バーでお酒を注文するとき、ぜひ知っておきたいのが「スタンダードカクテル」だ。

カクテルには無数ともいえる種類があるが、その中でも基本ともいえるものを押さえおけば、初めての店でもスムーズに注文することができるだろう。そこでこの記事では、代表的なカクテルの種類や味、その由来などを紹介する。

スタンダードカクテルとは

スタンダードカクテルをそのまま訳すと、標準的なカクテル、定番とされるカクテル、などとなるだろう。実際、世界中どこのバーに行っても当たり前のように注文できるものがスタンダードカクテルだ。

長い歴史の中で多くの人の支持を受け、特徴的な事件や世相と結び付いて人々の記憶に残ったものが、いつしかスタンダードカクテルとして親しまれているのである。バーテンダーに委ねるのではなく自分の意思でオーダーするために知っておいて損はない定番カクテルと言えるだろう。

基本は酒・甘み・酸味の絶妙なバランスで作られる

カクテルは、ベースとなるお酒に別の種類のお酒やジュースなど複数の素材を組み合わせたレシピと、それをミックスさせる技術によって成り立っている。

その味わいのベースとなるのは「酒・甘味・酸味」の3つの要素だ。実際、スタンダードカクテルはその3つの要素をしっかりと踏襲したレシピになっている。

ベースとなるアルコール度数の高いお酒にレモンやライムをはじめとしたジュースなどとミックスされることが多いが、シンプルな要素ゆえに絶妙なバランス加減が求められる。素材を一体化させる技術をもったバーテンダーがいてこそ、カクテルのレシピは活かされるといえるだろう。

スタンダードカクテル27種 ・ベース別レシピ一覧

国境を超えて愛されるスタンダードカクテルについて、ベースとなる酒の種類ごとに紹介しよう。どれを選んでも失敗することのない傑作ばかりだ。

ジン(Gin)ベース

世界中で愛される一杯「ジントニック 」

ドライジン…30〜45ml
トニックウォーター…適量
ライム 1/6カット…1個

カクテルの中でも定番中の定番であり、その店の実力を如実に表すともいわれるものがジントニックだ。客の方も、最初に注文するカクテルとして選ぶ人が多く、スッキリしたライムの酸味とトニックウォーターの爽やかさが万人に愛されるカクテルといえよう。

貴婦人のような美しさ「ホワイトレディ」

ドライジン…2/4
ホワイトキュラソー…1/4
レモンジュース…1/4

19世紀の初頭にロンドンで考案されたカクテルで、白い貴婦人という名前にふさわしく、ドライジンにレモンジュース、ホワイトキュラソーをシェイクして作られる、爽やかな香りで洗練された味をもつ。ジン・サイドカーの別名をもつ。

フィズの代表的カクテル「ジンフィズ 」

ドライジン…45ml
レモンジュース…15ml
シュガーシロップ…2tsp
ソーダ…適量

フィズは、ソーダの炭酸がはじけるときの「シュッ」という音がもとになっているといわれている。そんな炭酸系のカクテルの中でも代表的なのがジンフィズだ。その爽快感は暑い夏にぴったりで、卵の黄身を加えればゴールデンフィズに、白身を加えればシルバーフィズになるなど、バリエーションも豊富だ。

英国生まれの“名作”「ギムレット」

ドライジン…3/4
ライムジュース…1/4
シュガーシロップ…1tsp

イギリス海軍で軍医を務めていたギムレット卿が、ジンを飲み過ぎる将校たちの健康を案じて、そこにライムジュースを加えたことに由来する。レイモンド・チャンドラの小説『ロング・グッドバイ(長いお別れ)』に出てくる「ギムレットには早すぎる」というセリフがあまりに有名だ。

ギムレットを爽やかに「ギムレットハイボール 」

ドライジン…45ml
ライムジュース…15ml
シュガーシロップ…1tsp
ソーダ…適量

ギムレットはアルコール度数が高いが、それをソーダで割ることで度数を半分以下に落としたものが、ギムレットハイボールだ。飲み口の鋭いギムレットを、より爽やかに楽しむことができる。強いお酒が苦手な人は、まずこちらの方から試してみてもいいだろう。

カクテルの王様「マティーニ」

ドライジン…3/4
ドライベルモット…1/4
オリーブ…1個
ピール用レモン

その名も「カクテルの王様」と讃えられているのがマティーニだ。世界中のバーテンダーが何らかの拘りを持ち、飲み手の方も強い思い入れを持っている人が多いことでも知られている。レシピはシンプルだが、それだけにバーテンダーの実力が問われ、独自のアレンジが施されることも多い。

ブランデー(Brandy)ベース

甘美な芳香に酔いが回る「アレキサンダー」

ブランデー…2/4
クレームドカカオ…1/4
フレッシュクリーム…1/4

その由来は、英国の国王エドワード7世が、王妃アレキサンドラに捧げたカクテルで、口当たりが良く、女性からの人気も高い。ブランデーの芳醇な香りが、クレームドカカオやフレッシュクリームとうまく調和し、質の高いショコラを思わせる味となっている。

