IELTSのスピーキングの評価基準と全体戦略

最初に、IELTSのスピーキングテスト全体を通じてチェックされる評価基準を確認しておこう。IELTSのスピーキングのスコアは、以下4つの評価基準に従って、バンドスコア0〜9.0で採点される。

  1. 語彙の豊富さ(Lexical Resource)
  2. 文法の幅と正確さ(Grammatical Range and Accuracy)
  3. 発音(Pronunciation)
  4. 流暢さと一貫性(Fluency and Conherence)

上記4点は、IELTSのスピーキングテストに関わらず、英語を使いこなすうえで常に必要とされる要素である。「語彙」「文法」は英文の構成要素、「発音」は文字を音に変換したもの、そして「流暢さと一貫性」は英語を不自由なく実用的に使いこなすための能力のことを指す。

以下、ひとつずつ解説しよう。

1. 語彙の豊富さ(Lexical Resource)

IELTSのスピーキングにおける語彙の豊富さとは、「使用する語彙の幅」「語彙選択の正確さ」「表現の言い換え」を意味する。基本的な単語だけを使っていると、スコアが落ちてしまう。また語彙力に乏しいと、相手に伝えることができる内容も制限されてしまうだろう。

言い換え表現について補足しておくと、英語圏では、同じ単語や表現を繰り返し使用することに対し、「幼稚」「教養がない」ともみなされる。例えば、“get” “give” “good”などの単語は汎用性が高く、頻繁に使ってしまいがちだが、それだとすべて「~できてよかったです」「~して楽しかったです」を繰り返す小学生作文のように聞こえてしまうのだ。

これらを表現するシチュエーションに応じて、例えば下記のように言い換えてみよう。

単語例言い換え例
get
(手に入れる)
obtain(取得する)
gain(努力して手に入れる)
acquire(習得する)
give
(あげる)
provide(提供する)
supply(供給する)
offer(人が…を受け入れるように提示する)
good
(良い)
beneficial(有益な)
worthy(価値のある)
magnificent(壮大な)

このような豊富な単語を使いこなすためには、使えたい単語に対して、それぞれ自分で例文を作って実際に口に出して使ってみることが重要である。何度も練習して、自然とその表現が出てくるようになるまで口に馴染ませよう。

2. 文法の幅と正確さ(Grammatical Range and Accuracy)

「文法の幅と正確さ」では、文法構造の多様性(時制、従属節、仮定法、受動態など)と、それを会話のなかで自然にかつ正確に活用できているかどうかを評価される。複雑な文法を幅広くかつ自然に使いこなすことができれば、スピーキング・ライティングの両方で高得点を狙うことが可能だ。

しかし、使い慣れてない文法や構文を常に気にしながら喋っていては、「流暢さや一貫性」で減点対象になってしまうことも……。試験本番では無意識に使いこなせる自分の身丈に合った英文法を使うことを心がけよう。無意識に正しい文法を用いて英語を操れるようになるには「意識的な反復」と「慣れによる無意識化」しかない。

日本語環境でビジネスマナーを改めて勉強しなおすことを考えてみてほしい。最初のうちは電話応対のセリフをメモ書きで用意したり、上司へのプレゼンテーションを何度も練習したり、顧客対応時も頭の中で気を付けながら言葉を選んだりするのではないだろうか?

無意識に敬語やビジネスマナーが使いこなせるようになると、その分、自分が話す内容や相手の言いたいことを理解しようとすることに集中できるようになっていくはず。スピーキングの練習をこなして、無意識に使える文法事項の幅を徐々に広げていき、本番では無理なく使える範囲の文法を活用し、話す内容に意識を向けるようにしていこう。

3. 発音(Pronunciation)

評価基準では「発音」とだけ記されているが、実際には、英語の発音の特徴である「リズム」「スピード」「イントネーション」「個々の単語」「連結音の変化」などを、スピーキング中に実践できているかをチェックされる。端的に言うと、「受験者の話す英語がネイティブにどれくらい理解しやすく聞こえるか?」ということだ。

英文は文法と単語で構成されているが、その文字列を音に変換し、滑らかに聞こえるようにするには「発音」のルールを知る必要がある。

発音を見直すのにオススメの参考書を2冊紹介しよう。自分の英語がより伝わりやすく、また相手の英語がより聞き取りやすくなるので、英会話を上達させたいなら2冊とも必須だ。

