106606風土に根付いた酒づくりと“循環”|常陸野を愛し、進化する「木内酒造」の革新的な酒

風土に根付いた酒づくりと“循環”|常陸野を愛し、進化する「木内酒造」の革新的な酒

田村 巴 (たむら とも)
田村巴

男の隠れ家の神出鬼没な編集者・田村巴は年がら年中“休肝日”がない生粋のお酒好き。そんなほろ酔い編集が美味い酒を求めて今宵もぶらりと旅に出る──。

常陸野ネストビールや日の丸ウイスキーで注目される茨城の木内酒造。日本酒づくりから始まった酒づくりの信念を学んできました!

ほろ酔い編集・田村巴のちょっと一杯やらないか? 第16杯

今月からこの連載がリニューアルして文字量増えました。「あまり長い文章は読めないよ」っていう人、正直に手を挙げてください。

はい、どうもありがとう。安心してください、田村もです。

まぁこのページでは難しいことは書きません、さらっと、ふわっと、田村が見てきたお酒との出会いを疑似体験して、皆さんの知見を深める一助になれば幸いです。

というわけで今月は茨城県にある「木内酒造」さんへ。木内酒造といえばフクロウのラベルがおしゃれな「常陸野ネストビール」や2016年から蒸溜を始めた「日の丸ウイスキー」が世界から注目を集めています。

とはいえ本来は1823(文政6)年創業の日本酒の老舗酒造。代表銘柄「菊盛」は、江戸の昔から愛されてきた名酒で、今も変わらず醸しています。

さらにジンや梅酒、果実酒などもつくっています。大手酒造メーカー以外で、これほど多彩な酒づくりを行い、それが評価されている会社は、田村の脳内ではほかに思い浮かばず。こりゃ、行ってみるしかないでしょう。

はじめに訪れたのは那珂市にある常陸野ネストビール「額田醸造所」。製造担当の浦田さんの案内で工場見学です。木内酒造では1995年から日本酒蔵でクラフトビール製造を始め、醸造第1号が完成したのは翌96年10月のこと。

機材集めやノウハウなど手探りで始めたビールつくりでしたが、97年には「インターナショナルビアサミット」で金賞受賞。アメリカやヨーロッパ、アジア各国へ輸出を開始。原料には茨城県産を中心に、契約農家が生産する良質な国産の麦やホップを使用しています。

「額田醸造所」で浦田さんと。醸造タンクは大小含めて85基もあるそうです。

「2010年からは地元の生産者さんと協力して、国産初のビール麦“金子ゴールデン”の栽培を始めました。弊社ではこの麦をビールやウイスキーの一部製品に使用しています」(浦田さん)

2024年には年間2500kl(330㎖ボトルで約700万本)を出荷。その殆どがわずか5名のビール職人の手でつくられているんですって。シンプルにすごっ!

続いて2020年に設立された「八郷蒸溜所」へ。筑波山の麓、石岡市八郷の地で公民館を改装して新設されたウイスキーの蒸溜所。

ここではシングルモルトやグレーンウイスキーを蒸溜し、日本酒やビールづくりの技を生かしたジャパニーズブレンデッドウイスキーの新たな可能性を追いかけています。広報の萩谷さんと製造担当の川﨑さんに案内していただき、お話を伺いました。

「木内酒造では農業や畜産と連携し地域循環型の生産に力を入れています。ビールやウイスキー製造で出る麦芽かすなどは豚や牛などの餌に活用。また、麦を生産する畑では二毛作として“常陸秋そば”も育て、弊社が運営する自社レストランや蕎麦店などで提供しています」(萩谷さん)

「ほかに木内ならではの取り組みとして、日本酒の酒米を利用した“KOME”というライスウイスキーもつくっています。本来ウイスキーは大麦やライ麦、コーンなど、生産地の穀物を使用してつくらてきたもの。日本でウイスキーを作るなら米も欠かせないという理由です」(川﨑さん)

「八郷蒸溜所」では見学ツアーを実施しているので、観光の途中に立ち寄る人も多いとのこと。ビジターセンターでは、軽い食事やテイスティング、買い物が楽しめますよ~。

木内酒造が常陸野(茨城)の風土に合った酒づくりを目指しているのがよくわかります。八郷蒸溜所ではシェリーやポートワイン、バーボンなどさまざまな樽を約6000本保有、熟成を進めているそう。

ちなみにガイド付き見学ツアーの最後には3種のウイスキーをテイスティングできるので、気になる人は一度訪れてみてはいかがでしょう。もちろん田村もテイスティングとショッピングを、ちゃっかり楽しみました。

最後に木内酒造のフレンチレストラン「母屋」(那珂市)へ。こちらでは長年培ってきた醸造発酵技術を生かしたフレンチと、日本酒やビール、ウイスキーなど木内酒造の多彩なお酒とのペアリングを体験。

「母屋」ではリミテッドウイスキー「常陸野シェリーカスク」と「常陸野ポークの藁焼き」、ビンテージビール「Rouge 2011」と「鰆の酒粕焼き 山菜のデクネリゾン」、日本酒にホップを漬けた「淡雫 HOPS」と「自家製バカリャウと里芋のコロッケ、ドライトマトのタルト」を堪能。シェフ白井さんの腕が光ります。

木内酒造が生産に携わる食材や地域の恵みを生かした見目麗しいお料理と、ほかでは味わえないプレミアムな酒の数々。そのどれもが格別に美味しい。

代々蔵元が暮らしてきた母屋を改装した、古民家レストランでの昼呑みは本当最高ですっ!

木内酒造 八郷蒸溜所

老舗酒蔵のウイスキー蒸留所

各種ウイスキーは1杯からテイスティングが可能。日の丸ブランドの各種ウイスキーや「常陸野ポーク」の生ハム、ベーコンなども販売する。

木内酒造 八郷蒸溜所
茨城県石岡市須釜1300-8
TEL/0299-56-7555
ガイド付き見学ツアー/木〜月曜(予約受付カレンダーに準ずる)
実施時間/①10:45〜、②12:30〜(土日祝のみ)、③14:25〜
参加費/大人1名2000円(2025年4月1日以降)
https://hinomaruwhisky.com/

【著者プロフィール】
田村 巴(Tomo Tamura)

1979年北海道出身、フリー編集者。長年「男の隠れ家」に携わり現在は「男の隠れ家デジタル」編集長も務める。毎日の晩酌が人生をより良くすると信じて疑わない。

文/田村 巴 撮影/Noriy.k

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田村 巴 (たむら とも)
田村 巴 (たむら とも)

1979年、北海道出身。バイク(チョッパー)専門誌「HARD CORE CHOPPER」、フリーペーパー「MOLE Magazine」、ライフスタイル誌「男の隠れ家」を経て、現在は「男の隠れ家デジタル」編集長。

バイクやクルマでの日本一周・目的を決めない旅が趣味。好きな分野は「飛行機」「クルマ旅」「地方の土着的な風習や歴史」「ミステリー」など。UFOや都市伝説に興味深々。好きなものは「巨大建造物」「道の駅・SA(道の駅きっぷ収集)」「キャンプ」「ガジェット」「カメラ」「ボストンテリア」。

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