ザ・シェイクスタイル「サイドカー 」

ブランデー…2/4
ホワイトキュラソー…1/4
レモンジュース…1/4

考案者がバイクのサイドカー乗っていたことからその名が付けられた、シェイクスタイルを代表するカクテル。

ホワイトレディの別名がジン・サイドカーだったように、ベースを他の酒に変えるアレンジが可能で、他にはウォッカベースのバラライカも有名だ。ちょっとした加減で味わいが変わるので、作り手の個性が出やすい。

優雅な赤いバラ「ジャックローズ 」

アップルブランデー…2/4
ライムジュース…1/4
グレナデンシロップ…1/4

フランスのノルマンディー地方のりんごを使ったアップルブランデーをベースに、ザクロを原料とするグレナデンシロップを合わせることで、甘みの中に酸味がほどよく調和する華やかな香りが特徴的なカクテルだ。まるで赤いバラの花びらのような美しい色合いからその名が付いたといわれる、気品漂う一品。

ウイスキー(Wisky)ベース

1986年優勝作品「キングスバレイ 」

スコッチウイスキー…4/6
ホワイトキュラソー…1/6
ライムジュース…1/6
ブルーキュラソー…1tsp

第1回スコッチ・ウイスキー・カクテルコンテスト(1986年)の優勝作。スコッチの産地であるスコットランドの山深い渓谷をイメージした、美しいグリーンが見た目にも鮮やかなカクテル。作者は日本人。「谷の王者」と名付けられ、今や世界的に愛される定番カクテルとなっている。

自分で味を調節できる「オールドファッションド 」

ウイスキー…45ml
角砂糖…1個
アロマチックビターズ…2dashes
レモン・オレンジ・ライム …各1枚

昔からあるカクテルを思わせることからその名がついた。またロックグラス(オールド・ファッションド・グラス)の名前の由来になったことでも知られている。甘さと苦味が同居しているが、自分で砂糖やフルーツを加えることで、好みに合わせて味を作っていくことができる。

優雅に君臨する女王「マンハッタン 」

ウイスキー…3/4
スイートベルモット…1/4
アロマチックビターズ…1dash
レッドチェリー…1個
ピール用レモン

19世紀の半ばには、すでに世界中で愛されていたスタンダードカクテル。ニューヨークの夕日をイメージしたともいわれる、気品と透明感を併せ持つ赤が特徴で、「カクテルの王様」であるマティーニに対し、「カクテルの女王」と呼ばれる。甘みとほろ苦さが混ざり合う繊細な一杯。

ウォッカ(Vodka)ベース

夏に飲みたくなる爽快感「モスコミュール」

ウォッカ…45ml
ライムジュース…15ml
ジンジャービアー…適量
ライム 1/6カット…1個

アルコール度数が高く刺激的なカクテル。その名前は「モスクワのラバ」という意味で、後ろ足で蹴る癖のあるラバ(ロバと馬の交雑種)にキックされたような衝撃があることが由来している。銅製のマグカップを使うのが正式な作法とされている。清涼感のある飲み口が夏によく合う。

クリアな飲み口に病みつき「バラライカ 」

ウォッカ…2/4
ホワイトキュラソー…1/4
レモンジュース…1/4

先ほど紹介したサイドカーで、ベースにウォッカを使ったものがバラライカ。バラライカはロシアの楽器で、ウォッカ=ロシアというイメージからその名が付けられた。レモンジュースとホワイトキュラソーを使い、柔らかくて可憐な白色、飲み口は酸味と甘みが香りすっきりとしている。

スノースタイルでおなじみ「ソルティドッグ 」

ウォッカ…45ml
グレープフルーツジュース…適量
塩・レモン…適量

グラスの縁にレモンと塩が施され、それがウォッカとグレープフルーツジュースの持つ爽やかな味わいに程よく混ざり、クセになる味わいになる。シンプルだが不動の人気を誇るカクテル。

ラム(Rum)ベース

ミントの清涼感がクセになる「モヒート 」

ホワイトラム…45ml
ライム…1/2個
シュガーシロップ…1tsp
ミントの葉…6~7枚
ソーダ…適量

ブードゥー教で「魔法、魔術、あるいは麻薬の虜となる」という意味の「MOJO」を語源とし、キューバが発祥の地といわれている。ベースとなっているラムの甘いほのかな風味とフレッシュミントの爽やかさが混ざり、多くの人を惹きつけるになるおいしさだ。

