話で使える文法を中心に学習していこう。

文法事項を覚えただけで、使いこなす練習をしていないから

文法事項をインプットばかりして、実際にその文法を使用する「アウトプットの練習」が足りていないというのも大きな理由といえるだろう。文法の学習をしたあとに会話の学習を実践しないいままでは、英会話の学習から独立させてしまうことになる。

日本の受験はペーパーテストが主流になっていて、どうしてもアウトプットの機会が少なくなってしまっている。ペーパーテスト対策のために行う文法学習は、実際の英会話で使うことを前提としていない。せっかく覚えた文法知識もアウトプットしない限り、実際の英会話で活きてこないのだ。

文法をインプットしたら、英作文やスピーキングをしたりして積極的にアウトプットしていこう。アウトプットをすればするほど、定着は早くなる。

英会話に必要な文法を身に付けるための3ステップ

ではここから、英会話に必要な文法を身につけるための具体的な勉強法を、3つのステップに分けてレクチャーしていこう。

ステップ1. 英会話で使える文法から覚えていく

最初のステップは、英会話で使える文法から覚えていくこと。実際の英会話で使わない難しい文法ではなく、日常会話で使うレベルの簡単な文法だ。

中でもオススメしているのは、中学の参考書を開いてみること。中学の参考書は会話ベースの内容が多く、より実践的であるといえる。また頭の中で英文を組み立てやすい、基礎的な文法を中心に扱っている。

特に英会話であやふやになりがちな、時制や動詞の変化はやっておいた方がいいだろう。この二つは英語熟練者でも間違えることがある。動詞の後に「s」をつけ忘れたり、過去のことを現在で語ってしまったりというミスは頻繁に起きている。ただ、どの単元が苦手かは人によって差があるため、一通り復習してみて、自分の中で理解しきれていないと思う文法事項を重点的にやっておこう。

中学レベルの文法で英会話ができるようになるためには、下記の参考書がオススメだ。

『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』(森沢洋介,2006)

ステップ2. 覚えた文法事項を使って英作文をしてみる

文法事項を覚えたら、今度はそれを使って英作文をしてみよう。英会話ができるようになるには、頭の中で瞬時に言いたいことを英語の文へ組み立てる必要がある。実際に作文をしてみることでインプットした文法をアウトプットし、定着させていこう。

最終的には、頭の中だけで英作文をすることを目標にしよう。実際の英会話では頭の中で、それも瞬時に英作文を行わなければならない。最初のうちは、文字で書かないと厳しいかもしれない。徐々に書くスピードを上げていき、慣れてきたら頭の中だけで行うようにしよう。

一点、注意してほしいのは、1つの文法事項を終えたらその流れで英作文を行うこと。インプットからアウトプットまでに時間が空いてしまうと、定着しにくくなる。今学んでいる文法をそのまま英会話に活かす、という意識を常に持って取り組むようにしよう。

ステップ3. 実際に英会話で使ってみる

文法を一通り抑えた上で英作文ができるようになったら、実際の英会話で使ってみよう。自分の英語の文法が本当に合っているか、伝わるかを確認していく作業だ。実際の英会話では、会話の「間」であったり外国人のノリであったり、実際に体験してみないとわからない事柄がたくさんある。やはり実践で学んでいくのが一番効果的だ。

英会話をする相手は、色んな人が想定できる。友達や親戚に英語を話せる人がいれば、その人に教えてもらうのも良いだろう。可能であればやはり、英会話の講師を相手にするのが最も効果的。英会話の講師はもちろん英語のこと、そして日本人がどのような誤りを犯しやすいかを熟知しているからだ。自分の誤りを指摘してくれるだけでなく、実際の英会話で使える新しい知識を教えてくれるだろう。

英会話の講師と話すためには、英会話教室に行って集団授業を受けたり、マンツーマンのオンライン指導を受けたり、いろいろな手段がある。自分のレベルやスケジュール、経済状況などに合った手段から、自分に最適な方法を検討してみてほしい。

まとめ

この記事では、英会話に文法知識が必要な理由と、英会話に必要な文法を身につけるための勉強法をご紹介した。

当たり前のことを言うようだが、英語は外国語。日本語を使わず、英語だけで会話をすることができるようになるにはかなりの時間を要する。英会話は一朝一夕では習得できないのだ。正しい学習法の元、色んな人や本のアドバイスを借りながら、よく計画を練って継続的に学習を行なっていこう。