1.『英語耳 発音ができるとリスニングができる』
:口の形や舌の位置を矯正する発音教本
2.『英語喉 50のメソッド』
:喉を使って息を音にする発声教本

発音にしても発声法にしても、日本人が普段使用していない体の部位を使うので、筋トレと同じく継続すれば効果が見え始め、トレーニングをやめるとまた衰えていく。トレーニングを続けていると、日本語を喋るときと、英語を喋るときとで自分の声が変わっていることに驚くはずだ。

4. 流暢さと一貫性(Fluency and Conherence)

この評価基準では、長い沈黙や言葉を詰まらせることなく、自然なスピードで英語を話す能力が測られる。これは、①~③の「文法」「語彙」「発音」で英作文をアウトプットする土台ができていれば、練習をすればするほど上達していくだろう。

また、一貫性が評価されると言っても、論文のような構成で順序立ててスピーチをしなければならないという意味ではなく、特に難しく考える必要はない。たとえ文法や語法が合っていても「雷が鳴っていたのでカフェに行ってバスケットボールをしました」のような意味不明な展開は減点する、ということだ。

IELTSのスピーキング攻略に必須となる2つのアウトプット

英語を話すということは、頭の中で英作文をしてそれを口からアウトプットしていくということ。日本語では無意識にできている「思ったことを口に出して言う」処理を、英語でも自然なスピードでできるようになるには、意識的にトレーニングを積んでいく必要がある。

ステップ1. スピーキング力を鍛えるアウトプット

英作文をするうえで必要な文法と語彙力が準備できたら、ライティングとスピーキングでとにかくアウトプットを続けよう。机に向かっているときだけでなく、道を歩いているときも、ちょっとした感情も、暇さえあれば英語で独り言で言う習慣をつけて英作文を繰り返し、英語の音を口に馴染ませていくことが重要だ。

また家で練習するときは、自分の声を録音して聞くようにすると良い。自分の声を聞くのは気持ち悪く感じるかもしれないが、改善しようという気持ちが働くので、発音や英文のリズム、声の出し方もどんどんブラッシュアップされていく。

ステップ2. 英会話・コミュニケーション力を鍛えるアウトプット

一人で練習するだけでも、スピーキング力はかなり向上するが、それだけではまだ英会話は完成しない。自分の声をマイクに吹き込んで採点されるTOEFLとは違い、IELTSのスピーキングテストは対人で行われる。

あらかじめ決まった設問に対して一方的に話し続けるスピーキング力だけではなく、設問を読み、相手の話を聞き、予想外の質問に適切なタイミングで反応する「英会話でのコミュニケーション力」が、IELTSでは問われるのだ。

この英会話力を鍛えなければ、せっかく身に付けた自分の思考を言語化するスピーキング力も実用化できない。双方向の言葉のキャッチボールをスムーズに行えるようになるには、やはり誰かと英語を使って会話をする練習を重ねる必要がある。

それを自宅にいながら独学で実現できるのが「オンライン英会話」だ。英会話の上達に必須と言っても過言ではないだろう。オンライン英会話はいつ始めても早過ぎることはなく、少しでも早い段階で取り掛かった方がいいので、ステップ1.のスピーキング練習の時点から開始しておくことをおすすめしたい

IELTSのスピーキングで間接的に問われる3つの言語能力

IELTSのスピーキングテストは、英語でのコミュニケーションを評価軸として受験者の英語力を測る試験である。しかし、IELTSのスピーキングセクションでは、直接的な英語力の評価の対象にはならないものの、言語能力として鍛錬しておくべきポイントがある。

それが、「幅広い分野に関する専門知識」「思考の言語化」「回答の構成力」だ。

1. 幅広い分野に関する専門知識

IELTSのスピーキングテストでは、幅広い分野からトピックが選出され、時には専門知識がなければ咄嗟に答えにくいような場面もあるかもしれない。しかし、試験官は、受験者に専門的な知識があることを期待しているわけではなく、むしろ答えるのが難しいことも想定している。

