30代の市場価値を知る

キャリアアップを検討するにあたり、まずは今現在の自身が置かれている状況を把握することが重要だ。一般的な平均年収と比べ、自分はどれだけの年収を得ているのか。また、現在の転職回数はキャリアアップを行うに際に不利になってしまうのか、など。

30代の市場価値を整理しつつ、自身の状況と比較して確認していこう。

30代の平均年収

キャリアアップ転職を行う理由として、年収アップは大きな要因のひとつだ。現在よりも年収の高い企業に転職したい、また、将来的に高年収が望める大企業に転職したい、など。

平均年収と比較することで、転職後にどれだけ年収がアップしやすいかを推測することができる。例えば現在平均年収よりも低い人は、転職をすることで年収が上がりやすくなると言えるだろう。

転職支援サービスを運営しているDODAが発表した年齢別の平均年収によると、30代の平均年収は上記のようになる。性別によって大きな開きがあるため、男性は「全体」ではなく「男性」の列を参照してほしい。

男性は30歳から40歳にかけて446万円〜536万円の幅で、90万円ほど昇給していくイメージとなる。同時に、30歳の時点で446万以下の年収であれば、転職の際に年収が上がりやすいことになる。

年収の分布を見てみると、500万円までの人が65%以上を占めている。こちらは男女合わせた分布になるが、全体でみると500万円以上の年収であれば平均以上であると言えそうだ。

平均以上の年収を目的とする場合、しっかりとしたスキルや実績が無い人にとっては困難な転職活動となるだろう。まずは、自分自身が平均と比較してどれだけの給与をもらっているかを比較することが重要だ。

業種ごとの平均年収を見ると、金融や総合商社、IT/通信などの業種が高年収な傾向にある。なお、この表は被雇用者全体のデータなので、厚生労働省が発表している人口全体の平均年収が300万円余りであることを考えると、大幅に高額であることが分かる。

キャリアアップにあたり、異業種への転職を行うキャリアチェンジを検討している場合は、これらの業種に注目することで将来的な年収のアップが期待できるだろう。

30代で未経験・異業種への転職

それでは、実際に30代で未経験の異業種への転職は可能なのだろうか。結論から言えば、「可能であるが、一時的に年収が下がってしまう可能性が高い」となる。

中途採用、それも30代のキャリア採用を行う場合は、即戦力の確保を目的としている場合が多い。そのため、未経験であるポテンシャル採用は、どうしても20代の人材を優先してしまう傾向にあるのだ。30代前半であれば、企業によってはポテンシャル採用を行う場合もある。しかし、年収が大幅にダウンしてしまうことは十分に考えられるだろう。

それを避けるためには、業種・職種のいずれかはそのままに、現在のスキルを活かした転職を行うことが重要になる。キャリア採用として現在のポジションで転職を行い、そのポジションで一定の評価を得るのだ。

その後、キャリアチェンジを狙っていた業種・職種へ部署異動を志望し、移籍を図る。このように、中長期的なスパンでの移行が年収を下げないキャリアチェンジに結びつくのだ。

30代での転職回数の多寡

一般的に、転職回数が多くなればなるほど、企業側の人事担当者はネガティブな印象を持つ。特に30代の転職であれば、多くの企業が長く勤めてくれることを期待するため、転職回数が多いのはマイナスポイントにつながってしまうのだ。

転職支援サービスを運営しているDODAが発表した「転職回数と成功率の関係性」によると、どの年代においても転職回数に比例して転職成功率が低くなることがわかる。

ただし、35歳以上(紫色)の折れ線に限り、2度目の転職のほうが1度目より成功率が高くなっている。このことから、35歳までに1度しか転職を行っていない人は2度めの転職確度が高くなっていることが分かる。

30代の人は「30代後半の2回目」の転職以外は、回数が多ければ多いほど困難になることを知っておこう。

30代でキャリアアップに成功するための3つのポイント

場合によっては難度の高い30代のキャリアアップ転職。転職を検討する際には、どういったポイントに注意することで採用確度を高めることができるのだろうか。ここでは、キャリアアップ転職でポイントとなる項目をまとめて紹介する。

1.キャリアプラン構築のための自己分析を行う

キャリアアップのためには、キャリアプランの構築が必要不可欠だ。

人によってキャリアアップの定義はそれそれだ。「年収のアップ」はもちろんのこと、「スキルや専門性を高めること」や「雇用形態をより良くする」など。その目的は十人十色と言える。