鉱夫たちが愛した味「ダイキリ 」

ホワイトラム…3/4
ライムジュース…1/4
シュガーシロップ…1tsp

ラムの定番カクテル。キューバにあるダイキリという鉱山で働くアメリカ人の鉱夫が、暑さをしのぐために作ったといわれるカクテル。ラムにライムと砂糖、氷を入れただけの極めてシンプルなレシピ。それゆえバーテンダーによって様々なバリエーションがあり、酸味と甘さのバランスにその人の個性が表れる。

ワイン(Wine)ベース

高貴なシャンパン「キールロワイヤル 」

シャンパン…9/10
クレームドカシス…1/10

白ワインをベースにした「キール」をアレンジしたカクテル。白ワインの代わりに、スパークリングワインやシャンパンを用い、さらにクレームドカシスを加えることで、贅沢な一杯に仕上げている。細かくはじける炭酸の泡が華やかさを演出し、ロワイヤル(高貴な、王家風の)キールと名付けられた。

横浜生まれのアペリティフ「バンブー」

ドライシェリー…2/3
ドライベルモット…1/3

創業時の横浜グランドホテル(関東大震災で消失し、現在はホテルニューグランド)のチーフバーテンダー、ルイス・エビンガーが「竹(バンブー)」をイメージして考案したカクテル。

横浜に訪れた外国人によって、世界に広がっていった。ドライベルモットとドライシェリーという、2つのドライを使っていることが特徴。

ロマンチックな乾杯を「シャンパンカクテル 」

シャンパン…適量
ブランデー…1tsp
アロマチックビターズ…1dash
角砂糖…1個
ピール用レモン

グラスの底に角砂糖を沈めることで、そこから気泡が溢れて華やかさを演出するとともに、時間とともに味の変化が楽しむことができる。

映画「カサブランカ」で、主人公がヒロインを見つめながら「君の瞳に乾杯」と言ったとき、ふたりが手にしていたのが、このカクテルだ。お祝いの場でもよく供されることがある。

リキュール(Liqueur)ベース

喜劇王の名をいただく「チャーリーチャップリン 」

スロージン…20ml
アプリコットブランデー…20ml
レモンジュース…20ml

スピリッツに漬け込んだ西洋スモモの酸味と、アプリコットブランデーの甘み、という、ふたつのリキュールが爽やかに混じり合い、そこにレモンジュースを合わせてシェイクすることで、フルーティな爽快さを持つ。なお喜劇王として有名なチャップリンの名前を冠するが、その由来は不明とされる。

太陽の恵みをたっぷりと味わう「バレンシア 」

アプリコットブランデー…2/3
オレンジジュース…1/3

バレンシアの名前の由来には諸説あるが、オレンジの産地として有名なスペインの都市バレンシアで採れたオレンジを使ったことで、その名が付いたといわれている。

オレンジジュースにアプリコットブランデーをミックスすることで、杏とオレンジの甘みと酸味とがグラスに溢れる。フルーティな味わいで、女性でも飲みやすい。

デザート気分で味わう一杯「グラスホッパー 」

クレームドカカオ(白)…1/3
グリーンペパーミント…1/3
フレッシュクリーム…1/3

クレームドカカオとペパーミントが溶け合い、豊かな香りを醸し出すカクテル。さらにフレッシュクリームを加えることで、ホワイトチョコのような甘味も生まれ、まるでデザートのように楽しめる。その見た目が鮮やかなグリーンであることから、バッタを意味するグラスホッパーの名が付いた。

テキーラ(Tequila)ベース

情熱的な闘牛士を思わせる「マタドール 」

テキーラ…2/6
パイナップルジュース…3/6
ライムジュース…1/6

闘牛の最後に牛にとどめを刺す闘牛士「マタドール」の称号を持つカクテル。発祥はスペインの統治時代が長く続いたメキシコで、スペインと同じく闘牛が愛されていたことが背景にある。

その味は、パイナップルジュースとライムジュースのフルーティさが特徴的で、口当たりのよい、メキシコの陽気な雰囲気が味わえる仕上がり。

上品なメキシカンスタイル「マルガリータ 」

テキーラ…2/4
ホワイトキュラソー…1/4
ライムジュース…1/4
塩・レモン…適量

テキーラベース・スタンダードの代表格。亡くなったかつての恋人を偲んでロサンゼルスのバーテンダーが作ったといわれている。

もとは、レモンやライムをかじり、そこにテキーラを流し込んで、最後に塩を舐めるというワイルドなメキシカンスタイルだったものを、グラスの中で上品にまとめたもの。爽やかな味わいが楽しめる。

ビール(Beer)ベース

低アルコールで栄養豊富「レッドアイ 」

ビール…1/2
トマトジュース…1/2

「赤い目」の由来は、二日酔いして目が赤く充血している様子から。ビールと同量に真っ赤なトマトジュースを合わせることで、アルコール度数が下がり、栄養面も向上するという、その名前に反して二日酔いを遠ざけるともいえるカクテル。締めの一杯としてもおすすめ。