受験者が馴染みのないトピックを一生懸命に伝えようとするときに、「推測して答えることができるか」「場繋ぎのフレーズを自然に入れることができるか」、そしてそこに「語彙や文法の不足が現れないか」といったコミュニケーション能力の限界を探っているだけなのだ。

ただ、やはり出題分野に関して幅広い知見と語彙力を備えておいた方が、より深い内容をスムーズに回答することに繋がるため、できることならしっかりと対策をしておこう。IELTSで扱われるテーマである「政治・経済学」「自然科学・環境学」「生命科学・医療・健康」「芸術・人文科学」などは、スピーキング以外のセクションでも触れることができる。

まずはIELTSの対策書や模試を何度も読み返し、さらに余裕があれば、以下の時事メディアやショートトピックスを活用して、記事の要約練習、キーフレーズのメモ、音読、シャドーイングなどを行っていく。

リアルタイムの時事ネタは、オンライン英会話のフリートークにも持ち込みやすく特におすすめ。また人間の脳は、ストーリーと結び付けて記憶するのが得意なので、ボキャブラリーを着実にビルドアップしながら、自分の苦手な分野に対するするアレルギーを解消していこう。

2. 思考の言語化

スピーキングセッションのパート2では、下記のようなタスクカードが手渡され、受験者は1分間で準備した後、最大2分間のスピーチを行う。

Describe a time when you visited a friend or family member at their workplace.
You should say:
・who you visited
・where this person worked
・why you visited this person’s workplace
and explain how you felt about visiting this person’s workplace.
Cambridge IELTS 12 Academic Student’s Bookより引用

上記問題の主題は「友達や家族の職場に行ったときのことを話してください」だ。

繰り返しになるが、IELTSのスピーキングは、内容の真偽ではなく受験者の言語能力を測るものなので、事実に基づく話である必要はなく、作り話でも問題ない。しかし、自分の経験に類似モデルのないところから、いきなりストーリーを作るのは日本語でも難しいのではないだろうか?

普段何気なく考えていることを、改めて文章でまとめるとなると、なかなか自分の言葉で表現できないもの。まずは日本語でもいいので、身の回りのことやものに対して関心を持ち、頭の中で思ったことを言語化する癖をつけよう。

英語力に直接関係ないかもしれないが、英語圏で生活していくうえで、自分の考えや意見をしっかりと持ち、現地の大学生や社会人のように話せるかというのは大事なことなのだ。

3. 回答の構成力

またパート3では、パート2のトピックに関連して、より一般的で抽象的な話の展開の仕方が求められる。例えば、パート2が「あなたの(体験した)職場について説明してください」であれば、パート3で話すテーマは「職場環境について」「仕事の大切さについて」であり、下記のような質問事項が想定される。

・快適な職場環境はどのように作られると思いますか?
・最近、あなたの国では、人々の働き方はどのように変化していますか?
・なぜワーカホリックになってしまう人がいるのでしょうか?
・個々がリモートワークをするよりも、オフィスで一緒に仕事を進めることに賛成しますか?

1つの質問に対して、30秒程度で答えるのがちょうどいい。パート3の質問には、「AかBのどちらに賛成か?」「なぜ?」「どうすれば~できますか?」などの決まった型があるので、それぞれの型に対して回答の構成のパターンを作っておくようにしよう。ちなみに、ほとんどの質問の型では下記の回答の構成が使える。

・端的に結論(アイデアや意見)を述べる
・その理由
・事例
・(必要であれば関連した詳細)
・もう一度結論付け

これは、とにかくさまざまな例題の数をこなしていくことで、自分の得意なストーリー展開に持っていけるようになるだろう。最初のうちは、回答をノートに書いてもいいので、話の流れを自分で作る練習から始めることが重要。これをまるまる暗記するのではなく、オンライン英会話を活用して、話に一貫性があるか、語彙に間違いがないか、相手に理解してもらいやすいかなどをチェックしてもらうといいだろう。

IELTSのスピーキング対策~実践編~【オンライン英会話を使い倒す】

ここまで、IELTSのスピーキングでハイスコアを獲得するためのストラテジーと対策を紹介してきた。残すところは、対策のポイントをオンライン英会話に落とし込んで、試験当日まで実践練習を日々続けるのみ。