そんななかでキャリアアップの転職を行うには、自分にとっての目的を明確に設定することが重要となる。中長期的な目標をもとに、今回の転職ではどのような企業へ転職したいのかを自己分析することが大切だ。5年後・10年後・20年後と、一定の期間での目標を定め、それぞれに対して「どこでどのように働きたいか」のキャリアプランに落とし込んでいこう。

この自己分析を行うことで目先の待遇に釣られることなく転職活動を行うことができるのだ。

2.転職理由を明らかにし、意思を固める

中長期的な目標を元に、直近の転職理由を整理していこう。キャリアアップの転職活動ともなると、入社難度の高い企業にチャレンジすることも珍しくないため、すべての人が円滑に転職を成功するわけではない。精神的な負担から転職活動を諦め、現職に甘んじてしまうケースも珍しくないようだ。

そこで拠り所となるのが「明確な転職理由」だ。

キャリアプランに基づいた中長期的な目標を元に、なぜ今回転職をしたいのか。また、その条件は何なのかを明らかにしよう。転職活動の疲弊が募ると、強く志望していないにもかかわらず、突発的に内定をもらってしまった企業に転職してしまうということもありえるだろう。

前述の通り転職回数が多いことは今後のキャリアプランに対してマイナスに影響してしまう。転職の失敗を防ぐためにも、転職理由は明確にする必要がある。

3.転職エージェントを利用する

キャリアプランの構築、並びに転職理由の明確化ができたら、それらを第三者に相談し、アドバイスを求めることが大切だ。客観的な視点が加わることで、よりキャリアアップの実現可能性が高まる。

この第三者は、同業者であることが望ましく、また転職業界に精通した人であることがより望ましい。しかし、都合よく知人に転職業界の専門家がいることは稀だろう。

そこで利用したいのが「転職エージェント」と呼ばれる転職支援サービスだ。

出典:DODAエージェントサービス

転職エージェントは担当制の転職支援サービスだ。転職の専門家であるエージェントが求職者と企業の間に入り、求人紹介などの転職活動全般のサポートを行ってくれる。具体的には、以下のようなサポートを受けることができる。

・現在の市場価値やキャリアプランへのアドバイス
・キャリアプランや希望に応じた求人の紹介
・履歴書や職務経歴書など、応募書類の添削
・面接内容のアドバイスや模擬面接の実施
・企業との面接日程の調整
・面接後に企業担当者へのプッシュ
・内定後の給与交渉など

中でも「現在の市場価値やキャリアプランへのアドバイス」は、30代のキャリアップ転職にもってこいのサポートだ。転職エージェントは登録後に面談を行うが、そのタイミングで自身で考えてきたキャリアプランを共有し、プロ目線でのアドバイスを貰うことができる。

また、「キャリアプランや希望に応じた求人の紹介」もキャリアアップに欠かせないポイントだろう。転職難度の高いキャリアアップの転職では、自分の目的に応じた、より多くの求人にチャレンジすることが大切だ。

自分自身で企業を選定するのは、非常に骨の折れる作業である。キャリアカウンセリングの際に転職エージェントに転職活動の目的を伝えることで、要望に適した求人を選定してもらうことができるのだ。自分一人では見つけることができないBtoBの優良な企業などを知れるのは、転職エージェントを利用する大きなメリットと言えるだろう。

さらに、応募書類の添削や面接の対策などの選考通過率を高めるサポートも魅力的だ。前述の通り、キャリアアップの転職は難度が高く、少しでも採用確度を伸ばすためには、こういったサポートを余すことなく利用するべきといえる。

おすすめの転職エージェント会社5選

転職エージェントを利用すべきであることはこれまでで触れた通りだが、どの転職エージェント会社を選ぶべきかという問題が続く。実は転職エージェント会社は大きなものでも100社以上存在し、最適な転職エージェント会社を選ぶのは一苦労なのだ。

ただ、転職エージェントはマンツーマンの担当制である。すなわち、どこまでいっても最終的には担当になったエージェントのスキルや熱意などといったパーソナリティに左右されてしまう。

そこで、転職エージェントは複数社利用が基本となる。大手でサポートが充実している4〜5社に登録し、担当になったエージェントを比較検討する。なかでもスキルや熱意、そして相性が良いと感じたエージェント2〜3人に絞り、その担当者と転職活動を進めていくのが良いだろう。

以下では、キャリアアップのためのサポートが充実した大手の転職エージェント企業を紹介する。上から順に登録し、担当になったエージェントの選定を行ってほしい。

なお、詳しい選定方法・使い方については、以下の関連記事も参考にしてほしい。

doda

数ある転職エージェント会社の中でもトップクラスの規模になりつつあるdoda。人材紹介会社大手のパーソルキャリアが運営する転職エージェント会社だ。キャリアアップに欠かせないのが登録時に行われるキャリアカウンセリングである。

dodaは「キャリアドバイザーとの相性の良さ」や「転職活動のノウハウが聞ける」といった項目で業界満足度No.1を獲得しているため、充実したキャリアカウンセリングが期待できる。