ここでは、IELTSのスピーキング対策をする上で、オンライン英会話を1分の無駄なく使い倒すポイントを2点お教えしよう。

1. 英会話レッスンの主導権は自分が持つ

オンライン英会話は、サービスによってさまざまなプランが用意されており、なかにはIELTS対策に特化したコースもあるものの、基本的には受講者自身が自由にレッスン内容を組み立てることが可能である。

例えば、下記のように毎回自分でその日のレッスンの内容を決めて、講師には基本的に聞き役となってもらうようにする。

  • 音読するスクリプトを共有して、発音やリズムを矯正してもらう
  • Twitterでの話題や時事ニュースからトピックを選んで、自由にディスカッションする
  • IELTSの模試の問題を伝えて、自分が用意した回答を聞いてもらう

その日のレッスンのテーマを自分で準備しておかないと、講師主導のフリートークになってしまう。特に、スピーキングのレベルが低い時期は準備をしっかりとしておかないと、自分よりも講師の方が一方的に話す展開となってしまうこともあり、それだと時間が非常にもったいない。

もし、IELTSに詳しくない講師のレッスンを受ける場合は、IELTSの受験を控えている旨とスピーキングの評価基準を、最初の自己紹介のときに伝えておくようにしよう。

フリースタイルだからこそ、自分が主導権を持ってレッスンを進めることが重要だ。スピーキング同様に、第3者からの添削が必要となるライティングを見てもらって指導を受けてもいいかもしれない。

2. 毎日レッスンの復習を行ない、改善ポイントを自分で確認する

オンライン英会話のレッスンを受けた後は、毎回復習をしっかりと行おう。

  • その日に新しく覚えた語彙はスピーキングの自主練や次回のオンラインレッスンで積極的に使うようにする。
  • 発音で指摘を受けたのであれば、意識的にその単語や文章を練習する。
  • 準備した回答例を日々ブラッシュアップしていく。

といった感じだ。レッスンを録画または録音しておけば、第3者の視点から自分の英会話を聞くこともできる。改善点のほか、日々の成長を自分で確認することができるのでモチベーションも持続できるだろう。オンライン英会話のサービスによっては録画機能が付いているものがあるので、サービスを選ぶ基準のひとつにしてもいいかもしれない。

IELTSのスピーキング対策におすすめのオンライン英会話

最後に、IELTSのスピーキング対策におすすめのオンライン英会話を、数多くののサービスのなかからいくつか紹介しよう。オンライン英会話サービスの選定基準は以下の通り。

  • IELTSのスピーキング対策コースがある
  • IELTSの知見がある講師がいる
  • 24時間いつでもできる
  • 事前予約が必要ない
  • 1レッスンあたりの時間
  • 1カ月当たりの料金
  • ネイティブ講師が選べる
  • 録画・録音機能がある

サービスの使いやすさや講師との相性もあるため、いくつか無料体験を試してみて自分のニーズ合ったサービスを選定しよう。

mytutor(マイチューター)

出典:mytutor

IELTSをはじめ、TOEFL・英検など英語試験対策に定評のあるmytutor(マイチューター)。スピーキングやライティングはもちろん、リーディングやリスニングなど、他のオンライン英会話サービスにはないカリキュラムを用意している。

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料金全プラン教材費込み◆月額制料金プラン(1日 複数回受講可)
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◆ポイント制料金プラン(1ポイントで1レッスン25分)
・30ポイント / 22,000円
・50ポイント / 29,800円
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◆添削くんポイントプラン(1ポイントで1レッスン25分)
・30ポイント / 22,000円
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出典:DMM英会話

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IELTSのスピーキングは長期的なモチベーションの継続がカギ

今回は、IELTSのスピーキングセクションの攻略法とスコアを伸ばすための具体的なトレーニング方法を解説した。決して容易ではないIELTSのスピーキングスコア向上の秘訣は、IELTSを受験する目的を明確に持ち、長期的にモチベーションを維持できるかにある。

そのためには、キャリアアップや留学にせよ、オーストラリアの海辺で暮らす夢にせよ、IELTSのスコアアップに成功した後の将来を具体的に想像することが大切だ。挫折を味わうこともあるかもしれないが、明確な目標を持って何よりもIELTSに挑戦することを楽しもう。

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