またdodaは転職エージェントサービスだけでなく、転職サイト形式の一般的な求人紹介も行っている。情報を獲得する目的でも、登録必須のエージェントと言えるだろう。

▼公式サイト
dodaエージェントサービス

リクルートエージェント

転職支援の実績を最も保有しているのがリクルートエージェントだ。求人数やエージェント在籍数も業界最大級で、より多くの求人を紹介してもらうことができる。

業界内での知名度も高く、多くの企業がリクルートエージェントに求人を出している。キャリアアップの転職では目的に応じて大企業やベンチャー企業など、様々な企業に応募する必要があるため、求人数の多さは重要なアドバンテージとなる。

実績にもとづいたサポートや企業情報の提供は他のエージェントよりも手厚く、企業よっては面接内容や、職務経歴書でアピールすべきポイントなどを教えてもらうことができる。

▼公式サイト
リクルートエージェント

type転職エージェント

非公開求人が80%を占めるtype転職エージェント。非公開求人とは、諸般の理由でWEBサイト上で公開して募集を行うことができない求人のことを指し、優良な求人が多いとされている。これまで紹介した2社とくらべるとやや知名度は劣るかもしれないが、その分サービスに登録する転職希望者が少なく、手厚いサービスが期待できる。

関東圏の転職に強いので、関東で転職を希望する人、もしくは地方から関東への転勤を検討している人は利用するのが良いだろう。

▼公式サイト
type転職エージェント

JACリクルートメント

外資系やミドル〜ハイキャリア層の転職に強いのがJACリクルートメント。特に外資系企業の転職に力を入れており、外資系を志望している人は登録必須のエージェント会社だ。

JACリクルートメントにはネイティブのコンサルタントも多数在籍しており、ネイティブの視点で英文レジュメ(応募書類)や企業インタビュー(面接)のアドバイスを貰うことができる。

JACリクルートメントだけが保有している限定求人もあり、外資系だけでなく、年収が500万円を超えるミドル層以上の人は十分に利用価値があるだろう。

▼公式サイト
JACリクルートメント

ビズリーチ

出典:ビズリーチ

これまで紹介してきたサービスと一味違うのがビズリーチだ。ビズリーチはスカウト制を採っており、転職希望者がデータベースに職務経歴などのレジュメを掲載することで、ヘッドハンターや企業の人事担当者から直接アプローチを受けることができるシステムになっている。

企業側からのスカウトなので、条件は通常よりも良い傾向にあると推測される。同時に、書類選考が通過している状態から選考がスタートするなど、選考時の優遇も期待できる。

一部利用が有料であるが、そのぶん本気度の高い企業とヘッドハンターが利用している。より良い待遇、年収でのキャリアアップを望む場合には、短い期間でも登録して損のないサービスだろう。

▼公式サイト
ビズリーチ

【目的別】キャリアアップのための企業の選び方

キャリアアップの目的は人ぞれぞれだが、目的に応じてどういった企業を狙うべきかを知っておいて損はないだろう。一般的にキャリアアップで希望される「年収」「役職」「スキル」に焦点をあて、それぞれおすすめ企業の選定方法を紹介する。

1.年収を上げるには?

推奨されるのは大企業への転職

年収を上げるための転職では、大手企業への転職が推奨される。ここでの大手企業とは、厚生労働省が統計調査を実施する際に定める「従業員1000人以上」の企業を指す。

出典:厚生労働省 > 平成29年賃金構造基本統計調査より作成

厚生労働省が発表した平成29年の「企業規模別にみた賃金」資料によると、大企業と小企業では平均して100万円近い年収格差がある。最も開きがある50〜54歳では、163.6万円も開きがあることが分かる。

また年収面だけでなく、大企業は年間休日数が多いことや社会的な信用を得られること、また福利厚生などの特別手当も手厚い傾向に。このことから、年収を上げるためのキャリアアップには大企業への転職が適切であると考えられる。

以下の記事では、大企業への転職難易度や働くことのメリット・デメリットなどを詳しく解説している。ぜひあわせて読んでみてほしい。

中長期的なキャリアプランを明確にすることが成功のカギ

転職して年収がアップした人とダウンした人の割合は、実はそれほど差がない。転職を考える上で、「今の年収に納得がいかないから」という理由だけで転職活動をするのは少々危険である。年収アップを目指すのであれば、中長期的な計画や目標を立て、それに向けて行動することがカギになる。

転職を希望している企業から提示された条件がそれほど良くなかったり、転職活動を続けていくうちに今自分が勤めている会社の良さが見えてきたりすることもある。また、長期的に考えると、今の会社でキャリアアップを図る方がキャリア・年収どちらの意味でも良い場合もある。不満のある「今」だけを切り取って考えるのではなく、中長期的なキャリアプランを構築することが、年収アップへ繋がるのだ。

以下の記事では、転職で年収アップを実現するポイントや、求人を見る際にチェックしたいことなどを詳しく解説している。また、転職で年収がダウンしてしまう人の特徴についても紹介しているので、参考にしてほしい。

2.役職を上げるには?

他方で、キャリアアップで役職を上げるためには大手でないほうが望ましいといえる。小規模なベンチャー企業で、かつ今後社員数を増強する可能性が高い成長企業が狙い目だ。若手の社員数を拡大していくベンチャー企業では、マネジメントスキルがある30代の人が役職を上げやすい環境にあるといえる。

社員数が大きく拡充されない大企業では、大きな成果を上げることや長い勤続年数を重ねることが出世の条件になりうる場合もある。このことからも、数年のスパンで役職を大きく伸ばしたいと考えている場合は、少人数の成長企業が推奨されるのだ。

3.スキルを高めるには?

年収や役職といった待遇面ではなくスキルなどの専門性を高めたいと考えている場合には、どのような企業への転職が望ましいだろうか。正解は一つではないが、専門性を高めたい業界で、トップシェアを誇る企業への転職が一つの解となるだろう。

ただし、より大きな案件を担当し、実績としてのスキルを高めたい場合は大手企業への転職もまた正解となる。使える予算が大きな大手企業では必然的に高いスキルが求められ、スキルとともに経験を積むことができのだ。

分野によっては大手企業のコンサルティングを行っている中小企業のほうが専門性の高い場合もある。自身が高めたいスキルを考慮し、最適な企業を転職エージェントに相談してみるのが良いだろう。

【コラム】年収700万・1000万円を稼ぐ人の転職方法

年収700万円を稼ぐ人の転職方法

年収アップを目指す人にとって、「年収700万円」という数字をひとつの基準に設けている人も多いだろう。日本人の平均年収よりかなり高い金額だが、年収700万円の給与所得者は全体の16.7%と約5人に1人が得ていると思えば、決して手が届かない数字ではないことが分かるだろう。

しかし、年収700万円を稼いでいる人は50~59歳が多く、30代の平均年収では達していない。50代に至るよりも前に年収700万円を稼ぐためには、

・労働生産性を意識して仕事に取り組む
・年収は長期的に育てるもの
・転職時の年収交渉はプロに任せてみるのも有効

この3つの考え方が非常に重要になる。特に転職時の年収交渉は、下手をすると企業に良くない印象を与える場合があるため、転職のプロに任せると安心だ。

この3つの考え方が非常に重要になる。特に転職時の年収交渉は、下手をすると企業に良くない印象を与える場合があるため、転職のプロに任せると安心だ。

▼こちらもチェック

年収1000万円を稼ぐ人の転職方法

一方、年収1000万円となると、転職エージェントや転職サイト経由ではなく、スカウトやヘッドハンティング、個人の繋がりや企業側からの引き抜きが中心になってくる。これらは全て受動的な転職方法であり、自分で転職時期をコントロールできないのが難点だ。

この問題を打破するひとつの方法としておすすめなのが、スカウト型の転職サービスだ。このサービスでは、会員登録をすることで、スカウト型転職サービスが保有するデータベースに職務経歴などのレジュメが掲載される。ヘッドハンターはそのデータを閲覧することができ、最適な人材だと判断されると直接アプローチがある……という流れ。ただ待ち続けるよりも能動的に、「1,000万円以上の転職者が利用する転職方法」にアクセスすることができるといえるだろう。

▼こちらもチェック

30代の転職は難度が高いことの反面、大きなキャリアアップが可能になる期間でもある。今後の人生を左右する局面でもあるため、綿密なキャリアプランの構築と企業選定が肝になる。

最も大切なことは、自分にとってのキャリアアップが何なのかという目的をぶらさないことに尽きる。短期的なメリットで転職を決めてしまうことが最も危険なのだ。

転職回数と成功率のグラフを鑑みると、30代の転職回数は有限だ。本稿で紹介した転職エージェントを利用し、中長期的なキャリアプランのもとに転職活動を行えるようにしよう。

▼こちらもチェック